絵や写真、その他の作品を創っているとよく思うのだけれども、自分の精神状態がその創っている作品にものすごく反映されている気がする。というより、自分の精神そのままに映り込んでいる。
例えば、何か自分のやるべきことに忙殺され、そしてそのことで悩み、さらに自分を見失いかけているときに創った(もしくは創っている)作品にはどこか寂しげな印象を受ける。逆に、何かの目標を達成した後の作品にはよろこびや達成感のような印象を受けたりする。
何故このようなことを書いたのかというと、今、選択授業でやっている共通絵画で同じクラスの人の描いた絵にとても寂しい印象を受けたからだ。最初の課題作ではすごく迫力のある作品を創っていた人なのだが、今回の課題の裸婦のモデルの作品ではその迫力がなかった。明度の高い色を使っているのにすごくもの寂しさを感じる絵だった。
何か悩みがあるのだろうと思った。
放課後、その絵を描いた本人に話を聞いてみた。すると、『最近忙しくて自分の時間が持てない、やらなければいけないことを考えすぎて思うように描けない』と話してくれた。僕は『そういう時は一度、何もかも忘れて、自分のやりたいことをやって頭の中をリセットしたほうがいい』と言った。
この言葉は高校時代にある人から言われた言葉だ。その当時の僕は人間関係について悩んだり、将来について悩んだりしていて精神的なものが不安定な状態だった。何か作品を創っても暗く寂しげなものしかできず、そのことによってさらに悩み、作品制作に行き詰るという悪循環を繰り返していたのだった。そんなときの僕の作品を見たその人は『2,3日は作品を創らずに家に帰って休んでおきなさい』と僕に言った。もう、精神的に参っていた状態の僕は素直にその言葉通りに休んだ。思いっきり休んだ。
するとその後、自分の悩んでいたことが小さく思えるようになった。そして作品制作も思うように進むようになった。明るい作品ができた。
今回の、その絵を描いた人にはそのときの僕の気持ちと似たようなものを作品を通して感じた。
だから、どうにかして助けたいと思った。
そしてその人は、
「今日はもう残らずに家に帰ろう」
と言った。
「そうしたほうがいいよ」
と僕は答えた。
正直、僕自身が見つめなおされた日だった。