›2006年05月28日

Lonely planet

会社の人と話をしていたら海外旅行の話になって、僕が以前インドに行ったことがあると言ったらがぜん興味を持った。
ずいぶん前のことになるけれど、6月に2週間インドを旅した。たぶん一年でいちばん暑い時で、雨期の直前ということもあって湿気もひどかった。連日の最高気温は40度前後で、ベナレスでは43.6度の気温を経験した。


初日に泊まったのはカルカッタのサダルストリートの安宿で、藤原新也は『全東洋街道』で地上で最もダーティな都市と書いているけれど、世の中危険なとろこは他に星の数ほどあると思う。
マラリアが流行っていて、頭にふさふさした触覚のある蚊に刺されないように注意していたけれど、道路を隔てたホテルに泊まっている日本人の女の子がものの見事に感染して、ある日大使館の人がやって来て日本に移送した。同じホテルに泊まっている人が空港まで付き添った。


インドで悩まされたのは、暑さでもなくマラリアでもなく不衛生でもなく置き引きでもなくて、インドが地上の楽園と思っている毛の三本足りない日本人だった。彼らは、動物が人よりも人らしく生きていると言ったけれど、動物以下の生活をしている人が都市の路上にいくらでもいる。
インドを発つ当日、新聞でアパルトヘイトが廃止されたニュースを読んだけれど、この国が解放されるのはいつの日のことだろうか。

Lonely Planet India (Lonely Planet India)
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›2006年05月24日

キトラ古墳『白虎』

明日香にキトラ古墳の壁画『白虎』を見に行った。この地域は交通の便が悪いので近鉄橿原神宮前駅からタクシーに乗り、観覧している間は待たしておいた。
壁画はガラスケースに納められていて、ガタイの良い警備員に両側から守られている。暗い照明のなかで間近に見た。壁画のどういったところに注目するのかは人それぞれと思うけれど、虎の前足の掴んだら絡みついて離さないような描写を見て、明日香の暗い森の中でこの虎に捕まってしまう自分を想像してみた。


資料館を出て明るい陽光に照らされて、自分の乗ってきたタクシーを捜したら、運ちゃんは楽しそうに誰かと話をしている。手をあげて合図したけど気が付かない。「おいっ、戻るぞ。」と声をかけたら、小走りでこちらにやって来た。


車中で運ちゃんに、食事をするのにいいところはないかと尋ねると、駅の中の食堂がきれいで良いと言う。駅前に停まって改札口の横の食堂を指差し、こちらはきたないからやめたほうがいいと言った。以前に一度入ったことがあるのできたないだけでなく、おじちゃんおばちゃんがおでんをつつきながら昼間から酒を飲んでいることも知っている。


京都では、京都国立博物館の『大絵巻展』を見た。こちらも大変な混雑で、おじいちゃんおばあちゃんの頭越しに絵巻物を見たけれど、『信貴山縁起絵巻』だけは並んで間近からじっくりと見た。描線の鋭さは図版では分からないと思った。



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›2006年05月21日

『京都いきあたりばったり』

京都に行き始めた96年頃、タクシーに乗ると「最近は観光客も修学旅行生も減ってしまって...」と運転手さんは嘆いていたけれど、ニューヨークのテロ以降は国内旅行に人が回帰したようで、桜と紅葉の時期以外はオフシーズンで予約のしやすかった京都のホテルも、値段も上がって部屋もなかなか取れなくなった。


古都の人気が盛り上がりはじめた3、4年前から京都本が何冊も出版されて、なかには面白い本があるけれど、案外知られていないもので面白いと思った本に、京都新聞の記者中村勝と写真家甲斐扶佐義の『ほんやら洞と歩く 京都いきあたりばったり』(淡交社)と『京都 みちくさの景色』(京都新聞社)がある。


もともとは京都新聞の夕刊に連載されたものを単行本化したもので、地元の商店街を中心に、町の風景を写真と文で綴る飾り気のない本。
この本の影響で一時期、京都に移り住もうと思いつめていた。


ほんやら洞と歩く?京都いきあたりばったり
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›2006年05月20日

デジカメ

今週、仕事帰りに横浜のヨドバシカメラへデジカメを見に行った。お目当てのモノがないので店員に聞いてみると、その機種は展示してないんですよねと言いながら、カウンターの奥から真新しい箱を取り出して来て、惜しそうにパッケージのフィルムをカッターで切った。


箱から取り出したデジカメを見て、あっと思った。僕が欲しかったのは色がブラックのものなのだけれど、店員が取り出したのはシルバーなのだった。触っていいですかと断っておいてさんざんいじくり回した上で、ブラックを下さいと言ったら、店員はえっ、という顔をしたあと、悲しそうな表情でカウンターの奥からもう一つ新しい箱を取り出した。


何枚か撮ったので、これからパソコンにソフトをインストールして、いろいろ遊ぼうとしているところ。



Posted by phonon at 18:06 | Comments [0] | Trackbacks [0]

›2006年05月15日

『若き数学者のアメリカ』

数学者藤原正彦の『国家の品格』という本が話題になっていて、会社の本屋でぱらぱらと見てみたけれど、50代以上のおじさんが好んで読みたがるような本で興味が持てなかった。


とはいうものの藤原正彦の本は好きで、『数学者の言葉では』や『若き数学者のアメリカ』は何度も読み返したけれど、現在も読み継がれているのだろうか。
『若き数学者のアメリカ』は若き藤原の留学記で、ラスベガスではカジノに繰り出す前に慎重に確率計算をするものの、実際に賭け出すと熱くなったり、学生の人種構成に興味を持ってひそかにリサーチしたり、学生に混じってストリークをしたりと面白い読み物になっている。


数学者の奇人変人ぶりについても書かれてあったと思うけれど、実際に理工系の大学に入ってみると、数学者の人格性格の偏向のしかたはそれ以上だった。


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Posted by phonon at 05:45 | Comments [0] | Trackbacks [2]

›2006年05月11日

アシダカグモ

『小出楢重随筆集』(岩波文庫)を読んでいたら、画家自身が蜘蛛に恐れおののく話が出ていた。文中には5、6寸の屋内にいる蜘蛛とあるから、アシダカグモのことだろうか。関西に多いとも書いているが、Webで調べてみると誤解のようで、このデカイ蜘蛛は沖縄を除いて日本中にいるようだ。だけど、東京では見かけたことがない。


東京から横浜に移ってそれほどもしないときに、家に帰ってリビングの電気をつけると視界の隅に何か動くものがいる。見てみると体長20cmくらいの蜘蛛で、ここは南米のジャングルかと思って腰を抜かしそうになった。こんな蜘蛛とは同居できないから、掃除機を持って追い掛け回した。捕まえた後も、しばらくは恐怖感が消えなかった。


次にこの蜘蛛を見かけたのは、奈良市中心部の三条通沿いにある銀行のATMで、別に自分の家にいるわけでもないのでさして怖いとも思わなかった。この蜘蛛はゴキブリを食べる益虫とのこと。



Posted by phonon at 21:02 | Comments [4] | Trackbacks [0]

›2006年05月05日

かき常

夕方、いつも行くコンビニに立ち寄ったら新人バイトの人が入っていて、胸に青葉マークのバッチを付けている。「80円切手5枚と50円切手5枚」と言っても勝手が分からなくて、「多分レジの右上のボタンを押して、背後の引き出しに切手があるよ」と教えてあげた。僕はコンビニに勤めたことはないけれど、店員さんの動きを何となく覚えていた。


とりあえず切手をクリアしたので、応用問題を出してあげようと思い、「粗大ごみ券500円と200円のを1枚づつ」。もう分かりませんという顔をして首を傾げてしまったので、こちらも優しく教えてあげた。


帰り道、僕がはじめてアルバイトをしたときのことを思い出した。大学1年の夏、築地の場内市場の淡水魚扱い「かき常」という店で荷車を引いていた。回りで働いている人はごつい体とごつい顔をしていたけれど、みな心根はやさしかったことを思い出す。
何年か前に鮨屋で飲んでいるときに、築地の組合の人から「かき常」はもう店じまいしてしまったことを聞いた。

http://www.student-blog.com/bidai/ranklink.cgi?id=phonon



Posted by phonon at 17:05 | Comments [0] | Trackbacks [0]

›2006年05月04日

ドコイクナニスル

今日、東横線の渋谷駅に降りたら、8×4のキャンペーンのポスターが百枚くらい天井から吊り下げられていて、女の子がわきを見せて笑っている。なかなか壮観で、笑っている女の子は同一人物ではなくて、ポスターをよく見るとモデルを素人から多数募集しているようだ。なかなか巧いことをするなと思った。


これが若い女の子だから華があるわけで、中年のおじさんがわきをみせて「ドコイクナニスル」と笑っているポスターを百枚も見せられたら、あまりの香しさに2、3日うなされそうだ。


駅や電車を使ったキャンペーンでなるほどと思ったのは、ウォークマン発売当時、商品が社会になかなか認知されないので、若い社員にウォークマンを持たせて山手線を何周も回らせたとのこと。このキャンペーンが効を奏して、売行きが伸び始めたそうだ。この話はあまり知られていないと思う。

Posted by phonon at 21:39 | Comments [2] | Trackbacks [0]

›2006年05月03日

『バーナード・リーチの日時計』

工芸論のレポートのために陶芸家濱田庄司について調べていたら、1920年(大正10年)バーナード・リーチの帰国に同行し、英国セント・アイブスでともに作陶生活を送った、との記事をいくつかのWebで見つけた。


C.W.ニコルの本に『バーナード・リーチの日時計』というエッセイ集があって、著者が若い頃知り合った「仲省吾」という老人との交友について語られている。1964年の冬に老人は衰弱しうわごとのようにリーチについて語るのだが、ある日ニコルは新聞でリーチ来日の記事を読み、連絡を取ってリーチを老人に引き合わせる。


仲省吾という名前でWeb検索をしてみると、記事の断片からかなりの資産家であることがわかる。C.W.ニコルのエッセイの最後の方でも火災で窯を失った若き日のリーチを後援したとある。
このように脇道にそれてばっかりいるから、工芸論のレポートはなかなかすすまない。

Posted by phonon at 20:56 | Comments [0] | Trackbacks [0]

›2006年05月01日

学割について

友人と話をしていると学割が使えていいねということを言われるけれど、たしかに旅行でつかえればずいぶんと元をとれてしまうなということも考えていたけれど、学生ハンドブックを見てみると学事にしか使えないということで、学事ということを拡大解釈できないかとハンドブックを熟読してみたけれど、そうはいかないらしいと思ってちょっと落胆したのがちょうど1年くらい前だったか。


美術館に行って学割が利くとうれしいけれど、いそがしい大人がしょっちゅう絵を見てぶらぶらしているわけにもいかないので、京都のラーメン屋に学割があったことを思い出したけれど、「ラーメンとビール、学割でね。」と言うのも恥ずかしいし、そもそもビールに学割がきくのかどうか分からない。利いたとしても学割でビールを2、3本飲んでしまったら、店の人もいい顔をしないだろう。


映画館に前に行ったのはいつの頃だったろうとかと思い出せないし、近々京都に行こうと思っているけれど、寺社の拝観は中高生と大人で、大学生の区分はなかったように思う。

Posted by phonon at 21:52 | Comments [2] | Trackbacks [0]