音量子さんが書かれているように今日(18日)から3日間、幕張メッセで開催される Inter BEE(国際放送機器展) 2009に行って参りました。
もちろん音量子さんが説明員として会場にいらっしゃるということで、色々と放送機器の技術開発面でお話を聞けたらなー、と思い会場へ行ったのも理由の一つ。
もう一つは卒展へ向けて制作中の作品の撮影で(特に機材面で)足りない物があったため、それについて調べてこようと思い色々見ていきました。
しかも今日の午前中は授業とゼミの先生との打ち合わせがあり、会場に向かうのが昼過ぎになり、
それから幕張まで向かって(電車で片道約90分)という日程だったので、
会場に入ってからはサササーっと目的の機材を見て説明員の方から色々お話を伺って、
現在ムサビの学生でこんなことをやってますとちょっとiPod touchで制作中の映像を見せて(便利!)、
まー何卒よろしくお願いしますー、と必要あらば名刺を渡し、という流れを何度か繰り返していると、
いつの間にか閉会時間が近づいていたので音量子さんのいる会場へ急いで向かいました。
その会場は音量子さんの会社が今回のInter BEEでもろに一番力を入れている分野でしたので、
ムサビの映像学科ではその分野の機材がほぼ(というか全く)無いというのもあり、そういう面ではとても興味深かったです。
特に撮影時(レンズセット時と書くべきか)の光軸とズーム操作(おそらく本質的には内蔵のサーボの同期)に関しての諸問題、それを解決するためコンピュータでの処理によるシステムを現在開発されている話はおもしろかったです。
ただし、(今回どの出展者にも言えるのかもしれませんが)それらのシステムを上手く活用(アピール)した映像コンテンツの提示が全体的に弱く感じたことが個人的には少々残念でした。
Inter BEEに出展している各社の目的の一つとして「新規顧客の開拓の場」というのもあるようなので、具体的なコンテンツの提示をしてしまうと、それが製品への印象と強く結びついてしまう可能性があり、その影響で多方面で応用できるものが、結局ある一分野でしか応用されない、というのも考えられるため慎重になっているというのもあるかもしれません。
(↑あくまで個人的な推測)
しかしそれを考慮しても、もうちょい1階の展示会場でのプレゼンは内容的に+画的に頑張ってほしかったなと思います。
とくに中継で出されている映像が紙のようにペラペラで、正直なところ平面のレイヤーがZ軸方向に単純に重なっているようにしか見えませんでした。
個人的には、もう少し司会の目の前のテーブルが立体的な奥行きを持っているように見せられると、より製品をアピールできる自然な見た目になるかと思います。
それはさておき、音量子さんと別れてすぐに大学に戻り(これまたラッシュで電車内が目茶苦茶混んでて酸欠になりそうだった)、同級生とゼミの先生にInter BEEで見た物でおもしろかった物とか今年の展示内容の傾向とか、この機材は撮影時に絶対必要なんで大学で買ってください(もちろん音量子さんの会社製)とさりげなーく頼んでみたりとか、ざーっとですが報告会をしました。
んでちょっと細かい内容を話すと、昨年某メーカーがデジタル一眼レフで動画が撮れるカメラを出してから、結構映像の一部の分野(特に低予算で組まれるPVなど)では一眼レフカメラで動画を撮るのが掛かるコストにしては非常にいい画質で撮影・制作できるということでで流行っています。
でも一眼レフカメラではCMOSが一枚しか乗せられないというその一眼レフの大きさによる制限(若干、色再現能力が後述する3CMOSと比べて落ちる)、マニュアル撮影で調整できるのはシャッタースピードと絞りとフォーカスぐらいなので、ガンマを弄ったり、ある一部の色相において色調整をカメラ内で施したり、CMOSをRGB各1枚(計3枚)搭載したりといった映像の画作りに関わる部分はまだビデオカメラに歩があるなと、卒制と今回のInter BEEを通して改めて思いました。
絵画作品の制作では何度も消したり描いたりすると思いますが、映像の撮影も似たようなもので、構図が決まるまでカメラを動かしたり(ズームインしたり、アウトしたり、カメラごと近づいたり、離れたり)、露出(光の量)を例えば白が完全に真っ白に飛ばないように調整したり、画の全体的なトーンを調整したりといったものを結構時間を掛けて行うことが多々あります。
でもこのことはそういったことができるポテンシャルを持ったカメラやそれに関する機材でないと不可能です。
なので映像をやる人は機材の知識もあると、絵の具の色を表現によって使い分けることができるように、作品での表現の幅が広がるんじゃないかと思います。
また表現の幅が広がらないと生まれ得ない発想も存在すると僕は思うんですよね。
ま、そーんな感じでムサビの映像学科の学生も、もうちょい足を運んでもいいんじゃないかなーと思ったInter BEE 2009でした。
最後に私信ですが、音量子さんとはもうちょい色々お話したかったです。
またご機会あればよろしくお願いいたします ;-)
卜部君、昨日はわざわざ足を運んでもらってありがとう。
>ただし、(今回どの出展者にも言えるのかもしれませんが)それらのシス
>テムを上手く活用(アピール)した映像コンテンツの提示が全体的に弱く
>感じたことが個人的には少々残念でした。
こういうところはIT系の会社に比べて弱いですね。単品で売る文化から抜け出せていない。
>しかしそれを考慮しても、もうちょい1階の展示会場でのプレゼンは内容的
>に+画的に頑張ってほしかったなと思います。
立体映像を視聴者にどのように見せればよいか、機器メーカー側も手探りの状態です。どのような映像をどのように見せるかと言うことは技術者がリードして来たわけですが(HDのように)、これからはクリエーターの方々が大きく関わって来ることで、事態をよりよい方向に進めることが出来ると思います。
投稿者 音量子っぽん : 2009年11月19日 08:14