›January 26, 2010

入試日和の前の嵐



「それじゃあおきなまろさん、げんきでね〜〜〜」

半ば諦めたようなゆるい口調で、竹林兄さんは力なく私に手を振った。
おかしい。
普段は男らしくクールに軽く手をかざし、「じゃ」と小声で言い残して去る人なのに。


どういうこと? どういうこと?
まさか、自らの死期を悟って?
これからまさにあの川を渡ろうとしている???




いやあああ! 兄さん死んじゃいやあああああ!


はい。

そういうわけで、竹林兄さん、風邪で倒れました。

「ブログ更新しといて… (その後パスワードを口走る)」 という遺言を遺して。

兄さんのブログをジャックするわけにもいかないので、自分のブログを更新してみたり。

というかそもそも、最近、広報入学センターの人間は、順番に体調をくずしている。
いまだに流行の衰えをみせない新型インフルにやられたんじゃねーか?という疑念を持ちながら。
だって学内でも流行したし、流行しまくりの高校も訪問しまくりの部署である。周囲はインフルだらけ。かもすぞー。
皆症状を軽いところでとどめて、なんとかもちこたえようとしている状態。
だいたいこれから入試シーズンの本番が始まろうっていう時だ。入試の部署の人間たちが倒れていられるかっ!
そう、受験生が体調を万全に整えなければいけないのはもちろんだが、我々運営する側のスタッフもまた然りである。

風邪は今のうちにひいときましょう。そうしましょう。

ああ兄さん、私を残して逝ってしまうのね… と言いたいところであるが、
多分先にひいたのは私だ。うつしたんじゃないだろうか。ごめんなさい。


先週は一週間ずっと頭痛がして、毎日イヴを飲んでいて、土曜の夕方頃からどうも体がふわふわしてきた。
全身が痛くて、筋肉痛なんじゃないかと思っても思い当たる事もなく、帰宅して熱を計ったら微熱…
1年以内に2度も発熱するなんて、滅多に無い事。おきなまろ不覚!! 季節性インフルの予防接種は済んでるのにっ!
あらゆる対策を講じ、例えインフルであろうとも封じ込めてやるとばかりに気合いを入れて寝たら、翌朝平熱に戻っていた。
ざまーみろ新型(不確実)。

しかし頭痛は治まらずに一日寝、翌日も半日寝た。
しかしせっかくの休日を2日とも寝て過ごすのも勿体なくなってきたので、昨日は薬を飲んで、午後から洗濯&掃除。
夕方には財布と携帯だけひっさげて立川へふらりと出かけた。
ちょっとした買い物をしたのだが、帰途、まさかの持病の発作!!! 財布と携帯しか持ってないよ。薬持って来てないし!!!


えまーじぇんしー!   えまーじぇんしーーー!


まあ、その場は事なきを得たが、動揺しまくった。
ここ1年くらい落ち着いていたのが、12月くらいから何度かあるんだよなー。
やっぱここ1年分の疲れかなー。

思えば2009年は、私にとって激動かつ飛躍の1年であった。
他人からみたら普通の1年だが、私にとってはそれはもう画期的なもんでしたよ。
それの代償というか、ツケがこの程度の体調不良なら、甘んじて受けましょうとも。


自分としては、ふらふらとてきとうに生きているような自覚しかないのだが、
友達には、その自覚がおかしいんだって!これ以上がんばりすぎるな、と怒られ、
職場の人には、これからはお茶を飲むことも覚えようねと言われ、
やっぱりもうちょっと意識的にブレーキをかけながら、ゆるく生きていかんとな、と思った。


そんなおきなまろ、今日は久々に頭痛薬とおさらばした1日でありました。
なぜかリンパ腺が痛かったけど。電話に出ると受話器がぶつかって痛かったけど。
おたふくか何かかっ!?


最近はめっぽう疑い深くなっている。
入試はやっぱり受験生のために万全を期したいからね。


受験生のみなさん、
実力と運の両方を味方につけた者が、合格を手にするのですよ。
邪念を捨てよう。小細工はいらない。
真直ぐ、素直に、ぶつかろう。
そう、今はもう、運が来てくれる人間であることを極めることでしか、あがけない時期。
苦しいのは知ってる。
だからこそ、逃げずに正しい人間であれと願う。
私は心から、あなたのその純粋な目標を、応援しています。


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›March 12, 2006

入試を振り返る〔その10〕マウT活用法

以前、オープンキャンパスでしか着ていない「MAU Tシャツ」を
今後使えるのか、という事を書いた。(参:MAUグッズ考
パジャマになる前にもう一花咲かせるべく、タンスで出番を待っていたが、
この度、実に華々しい登場の仕方をした。


入試業務の期間中、おきなまろは毎日、ほぼ一日中室内で業務を行なっていた。
朝の通勤と夜の帰路が冷えるので、そこそこ着込んでいたのだが、
どうも長袖重ね着スタイルが暑いことに気がついた。
業務が忙しくて焦ってくると、頭に血が上り、のぼせたようになり、
ボーっとして、気分が悪くなるのである。
もともと暑がりな上、窮屈なのも苦手。息苦しい。
そこで、日程途中から半袖になってみたところ、実にさわやか。
うっすらひんやりすることもあるけれど、ほぼ快適。頭もスッキリ。


そうだ、学校のために働いているのだから、いっそマウTを着てしまえ。


今年度のと前年度のをタンスから引っぱり出し、着用してみた。
周囲から見たら、見るだけで寒い上に、気合いが入りすぎている
寒い人だと映り、極寒迷惑人間であろう。
でもこれ、マジで快適。
ほんと、入試業務が夏じゃなくてヨカッタ!

マウT姿のおきなまろに惚れた人、ご一報頂きたい。
ぜひ来年は一緒に半袖で入試業務をしよう。

okina_maro@hotmail.com

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›March 09, 2006

夜に来た速報


電話が鳴った。
従兄弟が、大学に合格したという知らせだった。
なんとなく私に似ていて、ひねくれもので、でもバカ真面目で、
すごくビビリで、寂しがりで、でもまっすぐな、かわいい弟。
ここ数年は、私が訪ねていっても、自室or地下室にこもりきりで、
ほとんど顔をみていないけれど、ずっと心配していた。
多分ちゃんと勉強はやってる。私に似て真面目な子だから。
でもきっと、すごく緊張していっぱいいっぱい。私に似て小心者だから。
そんな風に思っていた。


12月、彼はサンタクロースに、受験料を頼んで、貰ったらしい。
それで併願した大学、すべてに合格したというのだ。
自分が受験の時、美大以外は全く調べなかった私でも、
しっかり名前を知っている、ハイレベル大学ばかり。
すっげーーーーーーーーーーー!

何も目的とかやりたい事がないから、それを探すため、
とりあえずいい環境に入っていろんなものを見ときたい、それが志望動機。
すごい。それだけのことが、ここまでやる原動力になるなんて。
私が美術系のある高校を選んだ時の動機は、
図工の授業ばかりだったら楽しいのに、という理由だった。
美大受験を決めたのも、もっと美術の時間が多かったら楽しいのに、だった。
ムサビを第一志望にしたのも、美大の中で一番近いから、だった。
最初の動機が不純(?)なのもこれまた私に似ているなあ。
まあ、入学してから色々経験し、勉強し、悩んだから、今院にまで来てるわけで、
受験時には想像もつかなかったことを、6年間やって、考えてきた。

てことは彼も入学後、そらぁ山あり谷ありだろうが、きっと何かをみつけるだろう。

どの大学に行くかちゃんと考えて決めて、入学して落ち着いたら、訪ねよう。
きっと驚くほど背が伸びてて、すごい上からものを言われるんだろうな。
無意識に人を威圧するところも私に似てしまうのかな。

そんなこんなで、今日はちょっと疲れてたけどいい気分で眠れそうである。

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›March 06, 2006

入試を振り返る〔その9〕22世紀から来た入試

今年の基礎デの入試がドラえもんだった、という衝撃は
瞬く間に噂となって広域に広がって行った。


オープニング曲とともに、上空から試験監督がタケコプターで舞い降りる。
お腹には四次元ポケット。
そこから写真表を出して受験生の本人確認。
えんぴつを忘れた受験生あらば、公平な普通のHBえんぴつも出せる。
トイレに行きたい受験生あらば、目の前にどこでもドアを出し、
個室へと直接ご案内。出てきてすぐ席に戻れる。
すいませんどこで手を洗えばいいですか、という質問には、
いつもポケットに頼ってばかりじゃだめじゃないか、と、
筆洗バケツで洗わせるという、愛のある試練も与える。
試験監督に配布された、試験監督時における注意書き書には、
・「眼鏡をかけている子をいじめてはいけない」
・「試験中に歌をうたうことは周囲の迷惑となるので避ける」
・「かわいい女の子がいても入浴を覗く等の行為は控えること」
などというようなことが記載されている。
試験終了後には、参加賞として受験生全員にドラ焼きが配られる。


--------------------
おことわり
この話はフィクションです。
実際の基礎デザイン学科のドラえもん試験内容については、
夏以降に発売される問題集にて、きちんとご確認下さい。

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›March 03, 2006

入試を振り返る〔その8〕文具の転用

入試業務中、さかむけに悩まされた人が少なくなかったようだが、
私は主に紙を扱っていたので、手や指に小さな裂傷をいくつも負った。
一番大きな傷が治らぬまま、地元のバイト(歯科医院)に行く羽目になった。
この仕事、薄いラテックス製手袋を常に着用している為、手の湿気により
指につけたバンソウコウはシナシナになって役に立たず、
かといってそのままにしておくと、傷口がふやけて、
治りかけていたものもまた開いてしまうという、恐怖。
どうしよう、と悩んでいた私に、衛生士さんがよくやるという
裏ワザらしき荒療治が行なわれた。


〔1〕傷口にオキシドールをがっつり流し込んで消毒。(超しみる)
〔2〕ふうふうして乾かす。(しみなくはならない。気休め程度)
〔3〕傷口を閉じた状態で、アロンアルファを塗る。(めちゃくちゃしみる)
〔4〕ふうふうしまくって乾かす。(痛みに諦めがついてくる)
〔5〕完全に乾くまで根気よく待てば、あとは水仕事も可能。


水バンソウコウの、超強力バージョンだ。すごい。
しかし、医療現場でこんな荒業がなされるとは思わなんだ。
おかげさまでその日1日中傷口は開かず、そのまま治ったが、
なんとなく、普段工作で慣れ親しんでいるアロンアルファを
医療に転用することへの違和感が拭い去れず、
翌日マツキヨへ行って、常備薬とすべくサカムケアを購入した。


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›March 02, 2006

入試を振り返る〔その7〕入試と猫

ムサビには猫が多く棲んでいる。
受験生は知らない人も多いかもしれない。
ふだんは我が物顔で構内を闊歩している猫たちも、
芸祭やオープンキャンパスなど、人が多く集まる時には
影に隠れているからだ。

しかし、入試の時は違う。
試験の時間は、みな教室に入っていて、学内はいつもの
授業時間よりも静か。人気もまばら。
そうすると、猫パラダイスが始まってしまうことがある。
やたら鳴いたり、騒いだり、ケンカを始めたり。

受験生の集中力をそぐ、と試験監督から本部へ連絡が行く。
そうすると、何かあった時のために待機しているスタッフから
「猫バスターズ」が結成される。
猫をつかまえ、おとなしくさせ、会場から離れた場所へ隔離する。
お手製の猫の絵バッジをつけた緑コートの人たちを見かけた受験生の君、
彼らが会場の静寂を守る猫バスターズです。
大切な任務。

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›March 01, 2006

入試を振り返る〔その6〕電車物語

入試期間、鷹の台へ向かう国分寺線の車内は、受験生が大勢乗っている。
あちらこちらに、ガラガラやカルトンを持った姿が目に付く。
一人だったり、友達同士だったり、みな一様に緊張した面持ち。

電車は東村山を出発し、小川を過ぎ、見慣れた景色になってくる。
しかしそこで流れた車内アナウンスは、


「次は、こいがくぼー、こいがくぼでございます」


車掌さん間違えてらー、と思った瞬間、周囲に乗っている受験生たちが
一斉に、えっ?と顔をあげる光景が目に入った。
わー!受験生にいらぬ動揺を与えるんじゃないよ!!今日に限って!
入試関係者モードにスイッチON!
すぐさま私も顔をあげ、「こいがくぼ〜?ちがうだろ!」と
突っ込むように、大袈裟な苦笑い顔をつくってみた。
少しでも、焦りを和らげてあげたいと思った一瞬の判断。
たいした効果はないと思うけど、こちらも必死である。

少ししてアナウンスは、「失礼しました、たかのだいに到着します」
と訂正し、電車は普通に止まってみんな降りたけど、そういえば
受験の時って、ちょっとした事でもビクッとしちゃうんだったなーと
昔の事を思い出した出来事だった。

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›February 28, 2006

入試を振り返る〔その5〕バス物語

おきなまろ、基本的に乗り物が嫌い。
だから、学校・鷹の台間をバスに乗ろうと考えたことはなかった。
しかし長丁場の入試業務。体力はできるだけ温存しておかねば。

そんなわけで帰りのみ、学校から初めてバスを利用することにした。
「鷹の台っていう停留所があるけど、騙されたらだめだよ。
 鷹の台駅に一番近いのは、その次の津田町だからね。」
と教えてもらい、いざ正門前からバスに乗り込む。

おー速い速い。夜の道すいてるな。ぐんぐん進む進む。
おっ、鷹の台、ここは降りちゃダメ。
次、津田町、津田町で降りるんだから。まだ。まだ。
「ピンポンパーン♪次は、津田町、津田町でございます。」
よし、次だ、そろそろ降りるぞ、そろそろ、
「ピンポンパーン♪次は、鷹の街道外、鷹の街道外でございます。」
えーーーっ!? 津田町は素通りかよ!?!?!?


……私がいけないのです。
降車ブザーを押さなかったのです。


私はブザーを押す習慣がない。
自宅最寄のバス停留所は、降りる人がいないことはまずないので、
誰かが押して、必ず止まる。逆に駅に行く時は、終点だし。
目的の停留所に止まることを疑ったことがないのだ。
しかしここは小平市小川町。時は夜。乗客は3人。
ばかだねーーーー。

津田町を通過し、その状況を飲み込んだ瞬間から、
ひたすら景色を覚えるべく窓の外を見回し続けた。
どれくらい進み、何回曲がるか覚えて戻らないと。
幸い次の停留所は近かった。歩いて戻り、1本遅い電車に乗った。

次の日は、国分寺まで乗る人たちと一緒だった。
前日の話をしたら、私を津田町で降ろすべく尽力してくれた。
ありがとう。こんなどんくさい私を、これからもどうぞよろしく。
おかげさまで最近は、ひとりで津田町で降りれるようになりました。


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›February 27, 2006

入試を振り返る〔その4〕入試と生命と

俗世間と離れた地中で、入試業務を続ける毎日。
外が明るいのか暗いのか温かいのか寒いのか、
あまり感じる事も無いまま過ぎてゆく毎日。
そんな中、私の携帯電話は、外界と繋がっていた。
9号館地下と12号館地下は、FOMAアンテナがあるのだそうだ。
私はFOMA利用者。アンテナは常に3本。

とはいえ、別にいつもたいして電話やメールなんてやらないから、
ごくまれに届くメールに気付くぐらいで、現実の世界は
やはり、あまり感じられないまま過ぎてゆく日々。
しかし、ある日の1通のメールが、私に感動を与えた。
「○日に、赤ちゃんが生まれたよ」
これだけの簡潔な文章。
4月に出産予定だった友人から。早産になりそうだとは聞いていたが、
まさか入試業務真っ只中でこの一報を受けるとは思わなかった。

私がモグラのような変な世界しか見えていないときでも、
新しい生命の誕生があり、日は昇り、月が出て、地球はまわる。
自分の感情がうまく理解できないまま、そっと外へ出て、
うっすら笑みを浮かべながら少しだけ涙を流した。


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›February 26, 2006

入試を振り返る〔その3〕上水ウォーク

入試期間は、毎朝8時半頃の学校到着を目指し通勤していた。
そうすると、受験生のガラガラ隊と一緒になる。
なるべく彼らと違う道を行くのだけれど、
どうしても学校の近く100メートル位は混ざって歩くことになる。

毎朝、必ずといっていいほど聞こえてくる会話。

「ムサビ、駅から超遠い」

そうだろうなあ、ガラガラして20分くらい歩くんだもんなあ。
何度も通っている道じゃないから、遠く感じるよなあ。
でもよう、これ位のことでへばってたら、美大生活は
やっていけないよう。暗い所でしっとりと絵をかいているという
いわゆる世間一般の美大のイメージは大間違いだよう。
体力勝負だよう。特に彫刻とか工デとか受験している君達、
入ったらほんと筋肉必要だよう。


しかし、そんなに心配する事でもないだろう。
私は今は、ちっとも遠いと思わない。慣れきっている。
辛いのは猛暑の時くらい。あとはいい運動だ。頭が冴える。
通学を続けているうちに、カルトンバッグ持って
鷹の台駅から学校までノンストップでダッシュとか、
できるようになるから。
大丈夫、大丈夫。


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›February 25, 2006

入試を振り返る〔その2〕幸せの味

入試業務中、食事はリッチに出るのだけれど、
どうしてもお弁当系に偏るから、麺類やフレッシュ野菜が食べたくなる。
麺はしょうがないと諦められるが、野菜を諦められなくなってきた頃、
一品、とくべつな料理が出た。

「モチーフ漬け」

広報の手羽氏が作っていたMAU野菜炒めと材料はほぼ似ていて、
キャベツ、パプリカ赤・黄、ニンジン(油絵)、米ナス・レモン(日本画)でできている。(筈)
これがまた、べらぼうにウマイ!
生野菜の食感を適度に残して歯ごたえを楽しめるし、
塩味も控えめで量を多く食べることができる。
お弁当の他に、ボウルにドーン、紙皿にドーンと回ってくるモチーフ漬け。
幸せだった。人気だった。みんなむさぼり食っていた。
あまりに美味しいから、作った人に「どうやって作ったんですか?」と聞いたら、
「えっ?あっ、ただ切って漬けただけ……」
と申し訳なさそうに答えてくれた。

なんの小細工もなく、この味ができあがっていた。
美味しさの正体は、「愛」であろう。
苦難の道を辿った野菜たちに、もう一花咲かせ、
その野菜を必要としている人間たちに届けたい、というその心だ。
手羽氏の料理にもう一味加えるべきものがあるならば、それは愛である。

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›February 24, 2006

入試を振り返る〔その1〕入試業務の秘密

今回の入試に、おきなまろは深く関わっていた。
地下深いところで、2週間近く仕事をしていた。
画材を買うために受験生がガラガラでガラガラ通ったところの真下で。

パソコンの前にいることも多かったので、入試の様子を日記で
随時更新していくことはできないわけではなかったが、
なにせ、入試であり、私の仕事がこれまたマル秘事項満載だった為、
情報流出を防ぐべく更新をひかえていた。

だって、○日の○○科の試験で○時に○○が○を○して、受験生は
○○を使って○○することになるため、○○が○○である、とかいう
ことまで事前に知っているわけで、うっかりさんな性格を自認している
私は防衛策をとらざるをえない。これぞプロ意識!
通勤電車の中では関係書類を鞄から取り出して見ることはせず、
友人と会っても入試の話を極力避け、学内で教室整備バイトの軍団に
遭遇しても、素通りする。これぞ、これぞプロ意識!!


今、関係者から入試の情報を事前に聞き出す方法があったかと
少しでも頭をよぎってしまった方に、お教えする。
ムサビの門、あの妙な形の異様な存在は何だろうと思った事はないか?
あれは実は、「入試時物忘れゲート」である。
門外不出の情報を頭に詰め込みまくっている関係者が、
あの門を通って学外へ出る際、ギュイン、と反応し、記憶を消す。
翌日、その門を通ることで、シュワッ、と記憶が戻るのである。
MIBもびっくり。昔も今も、ハイテクな存在、ムサビ門。
だから、関係者に誘導尋問をしかけても、きれいさっぱり
忘れているから、無駄ですよ〜

てことで、これからも、人に優しく不正に厳しい、おきなまろを、
よろしく。

okina_maro@hotmail.com

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›November 10, 2005

芸祭の感想〔その2〕

芸祭1日目と2日目、私はごくたまに、受験生相談コーナーにも出没した。
奥では入試課の職員の方が詳しい入試相談に応じているから、
学生に聞きたいことなんてないだろう、どうせ暇だ、と思っていたが、
とんでもない。ひっきりなしに人が来るし、質問が来る。
私はデザイン専攻だから、デザイン系学科に関する質問がほとんど。

多いのは、迷える現役生や高校2年生。
自分にはもうずいぶん前のこと。どういう気持ち考えで
受験に臨んだかということはだいぶ忘れている。
若者は、こんなにも頭が固いというか、いっぱいいっぱいなのだなと、
改めて認識した。視野をもうちょっと広く持て、と思うのは歳をとったからか。
相談者はそれぞれに、やりたいことや将来の夢を持っている。しかし
それをやるには、特定の「○○学科」でしかできないと思っていて、
他を滑り止めに受けとくか否か、という感覚。まっすぐすぎるのも、ちょっとどうかな。
デザイン系の学科は、それぞれ違うことをやっているというより、
同じ目的に対するアプローチ方法が違うだけと考えてほしいもの。
逆にいえば、特定の目的があっても、ムサビのカリキュラムでは、
例えば広告だけとかプロダクトだけ等、一点集中でやる学科やコースはないわけで、
いろんなことをやるなら、どの学科がどんないろんなことをやっているのか、
学科案内を読みこむなりして視野を広げ、併願するのがオトクでっせ。

商売口調になってきた。
芸祭後半2日間は、願書の売れ行きがのびなかった。
当然だ。平日、現役生は学校、浪人生は予備校である。
土日でめまぐるしく売れたため、ギャップが激しく、買ってくれよと思いが募る。
募りすぎて、暇な時間に我々、歌まで作ってしまった。
ヨー○ル食べ放題(焼肉の歌)の節でどうぞ。
「♪願書は一冊千円受け放題 受け放題ヨロレイヒ
  最大8学科も受け放題 受け放題ウヨレイヒ
  日本画油絵彫刻視デも受け放題
  工芸工業空間演出受け放題
  建築基礎デ映像芸文受け放題
  デ情も受け放題♪」
著作権の問題をクリアすれば、いろいろな歌詞のバリエーションが作れる。
来年の芸祭ではぜひ、ヨーデル受け放題の伴奏を流し、
広報の手羽氏オンステージで受験生にアピールしてほしい。


つづく

okina_maro@hotmail.com

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›November 03, 2005

芸祭の感想〔その1〕

お祭り好きおきなまろ。今年の芸祭もちろん参加。
当日は神経が擦り減っていたので、回復した今早速感想を書きます。

4日間、主に名物観覧車を裏から見ながら、
心まで凍りつきそうなツンドラ地帯(1号館ピロティ)にいた。
露出度の高い服を着た人が通りすぎる中、我々はまるで
イヌイットのようなコートを着込み、ストーブに貼り付いて、
野口英世と入学願書を飛び交わせていたのです。
「願書・問題集販売中です!買って〜」と叫びながら。(※一部心の声)
お祭りだと思ってウキウキして正門を直進したら、
いきなり受験コーナーってどうなの?と思うが、これが意外によく売れる。

私の中には、芸祭で願書を買うという発想がなかったので、
正直、受験生がこんなにまじめに志望校を視察し臨戦態勢なのに驚いた。
というか、自分が受験生の時のテキトウさが露見してしまった感じだ。
私の頃はまだオープンキャンパスがなかったから、受験前は
進学相談会に何度か出向いた程度で、それも予備校の友達に
連れてってもらってバスで行ったので、受験当日、初めて鷹の台から歩いた。
ムサビ出身の母に、「迷いようがない。駅から見えるし大丈夫。」
といわれたが、30年近く前の野原の景色と今は違うではないか。無謀である。
人の流れについていって、商店街を進みT字路に差し掛かった時、
ムサビの係の人が持っていた案内板に書かれていたのは、

武蔵野美術大学
  ← →

どっちですか!!!!!!
この時からすでに入試が始まってるのかと思ったものだ。私は今試されている!と。
確かに今考えればどっちからでも行けるのだが、その時は目が点になった。
当日に初めて行くっていうのは、やっぱり避けるべきことです。
受験生の皆さん。下見も兼ねて、オープンキャンパスや芸祭には、
ぜひいらしてください。現在高2の君。来年願書買ってね。


つづく


okina_maro@hotmail.com

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›June 17, 2005

お悩み相談

オープンキャンパスにて、来校者に場所を尋ねられ、案内すると
ついでに質問をされることが何度かあった。
私がムサビ生の気品に満ちあふれ、神のごとく輝いていたからであろうか。

大体親子連れで、子は一歩引いていて、母親の方が深刻な顔をして聞いてくる。
「やっぱり浪人された方のほうが多いんですよね?
 勉強期間が短い現役生は実力的についていけるのでしょうか?」
とか、逆に
「現役のほうが、やっぱり立場とか、あの、偉いんですか?」
など。

えー?なんでまたそんな事を聞きたいわけ?と驚いたわけだが、
昔を思い返してみると、自分も入学前は不安だったものだ。
私は現役だったのだが、受験前に高校の美術教師に
「お前のデッサン力じゃ合格はかなり無理がある」と言われたほどで、
合格してしまってからはもう、入学後に落ちこぼれる自分しか想像できずにいた。
母に不安な気持ちを吐露しても、
「入っちゃえば同じよ。大丈夫。アナタ背がでかいから歳くって見えるし。」
などと根本的に方向が間違った慰めを受けたりして、しばらくビクビクしていた。
しかし入ってみると、なんと母の妙な助言が的を得ていたわけで、
学生は現役、浪人と名札をつけているわけではないし、
「雰囲気が浪人生っぽい」と言われたり、気づけば年上の友達が多いし、
一番最初の実習授業では教授が「ガッシュ使ったことない人いますか?」
という楽しい問いかけをしてたし、
なんだかもう、いつのまにか入学前に悩んでいたことなどは忙しさの中に消えた。
結局、現役だろうが浪人だろうが、新しい環境に対しての不安はそれぞれ
みんな違ったものを持っていて、でも不安であることはみんな同じ。
気にする必要はないと思う。今になると、そう思えるのだ。

ましてや院生にもなると、美術系以外の学校から来た人や、
社会人経験のある人など、バリエーション豊富なメンツで、上下関係など
は消えてなくなる。
先日、学食で向かいの席の学生がこんなことを話しているのが聞こえた。
「最近ムサビが低年齢化してきたなーって思ったら、俺が歳とってたんだな」
おそらく高学年。しばらくムサビにいると、このくらいテキトウになるのだ。
受験生ならびに保護者のみなさん、悩んでるのがばからしくなってきたでしょう。

私がいろいろと質問されたのはもしかすると、気品があったからではなく
過去に悩んだ経験がありそうな、影のある人間に見えたからかもしれない。
悩まない優秀な学生というふうに見えたわけじゃない、ということか。


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›March 06, 2005

【受験】 第4話:4年後の実態

もうムサビは受験がひととおり終わった。
終わったところで打ち明け話。
1年半前の院の受験。緊張して前の晩はあまり眠れなかった。
小論の試験、焦って書いたら1時間でマスがうまり、
残り1時間もあると気付いて、字をきれいに書き直したりしたが、
それでも30分以上残っていて、部屋は暖かく寝不足だったために、
……居眠りをこいた。試験中に眠れる自分に驚いた1日だった。
いくら緊張していたといっても、学部の時ほどではなかったらしい。
今日の教訓:受験で寝るなよ!


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›January 18, 2005

【受験】 第3話:集団課題違反の話

カンニングは、いけないこと。
しかし、実技試験においては、周囲の人がどんな状況か、
気になってちょっと見回すくらい問題ない。
ただ、あの時ほど受験者が人の動向をうかがって
まわりを見まくった試験はないであろう。


事件は基礎デの平面構成で起こった。
問題:「用紙を5回折り曲げ、できた線の中を
    塗りわけなさい」(という主旨だった)
配られた問題用紙は、ケント紙に枠が印刷されたもの。
え……これを折れってか?
分厚いケント紙は、2回以上はきれいに折れないだろうと
容易に想像がつく。慌てる。他の人も同様に慌てている。
アイデア練り用に、サイズの小さいコピー用紙が2枚
一緒に配られていたので、とりあえずそれをみんな折り出す。
なんとなくアイデアが固まったところで、本番用紙を折るか
またみんな悩む。牽制する。折り始める人は現われない。
折り目のついた紙にガッシュをきれいに塗れるとは思えない。
結局、ほとんどの人が、コピー用紙の折り目を目測で
本番用紙に定規で引き写す、という手段を選んだ。
作業中、常に頭の中には課題違反の恐怖がつきまとった。
試験終了、回収の際、わずか数人の用紙だけ折り目があった。


入学後、新歓の席で、ある教授が言った。
「入試の問題、あれ、紙をちゃんと折った人」
シーン。
「あれホントは折らない人落とそうかと思ったんだけど、
 折ってる人がほとんどいないんだよねー。」
………。
危うく落とされるところだった私達。
一瞬の沈黙を経たのち、ブーイングが飛び交った。
入学してまだ2日にして、団結して教授に刃向かう学生達。
それほどまでに、あの時の我々の動揺は大きかったのである。


今日の教訓:
ライバルばかりだと感じがちな入試会場も、
時には受験者同士が結束して味方になることもあるのだ。


okina_maro@hotmail.com

Posted by okina at 10:11 PM | Trackbacks [0]

›January 17, 2005

【受験】第2話:実技試験の話

視デのデッサン。モチーフは確か、サテンの白い布の上に、
白ワインの瓶、白くデッカイかぶら。白ずくしだった。
「構図は自由だが、瓶の後ろにかぶらが重なって
 映りこんでいる部分をえがくこと。」
クジをひいて、その番号のイーゼルの前に座り、モチーフを見た。
ワイン瓶、何本もあるのに、一本もかぶらと重なっていない。
なんという角度に当たってしまったのか。クジ運が悪すぎる。
こりゃ落ちたわ、と思った。


今日の教訓:
試験中、落ちた、と思った学科は落ちるので注意。
思っちゃいけない。絶対に。


okina_maro@hotmail.com

Posted by okina at 12:03 AM | Comments [0] | Trackbacks [0]

›January 15, 2005

【受験】 第1話:緊張の話

もう、ずいぶん前の話になる。けっこう忘れている。
ムサビを受験した時の事、頑張って思い出して、シリーズ。

そういえば、家庭では私の受験に関しては、ほっぱらかしだった。
「ここ、受けることにしたから」「ふーん、いくらかかるの?」
親との会話は、これくらいしか記憶にない。
親としては、同時期の妹の高校受験の方が重要だったらしい。
大学は知らん、でも高校は浪人したら困る、とのこと。
見事に無関心を決め込まれたため、家庭内での重圧感はゼロ。
当日は早朝に家を出発というのが、受験のよくあるシナリオだが、
私は高校が遠いため毎朝6時過ぎに出かけていたので、
受験の方がむしろ遅く、特別感はまるで無し。
こんな状態だから、全然これは普通にいけるだろう、と思っていた。

が、とんでもない。
行きの西武線で酔いました。毎日平気で乗ってる電車に。
驚いて、あわてて、とにかく焦って、なんとか着きました。
人が多いです。知ってる人も誰一人みつかりません。
教室までの地図がよめません。トイレがすごい並んでます。
もう頭の中は大パニック。落ち着け、自分。
だめです。冷静だと思っていた自分像が音を立てて崩れます。
なんだよ、別に普通に教室入って席に着いて問題解くだけだろう?
そう自分に問いかけても、まるで効果がありません。
試験開始まで、芋ヅル式にいろんなワタワタ感に襲われました。

今日の教訓:
いつも通りとか、平常心でなんて、きれいごと。
緊張して当然。まず、緊張している自分に驚くなかれ。
冷静はそこから始まる。


Posted by ichiro at 12:13 PM | Comments [0] | Trackbacks [0]