リアルな美大の日常をウッホホウッホ
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デッサンなんて嫌いだ
そろそろ受験も本番が近づいてきて
予備校はぴりぴりしだしているころなんじゃないか、と思う。
わたしは受験生時代、デッサンが嫌いで、苦手だった。
……んだけど、最近はまたデッサンやりたいなあ、という気持ちがある。
できないからもうちょっと続けたい、というのが本音。
なんという心境の変化だろう!
受験が絡まなければ本来デッサンは楽しいことなのかもしれない、
とさえ思いはじめているのでずいぶん考えが変わった。
何度か受験関連のエントリにも書いてますが、わたしは美大受験の対策を始めたのが遅く、
高校3年のGW開けからでした。それ以前に美術関係のことは何もやっていません。
……これが何を意味しているかと言うと、すなわち底辺からのスタートですね。
わたしがいた予備校は規模が大きく、講評のたびに上手い人順にデッサンが並べられ、
その教室の中でのカーストが明確にされます。このシステムに覚えがある人多いんじゃないかな。
で、みんながすでにある程度できる状態のところにど素人が入っていったのでそりゃもう、
下段のすみ(=教室内で一番低評価)が定位置みたいになってました。
それもあってデッサンが嫌いだったんですね。
みんなと比べてできないし、できないからみじめな気持ちになるしで。
まさに「なんでこんな簡単なこともできないの?」状態でした。
形も取れない、パースの概念もわからない、質感を追うなんてまずそんなレベルじゃない。
本当にモチーフ見て描いてる?と長い間わりと半笑いな感じで言われ続け、
悔しくてたまらなかったのを今でも覚えています。(そしてけっこう根に持ってる)
今あらためて、デッサンで学んだことは何だったのだろう、と振り返ってみると、
描写力だとか、そういう直接的な力の外にあるものなのではないか、と思います。
もちろん描写力も大事なんだけどね。わたしデッサン力なくて大学入ってから
困ったことがかなりあるので。デッサン力あるに越したことはないです。
受験生時代、私だけでなく受かった人は誰もがやっていただろうと思いますが、
限られた時間で上達していくためにはただがむしゃらに描くだけではなく、
・自分には何が出来て何が出来ないのか
・出来ないことはなぜ出来ないのか。技術の問題なのかそれとも気持ちの問題なのか
・できるようになるにはどういうことをすればいいか
・今回の課題ではどういう点に気をつけて、
制限時間内にどういうことが達成できてどういうことが達成できなかったのか
・また、その達成できなかったことの原因は何か。時間不足なのか技術不足なのか
などなど、数々の「できること」「できないこと」を点検してたと思うんですね。
デッサンをはじめとする受験勉強で学んだのは、何が出来ないのかを自分なりに明確にして、
それをひとつひとつ克服していく方法なのではないか、と思う。
できないことの点検は、受験(つまり、他人との比較と時間の制限)
が絡むから苦しいのであって、そういうことの範疇外でやるのなら、
『できるようになった』という達成感が味わえるので案外、というか、かなり楽しい。
わたしがdisられようと睡眠時間が削られようと課題が犠牲になろうと(←これは反省した方がいい)
しつこく小説書いてるのもそういう理由です。
だから今、デッサンもっかいやりたいなあ、と思ってる。
いまやったらたぶん楽しいんじゃないかな。デッサンも着彩も模刻も。