見張り継続中。
素敵な音が出る作品なので、少し離れたところにいて作品の音が聞こえると
あー先輩の音だ。
誰か作品で遊んでるな。
と自分が作ったわけでもないんだけどなんだか嬉しくなる。
見張りは居場所がなくって暗幕裏の椅子に座っているので、見に来た方から私の姿は見えません。
「なんだなんだ?」
入って来て、
「なにこれどうやるのー?」
カチカチ。
「きゃー鳴ったぁ」
「これ音程とか変えられるの」
そこに書いてあるでしょそこに。説明書き読んで。笑
暗いスペースに座ってメール打ちながら彼等の声と、作品の音を聞いている。
ふと、
「面白いな」
男の人の声が聞こえた。
思わず声の方向を見た。
ほどなくして二人の声は部屋を抜け出し、わいわい言いながら遠ざかって行った。
なんだか不思議な余韻が残って私は暫しぼうっとしていたのだが、
「面白い」
彼の一言が変な跡を残していた。
作品に面白いって言ってもらえるって、いいな。
しあわせなことだ、うらやましい。
できればいつか私も、とひっそり考えている金曜の朝なのであった。