卜部日記

大学院での研究テーマが「時間の視覚化」というものでした。
過去、現在、未来ということばがありますが、それらが同時に見えていたらというもの。

少し噛み砕いて説明すると、
ある時間の量、例えば5秒間や10秒間の時間をまとめて見ることのできる生物がいるとしたら、
いったいどのようにこの世界が見えているのかというものです。

人間やその他の地球上の生物は一瞬一瞬を連続して見ることはできますが、
まとまった量として、過去と未来を一望して見ることはできません。
※もし出来る人がいたら教えて下さい。

そこで、撮影した映像から色、質感など、基本的な視覚情報をすべて取り除き、
コンピュータで動きだけを抜き出し、数秒間の動きを重ねてみた映像が今回の作品に使われている映像です。

ただ撮るだけでは見られない映像でもあり、
またコンピュータだけでは生まれない映像です。

自分、個人の感覚としてはですが、
実際に見ていた風景の印象と近いのは、撮影した映像よりも時間を可視化した映像の方でした。
人の印象に残しているものって動きなのかなと思った次第です。