April 15, 2009
人の、もろさ、つよさ、とか
私が入学センターのおきなまろとなってから、まともに挨拶もせず、
なんで入学センターに勤めることになったかも説明せず、
ムサビ日記の更新がてきとうなかんじだったのには、ちょっとした事情がある。
プライバシーの問題があるから詳しくは書けないが、シェアメイトのひとりが、突然大変な状態になった。
本人はとにかく怯え、シェアメイトも皆毎日怯え、ちょっとした物音にも敏感に反応するような、
常に緊張の糸が張りつめたような、異様な日々を、先月末から送っていた。
住空間をシェアしているといっても、共有空間があるというだけで、
それぞれは元々友人同士でもなく、生活もプライベートもみなそれぞれ別々という暮らしの中、
今回の事態は、とにかく住人たちは戸惑うばかりで、でもなぜか、私だけ肝がすわっていた。
火事場の馬鹿力というやつだろうか、普段はハンパないビビリの私が、いざっていう時、
妙に冷静に頭が回転するもんで、落ち着いて緊急事態にも対処でき、その後も住居のオーナーや
当人の家族に連絡をとったり、もろもろの対応を一手に引き受けた。
よく冷静でいられるね、と言われるのだけれど、誰かが動かなければ全員にとって悪い状態で、
みんなが動揺して固まってしまっているのなら、私がやるしかないじゃないか。
当人、周囲のことにひたすら怯え続けていたので、完徹で側についていた時もあった。
一晩中、抱きしめて頭をなでて「大丈夫」って言い続けて、
「朝は来るよね?」という質問に「必ず来るよ、明るくならなかった日はないよね」と言い、
「どうして私を助けてくれるの?」という質問には、
「わからない。でもきっと、あなたは今まで気付かないうちに人を助けてたんだ、
だから順繰りで、あなたが今、人に助けてもらってるんだよ。」と答えた。
今思えば、その言葉は自分に言ってやった方がいいと思うくらい、自分が言うのは信じられないくらいの、
いままで考えた事もないような、そんな言葉が次々と口からながれてきた。
人に、こんなに真直ぐに面と向って、逸らすことができないくらいの目でみつめられたことはなかったし、
100パーセントの信頼をもって私に身を預ける人もいなかった。(赤ちゃんを除く)
いろんな場面で自信のなかった自分だが、今回初めて、自分の強さを感じた。
価値観、人生観が、この短期間で、がらりと変った。
だが確かに、私だけが何ともなかったわけではなくて、やはり極度の緊張状態で日々暮らしていた。
大学へ出勤すれば、仕事を次々とやって頭をいっぱいにして、仕事に逃げようとしていたし、
新人のくせに残業ばかりして、家に帰る時間を遅くしたりしていた。(まだ仕事を効率よくできないのもあるが)
4月上旬は、どんどん疲れてストレスが溜まっていく日々。
仕事の合間にもあちこち連絡したりして、やっと、やっと当人の家族と連絡がとれ、状態も落ち着き、
家の中にもみんなの和やかな空気が戻って来た。
「ありがとう、私な、命を助けられたような気分なんや。」
と言われた。
実は、同じ事を以前も一度、別の人から言われたことがある。
その時も、今回も、私は人を助けようと思って動いたわけではない。
すべて自分のため。自分が、こんなの嫌だと思うから、このままだと自分がつらいから。
それが結果的に、人のためになった。
人のために何かをしたいという気持ちは、正直私の中に殆どない。
そうは見えないらしいが、エゴであるレベルなくらい、いつも自分のことばっかり考えている。
でも、今回は人のためになった。命を助けたと言ってもらった。
私という人間の存在が、肯定された瞬間だ。最上級に。
私は今までの人生で、2度、自分の生命をこの上なく尊いものだと感じられたのだ。
幸せだな。
一切の飾りのないコミュニケーションは、心を洗い流すと思う。
ただ、今私は、自分が自覚している以上に疲労している可能性も否めない。
精神的にも身体的にも、今後不調が出ないよう気をつけなければならない。
5月頭の完全落着へむけて、急に気をぬかないようにしなければならない。
仕事をしている人間の責任というものがあるし、周囲に迷惑がかからないようにしたい。
今日は、自分へのごほうびに、仕事帰り、夕飯に回るお寿司へ行ってしこたま食べ、
カラオケへ行っておもいっきり一人で歌った。
懐メロのオンパレードをやった。
その中で、何気なくチョイスした、岡本真夜の「Tomorrow」、
見るものすべてに怯えないで 明日は来るよ 君のために
あまりにも、どんぴしゃりで、歌いながら、涙が止まらなくなった。
私だって、こわかった。
つらかった。
つらかったんだよ。
でも、明日は来る。私のために。
おっとっと、私がなぜ入学センターに勤めることになったか、また書けなかったじゃないか。
次回、乞うご期待。
okina_maro@hotmail.com
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