先日、とあるところで「最近の作品は3DCG方面の作品がないけれど、なぜ?」と聞かれた。
「現在の3DCGは現実をコンピュータ上に作り出す(シミュレーションする)ようなことをやっているように思います。でも、そういった分野は僕より非常にうまくできる人が当たり前のようにたくさん居るので、自分にとってのCGで表現する意味が何か、まだわかってないんですよね。」
と答えた。
(※上記および以下、若干言い回しに補正有り)
—じゃあ、君にとっての3DCGってどんなものなの?
中学1年生ぐらいのころに初めて家にパソコンが届いたんです。
ちょうどその頃は映像を自分で作ってみたいなと思っていて、
(確か映画のカッコイイシーンを自分でもできないのかな、と思ったのがきっかけ)
それで身の回りに有るもので映像を作ることが出来そうなもの(カメラなど)を探したのですが、
まともなのがパソコンしかなかったんです。
それが3DCGを始めるきっかけだったので、3DCGは映像を作る一つのツールとしかみていなかったんです。
—君の思うCGの表現はどこに行くと思う?
先ほどお話ししたような現実のシミュレーション的なものか、もしくは多次元を扱うものになっていくのかなと。
それから帰宅してからも色々考えてみたが、やはり現在の3DCGでの映像表現は頭打ちに来ていると思う。
もちろん技術的にはめちゃくちゃ進歩してきているのだけど、今までの技術の発展系ばかり。
たぶん、CGが3次元の世界を扱っている限りはそこから先に行けないんじゃないかなと僕は思う。
よく言われるCGだからこそできる表現、っていうので
恐竜を生き返らせたりとか、
役者に危険なスタントをやらせなくていいとか、
とんでもない天災が襲ってくるとか、
宇宙人がやってくるとか、
そういうものをやるのは何か違う気がするなと。
昔は映像で表現するのにめちゃ難しい状況(資金的・技術的)だったとか、
クオリティの面の問題とかがあっただけで、
全く上記のような表現ができなかった訳ではないんだよなと。
だから今あるCG映像のほとんどは
CGだからこそできる『表現』
というよりも
CGだからこそできる『品質』
というように感じる。
3DCGが映像表現的に次の次元へいくには、まさに文字通り次の次元を扱わないと行けないんじゃないかなと。
4次元立体とか、5次元立体とかいうような多次元立体を扱う、(3+n)次元CG映像。
それこそCGでしかできない表現になるんではないかな、と思った今日この頃。
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ちと忙しくて長くこちらを休んでおりましたが、こんなことを時々チマチマ書いていこうかなと思います。
受験生完全スルーの内容で申し訳ないけど…、
でも大学って『教育の場』であると同時に『研究の場』でもあるから、
美大だからといって、ただただ作品だけ作っていれば言い訳じゃなくて
自分の作品が世の中にどんな影響を及ぼすのか、をちょっとずつ考えていかないと
ただ周り(社会)から自分たちのやっていることが何なのか理解されないんじゃないかなと思うんです。
遊びで作ってる訳じゃないんだぞ!
というようなことを作品で示せるようにならないと
美大生は4年間ただ無駄なモノを作っているだけだ、と言われてしまうよなと思います。
もちろん僕もそうならないように気をつけないといけないけど(特に卒制は…)。
3D CGもいいと思いますが、3D 映像をやりなされ。今なら、先行者利益がある。
投稿者 音量子っぽん : 2009年10月21日 21:48
3DCGは最近ほとんど触れてなくて、主に実写映像をちょっと加工したりして何かするみたいなことをやっております。
立体視映像ではなく、完全な3D映像って編集の仕方が全く変わってしまうので(カットバック的な繋ぎ方ができないので)、新しい編集のアプローチが必要になるようになりますよね。
あとやってみたいのが多胞体を立体ディスプレイで射影させてみてみたいんですよね。
ということで、あの卓上立体ディスプレイをお借りしたいです。
投稿者 卜部 : 2009年10月21日 22:45
>ということで、あの卓上立体ディスプレイをお借りしたいです。
借りるとかそんなことは言わずに、早くえらくなって好きなだけ弊社の機器を買ってくれ。
とはいうものの、いまある機器で工夫するのも才能であったりする。
投稿者 音量子っぽん : 2009年10月22日 23:56
>いまある機器で工夫するのも才能であったりする。
そうなんですよね。
来年度以降はそんな感じで研究を進めていく予定です。
そうなってくると、研究開発と作品制作のそれぞれにかかる時間のバランスをどうとっていくのか、僕にとっての課題になりそうです。
投稿者 卜部っぽん : 2009年10月23日 08:17