薄暗い午後。
ぬるりとした泥水の中を漕いでいくような心地がする。
ゆっくりと校内を自転車ですり抜けた。
世界堂の前で一度、がさがさしすぎている音楽を耳から外して
食堂への階段をのぼる。
見上げるとちいさな花が咲き乱れたような女の子の集団と目が合う。すれちがう、ふわふわしたスカートたち。
階段の下にはたばこをぷかぷかおとこのこたち。
建物の中にいるうちに夕立のように雨が叩き付け始め、
髪をしっとりさせた女の子が顔に付いたシルクスクリーンインクを気にしていた。
朝もじっとりと汗をかきながらなかなか起きることができず、しゃべりかたも動作もゆっくりとしている。
泥水の中にぼくらは沈んでいて、なにかにまとわりつかれているようにいるようにゆっくりと動く。
そして雨が降り、いろいろなものを連れて来、連れていく。
雨がゆくまでは息を止めていよう。
七月の金曜日、雨。