›2005年11月30日
猫の結婚式
風邪で寝ていると、急に親戚が大挙してやって来た。聞くと、箱根の一番いいホテルで猫の結婚式を挙げて、帰りに寄ったとのこと。みんな着飾っていて、引き出物のお菓子を食べながら話していると、本家のいとこが「音量子、おまえはいつになったら結婚式を挙げるのだ」と言ったところで、目が覚めた。
顔を見ると蹴飛ばしたくなるような陰険な目つきをした雌猫が近所にいる。その容貌にかかわらずよくモテるようで、去年は旅館を廃業した家の三毛と、今年は1ブロック先のクロと恋に落ちた。
子猫が生まれて、歩けるようになると、家の庭にやって来て親子でじゃれ合っている。子猫の時は可愛いのだけれど、成長するとやっぱり陰険な目つきになってくるのだ。このままだと近所中にかわいげのない猫であふれかえってしまうと思うのだけれど、よくしたもので何匹かはどこかに貰われ、何匹かはいずこかへと去ってしまう。
›2005年11月27日
豊饒の海
昨夜、テレビを見ていると三島由紀夫の特集をやっていて、市ヶ谷駐屯地での事件映像が出て来た。犯人逮捕直後の映像に見覚えのある中年男がうつっていて、叫びながら報道陣をかき分け歩いている。
見覚えがあるのは当然で、自分の父親なんだけれど、当時警視庁に勤めていてこの事件を担当したようだ。
いまさら三島もないと思ったけれど、とは言いながらつい最近「豊饒の海」四部作をあらためて購入した。高校時代に読んで、いつの間にか捨ててしまったのだけれど、なんとなくまた読んでみようかなという気になった。
本が届いて手に取ってみると、驚くべきことに「映画化!」と帯に書いてある。こんな時代錯誤の物語を、しかも輪廻転生というテーマ設定であるのに、どうやって映画化したのだろうとも思うが、映画館に足を運んでみる気にはまったくなれない。
›2005年11月26日
箱根は紅葉が盛りです
会社の拳法部の合宿で箱根に行った。金曜の夜、ロマンスカーにとび乗ってとりあえず500ml缶のビールを飲む。箱根湯本からは小涌園方面のバスに乗る。これが急な坂を結構なスピードでぐいぐい登る。バスを降りたときには、揺れで酔いがまわってしまった。
会員制のホテルに泊まったが、拳法部長の顔で予約してもらったもので、部員の中にだれ一人として正規の会員はいないのだ。
翌日、朝9時半から練習。午後1時半終了。練習場所の公民館の前で記念撮影。腕を組み斜に構えてカメラを睨みつける。お約束だ。
帰りは、登山鉄道で湯本までおりた。紅葉はもう散ってしまったろうと思っていたけれど、予想外に今が盛りであった。景色がきれいなので、隣の席で寝ているHさんを起こすと、ああもったいないことをしてしまったと言いながら、1分後にはまた寝入ってしまうのだ。
›2005年11月25日
物理学者になれなかった私
広報の手羽さんのブログに、関西の芸大の先生の話が載っていて、そこに学生は将来クリエーターになれずに負け犬と思ったり挫折感を味わったりするのだろうか、というような一節があって、考えさせられることがあった。
僕は理学部物理学科を卒業しているけど、お前は物理学者になれなかったから負け犬だと言われたとしたら、ちょっと困ってしまう。
大学には私学であっても税金から補助金が出ているので、大学で学んだことを社会に生かすことは効率の面から言えば当然のことなんだけれど、音大を出た人が全て音楽家に、数学科を出た人が全て数学者に、文学部を出た人が全て小説家になることを社会は要請していない。
大学に籍をおけば誰でもアカデミズムの世界に一度は憧れるけれど、人によってはその度合いが非常に強いようで、大学に残れなかった研究者の挫折感を巧妙に利用し自らの組織に引き込んだのはオウム真理教だった。
全然はなしは違うけれど、姉歯設計士はズラかな?
›2005年11月24日
灯油屋さん
造形学概論第二課題のレポートを提出したので、あとメディア論の第一、第二課題が終わったら、どこかに遊びに行こうと思う。学年の始めに予定していた単位数よりちょっと少ないけれど、無理して課題をこなして雑なレポートを書くよりは良いと思う。来年はどの科目を履修しようかなと考えてみるが、ずいぶんと前に提出した西洋美術史Iと日本美術史のレポート添削が、帰って来ていないことに気がついた。一体どうなっているんだ?
などと考えていると、家の前を灯油屋さんが通った。いつも童謡のような歌をスピーカから流している。「冬っていいな、冬ってね...白いいーきふぅふぅふぅ...」という歌で気になったのでGoogle検索をしてみると、NHK「おかあさんといっしょ」の歌で、横浜市の灯油屋さんでよく流されているようだ。この歌について書かれたブログをいくつか拾い読みしてみると、ほのぼのした気持ちになる人と、イライラする人にきれいに二分されている。僕はこの歌が好きである。
›2005年11月23日
総括
今年度のスクーリングを全て受けてしまって、一年が終わってしまったような気がしてしまったけど、まだ年度内に出したいレポートが三つ、受験したい科目試験が二科目ある。
最初の二、三ヶ月は、美術に関するレポートの書き方がよくわからず、また一つの科目に時間をかけ過ぎもしてしまったけれど、秋頃からなんとなく慣れたと言うかこつが分かって来たような気がした。
とりあえず一月いっぱいは頑張って、二月は自主的に春休みにして伊豆の温泉にでも行こうかな。
›2005年11月18日
Inter BEE
今週は放送機器の展示会で、幕張メッセに行った。狭い業界ゆえ、このような展示会に行くと知り合いに会うだろうと思うのだけど、ニッチな業界の割には結構な数の来場者で会場も広く、顔見知りには一人も会わなかった。
このような展示会に行くと、いかにも社長といった人が二号さんをつれて歩いているのを見かける。秘書然とした人から、和服を着ているあからさまな人もいる。
自社のブースには野球のマウンドが作られていて、これはスポーツ報道のデモなのだけれど、投手として出て来たのは元巨人の新浦で、ユニホームから推してアジアのプロリーグに属しているようなのだけれど、もうずいんぶんな年なはずで、それでも頑張っているのだなと心動かされたのでした。
›2005年11月16日
美術資料図書館
先日、ムサビの図書館へ行った。『造形学概論』『メディア論』の資料が、地元の図書館やAmazonでは見つけられず、わざわざ鷹の台まで足をはこんだのだった。
図書館の机で参考資料に目を通していたが、二十そこそこの学生に囲まれて勉強をするのは、少々勇気がいることだということが分かった。
ムサビ図書館の書棚は、本が好きで本のことを良く知っている人が並べたのではないか、と思う。ここにこなければ、松田道雄『京のまちかどから』安岡章太郎『絵のある日常』町田甲一『大和古寺巡歴』には出会えなかった。
難を言えば少々開架スペースが小さいことだけど、近い将来新しい図書館ができるようなので、その時になったらこの問題も解消されるのだろう。
›2005年11月15日
中野
中野は僕の生まれ育ったまちだけど、先日久しぶりに中野駅に行くと、駅前でサラ金のティッシュ配りの女性に大声でどなりつける男、駅のホームで昼間から酒盛りをしているおじちゃんおばちゃん、キヨスクのおばちゃんにからみついているおっさん、そんなものを続けて見て、こんな街に両親を住まわせておくことが心配になって来た。だって、スラム街のようなものだものな。
ちょっと暗い気持ちになって中央線に乗ると、しばらくもしないうちに、話し声が大きいだのといって、額が禿げ上がった三十後半の男と六十代の恰幅の良い紳士の間で喧嘩が始まった...
額が禿げ上がった方が吐き捨てるように行った言葉が、「この落伍者!」。こういう時の捨て台詞は、20世紀までは「馬鹿やろう!」あるいは「バッキャロー!」が相場だったのだけれど、21世紀になってから変わったようだ。
ちなみに僕は、朝の小田急線のフォームで大学生らしき男から「社会不適格者!」と言われたことがある。意味なくからんで来て、いい大人に社会不適格者もないものだと思ったけれど、近頃は自分の思うようにならないこと、自分の気に入らないことは社会から排除するような言いようをするようになったのだな、と思った。
›2005年11月13日
横浜トリエンナーレ 2
会場となっている倉庫に足を踏み入れると、週末だけあってそこそこの人出だ。展示はまあ、興味があれば見れば、といったものがそこここに。会場内では写真を撮ってはいけないことになっているのだけれど、せっかくカメラを持って来たので何枚か撮った、会場の外を。
一つだけ興味を引いた展示があって、百円を壁の穴から入れると内部で絵を制作して下の「作品取り出し口」から出てくるもので、高校の文化祭とどう違うかと言うと中にいるのが大人というだけだと思うのだけれど、絵の種類を選べることができてその中に「音の出る絵」というのがって、僕は音量子ゆえ欲しかったのだけれど、ずいぶんな行列であきらめたのだった。
帰りにミュージアムショップで図録を買った(2000円)。写真で見ると作品がなんとなく良く見えるのが面白い。
最初の方のページを見てみると横浜市も主催しているようだ。一般市民は芸術に対して甘い。しかし、この展示を見たら納税者の中には眉を顰めてしまう人がいるのではないだろうか。
›2005年11月12日
横浜トリエンナーレ
今日は天気がいいので、横浜トリエンナーレに行って来た。山下公園の入口にテントがずらっと並んでいるので盛り上がっているなと思ったら、そこは明日の横浜マラソンの設備なのだった。テントの群れを抜けると、このイベントのシンボルとなっているコンテナを五角形に積み上げたオブジェがあった。
美術を学ぶとは、こんなものを美しいとか創造的とか思わなきゃならんのか...
入口で入場料を払って、会場までは吹きっさらしの岸壁を10分程歩く。寒い日にはご注意を。
現代美術展の会場では、僕は足元を見て歩くようにしている。そうしないと、作品をごみと勘違いして蹴っ飛ばしてしまうからだ。
会場となっている倉庫に足を踏み入れると...
この項、つづく。
›2005年11月09日
眠亭
今日は打合せの帰りに下北沢で乗り換えるので、ついでに眠亭で昼食をとることにした。小田急の踏み切りのそばにある中華料理屋で、のれんにある「世界で三番目に旨い」の文句に心躍らせて店に入った。いつもは半ラーメン半チャーハンのセット「ラーチャン」(800円)をたのむのだけれど、今日は当店お勧め!「江戸っ子ラーメン」(650円)をはじめて頼んでみた。
1時をずいぶんとまわっているが、お客がひっきりなしに入ってくる。人の注文を聞いていると、ラーチャンが圧倒的に多いようだ。餃子や麻婆豆腐を頼む人も多い。
出てきた江戸っ子ラーメンを見てみると、大振りのどんぶりにチャーシューにほうれん草、それにキムチがのっかっていてる。これがなぜ江戸っ子なのか。聞いてみる気にもなれないが、とりあえず満足して店を出た。
今日の関東は暖かく、帰りの小田急線でとろとろしてしまった。車窓の外を見てみると、いつの間にか紅葉がすすんでいるようだ。
›2005年11月08日
科目試験
このあいだの日曜日は、科目試験で鷹の台に行った。雨の降る寒い日で、コートを着ている人もいた。校内の木々の中には、紅葉がすすんでいるものがあった。
日本美術史の試験を受けたのだけれど、少しは点を取らすための択一式の設問があるかと思ったら、全て論述式だった。
課題をきちんとやり、教科書を良く読み、興味を持って日本美術に接していれば、とりあえず答案を埋めることができる内容だった。
試験が終わってさっさと横浜に戻り、近所の鮨屋でビールを飲んだ。
ビールを飲みながら、これくらいの点は取れたろうと計算してみるのだけれど、計算をする度に点数が低くなるので、成績のことを考えるのはやめにした。
›2005年11月05日
喫茶店、本屋
四年前、横浜市の海沿いの街に越してきた時に、近隣に喫茶店と本屋が見当たらないことに驚いたけれど、生活の必需品というべきものがなくなったのに、半年も経つとそんなことも慣れてしまった。
とはいうものの、この街の住民は本を読んだりコーヒーを飲んだりしないのだろうか。
日本の街で僕の知る限り喫茶店の多いところはというと、京都だろうと思う。戦前からある店が旅行ガイドに載っていたりするが、実際に入ってみるとピンキリである。といって、キリの店でも街や近隣住民の生活に溶け込んでいるのだろう。
本屋に入ることがなくなってさびしいと思う反面、Amazonのような通販もあるし、図書館に行って今では商業ベースに乗らなくなった本を見つけることがあるので、それはそれで良いのかなと思う。
›2005年11月04日
厚木基地
昨年、厚木にある事業所に転勤になって、米軍の厚木基地は厚木市にあるのではなく、隣の大和市と綾瀬市にまたがっていることを知った。初めて厚木に来た日には、頭上を米軍機がガンガンと飛んでいて、僕の着任を祝っているようだった(ありえない)。
厚木はあまりぱっとしない街で、と言うと自分達の住んでいるところが都会と思っている厚木市民には怒られてしまうけれど、会社の御用達となっているフランス料理屋の名前は「鯛将」だ。
ここの刺身は旨くて、部署で飲み会をやるときにはこの店にしてくれるよう幹事に頼むのだけれど、ここでフランス料理を食べたことは一度もない。
›2005年11月03日
オリジナル
マンガ雑誌を買わなくなってどのくらいたつか考えてみると、ずいぶんな年数になる。
近所に時々行く中華料理屋が三軒あって、そのどれもが店にビックコミックオリジナルを置いている。それでオリジナルはいまだに見ているのだけれど、読む順番がいつもきまっていて、「玄人(プロ)のひとりごと」から入って、「三丁目の夕日」吉田戦車の「フロまんが」「龍-RON-」「釣りバカ日誌」までを読むとだいたい食べ終わるので、そこで店を出る。
ほんとは「あぶさん」と黒金ヒロシの「赤兵衛」もみたいのだけれど、食い終わってもだらだらとマンガを読み続けるのは女々しく感じるので、店を出てしまう。
今日、オリジナルをぱらぱら見ていると「三丁目の夕日」が映画化されている。ちょっと盲点だった。アニメだったら分かるのだけれど。
映画でも、原作と同じように昭和三十年代のディテールにこだわるのだろうか。それとも、原作とは違ったストーリーが展開されるのだろうか。