2008年05月25日
物理学 第2課題
- 特殊相対性理論はどのように生まれたのか -
1. マイケルソン・モーリーの実験
ガリレイの相対性原理は力学的現象で成り立つが、場の概念でよく説明できる光及び電気の現象でも成り立つだろうか。この疑問が相対性理論の出発点となった。
空間の中で一様に動いている部屋を考える。部屋の中に静止している光源から発せられる光波は、エーテルの中を動いて行く。
まず、エーテルは部屋と一緒に同じ速度で運ばれると仮定する。この時、光の速度に古典的変換が適用できると推測できるが、観測の結果とは矛盾した。
次に、エーテルは静止し、その中を部屋が一様な速度で動くと仮定してみる。この時、エーテルに対して静止している座標系が想定され、それに対して一様に動いている座標系と区別することができると考えなくてはならない。そうすると、ガリレイの相対性原理を放棄しなければならないことになる。
エーテルに対して静止している座標系では光は一定の速度を持つ。それに対して部屋の中の観測者、つまりエーテルに対して動いている座標系では、部屋の中の光源から発せられた光波が、進行方向の壁には早く到達し、反対方向の壁には遅く到達すると推測できる。1887年、今日マイケルソン干渉計として知られる装置によって観測を行うと、干渉計はエーテルの中を静止しているあるいは一様に動いている、双方の仮定が観測結果と矛盾した。つまり、エーテルの存在の可能性が否定された。
これらの結果から、光速は一定であり、ガリレイの相対性原理は力学的現象以外の光及び電気の現象についても適用できる、ということが結論できる。
2. 時間、距離、相対性
慣性系において真空中の光の速さは一定であることと、ガリレイの相対性原理を、相対性理論の出発点とし、この二つの仮定と矛盾する古典的変換を捨て去る。
空間の中で一様に動いている部屋を考えると、部屋の中に静止している光源から発せられる光は、内の観測者から見れば光が全ての壁に同時に到達するのに対して、外の観測者から見ると光は進行方向の壁より先に反対方向の壁に到達する。つまり、ある座標系では同時刻に起こる事柄も、他の座標系から見ると同時刻に起こらない、ということになる。
最初の二つの仮定と上の思考実験から、時計は座標系によってリズムを変え、物の長さは変化する、という考えを導き入れる。古典的変換を放棄して、空間・時間・速度の新しい変換法則であるローレンツ変換を採用する。古典的変換法則は、物体の速度が遅い時にローレンツ変換から近似的に得ることができる。
3. 特殊相対性理論
物体は質量が大きければ大きいほど運動の変化に強く抵抗するが、特殊相対性理論によれば物体の速さが大きいほど運動の変化に強く抵抗する。速さは光速を超えることができないので、光の速さに近づくに従って抵抗は無限大となる。
つまり、質量とエネルギーに本質的な差異はなく二つは等価であり、ただ一つの質量・エネルギー保存法則が存在する。
互いに一様に動いている座標系は相対的な時間を持つ。二つの座標系は、異なる空間座標及び時間座標を持つ。速度が光の速度に接近すると、時間座標における違いが明瞭になる。つまり、特殊相対性理論では物体の運動を四次元連続体で記述する必要がある。ある座標系から他の座標系への四次元連続体の変換法則は、ローレンツ変換で与えられる。
4. まとめ
特殊相対性理論は、ガリレイの相対性原理が力学的法則だけでなく光・電磁波の法則にも適用できることを示す。光の速さは真空中で一定であり、物体の運動は光速を超えることはできない。質量とエネルギーは等価である。物体の速さが光に近づくと、座標系によって時間の進み方は異なり、古典的変換を採用することはできず、空間・速度・時間の変換法則にはローレンツ変換を用いる。
otoryoshi@gmal.com
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