›February 28, 2006

入試を振り返る〔その5〕バス物語

おきなまろ、基本的に乗り物が嫌い。
だから、学校・鷹の台間をバスに乗ろうと考えたことはなかった。
しかし長丁場の入試業務。体力はできるだけ温存しておかねば。

そんなわけで帰りのみ、学校から初めてバスを利用することにした。
「鷹の台っていう停留所があるけど、騙されたらだめだよ。
 鷹の台駅に一番近いのは、その次の津田町だからね。」
と教えてもらい、いざ正門前からバスに乗り込む。

おー速い速い。夜の道すいてるな。ぐんぐん進む進む。
おっ、鷹の台、ここは降りちゃダメ。
次、津田町、津田町で降りるんだから。まだ。まだ。
「ピンポンパーン♪次は、津田町、津田町でございます。」
よし、次だ、そろそろ降りるぞ、そろそろ、
「ピンポンパーン♪次は、鷹の街道外、鷹の街道外でございます。」
えーーーっ!? 津田町は素通りかよ!?!?!?


……私がいけないのです。
降車ブザーを押さなかったのです。


私はブザーを押す習慣がない。
自宅最寄のバス停留所は、降りる人がいないことはまずないので、
誰かが押して、必ず止まる。逆に駅に行く時は、終点だし。
目的の停留所に止まることを疑ったことがないのだ。
しかしここは小平市小川町。時は夜。乗客は3人。
ばかだねーーーー。

津田町を通過し、その状況を飲み込んだ瞬間から、
ひたすら景色を覚えるべく窓の外を見回し続けた。
どれくらい進み、何回曲がるか覚えて戻らないと。
幸い次の停留所は近かった。歩いて戻り、1本遅い電車に乗った。

次の日は、国分寺まで乗る人たちと一緒だった。
前日の話をしたら、私を津田町で降ろすべく尽力してくれた。
ありがとう。こんなどんくさい私を、これからもどうぞよろしく。
おかげさまで最近は、ひとりで津田町で降りれるようになりました。


okina_maro@hotmail.com

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›February 27, 2006

入試を振り返る〔その4〕入試と生命と

俗世間と離れた地中で、入試業務を続ける毎日。
外が明るいのか暗いのか温かいのか寒いのか、
あまり感じる事も無いまま過ぎてゆく毎日。
そんな中、私の携帯電話は、外界と繋がっていた。
9号館地下と12号館地下は、FOMAアンテナがあるのだそうだ。
私はFOMA利用者。アンテナは常に3本。

とはいえ、別にいつもたいして電話やメールなんてやらないから、
ごくまれに届くメールに気付くぐらいで、現実の世界は
やはり、あまり感じられないまま過ぎてゆく日々。
しかし、ある日の1通のメールが、私に感動を与えた。
「○日に、赤ちゃんが生まれたよ」
これだけの簡潔な文章。
4月に出産予定だった友人から。早産になりそうだとは聞いていたが、
まさか入試業務真っ只中でこの一報を受けるとは思わなかった。

私がモグラのような変な世界しか見えていないときでも、
新しい生命の誕生があり、日は昇り、月が出て、地球はまわる。
自分の感情がうまく理解できないまま、そっと外へ出て、
うっすら笑みを浮かべながら少しだけ涙を流した。


okina_maro@hotmail.com

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›February 26, 2006

入試を振り返る〔その3〕上水ウォーク

入試期間は、毎朝8時半頃の学校到着を目指し通勤していた。
そうすると、受験生のガラガラ隊と一緒になる。
なるべく彼らと違う道を行くのだけれど、
どうしても学校の近く100メートル位は混ざって歩くことになる。

毎朝、必ずといっていいほど聞こえてくる会話。

「ムサビ、駅から超遠い」

そうだろうなあ、ガラガラして20分くらい歩くんだもんなあ。
何度も通っている道じゃないから、遠く感じるよなあ。
でもよう、これ位のことでへばってたら、美大生活は
やっていけないよう。暗い所でしっとりと絵をかいているという
いわゆる世間一般の美大のイメージは大間違いだよう。
体力勝負だよう。特に彫刻とか工デとか受験している君達、
入ったらほんと筋肉必要だよう。


しかし、そんなに心配する事でもないだろう。
私は今は、ちっとも遠いと思わない。慣れきっている。
辛いのは猛暑の時くらい。あとはいい運動だ。頭が冴える。
通学を続けているうちに、カルトンバッグ持って
鷹の台駅から学校までノンストップでダッシュとか、
できるようになるから。
大丈夫、大丈夫。


okina_maro@hotmail.com

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›February 25, 2006

入試を振り返る〔その2〕幸せの味

入試業務中、食事はリッチに出るのだけれど、
どうしてもお弁当系に偏るから、麺類やフレッシュ野菜が食べたくなる。
麺はしょうがないと諦められるが、野菜を諦められなくなってきた頃、
一品、とくべつな料理が出た。

「モチーフ漬け」

広報の手羽氏が作っていたMAU野菜炒めと材料はほぼ似ていて、
キャベツ、パプリカ赤・黄、ニンジン(油絵)、米ナス・レモン(日本画)でできている。(筈)
これがまた、べらぼうにウマイ!
生野菜の食感を適度に残して歯ごたえを楽しめるし、
塩味も控えめで量を多く食べることができる。
お弁当の他に、ボウルにドーン、紙皿にドーンと回ってくるモチーフ漬け。
幸せだった。人気だった。みんなむさぼり食っていた。
あまりに美味しいから、作った人に「どうやって作ったんですか?」と聞いたら、
「えっ?あっ、ただ切って漬けただけ……」
と申し訳なさそうに答えてくれた。

なんの小細工もなく、この味ができあがっていた。
美味しさの正体は、「愛」であろう。
苦難の道を辿った野菜たちに、もう一花咲かせ、
その野菜を必要としている人間たちに届けたい、というその心だ。
手羽氏の料理にもう一味加えるべきものがあるならば、それは愛である。

okina_maro@hotmail.com

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›February 24, 2006

入試を振り返る〔その1〕入試業務の秘密

今回の入試に、おきなまろは深く関わっていた。
地下深いところで、2週間近く仕事をしていた。
画材を買うために受験生がガラガラでガラガラ通ったところの真下で。

パソコンの前にいることも多かったので、入試の様子を日記で
随時更新していくことはできないわけではなかったが、
なにせ、入試であり、私の仕事がこれまたマル秘事項満載だった為、
情報流出を防ぐべく更新をひかえていた。

だって、○日の○○科の試験で○時に○○が○を○して、受験生は
○○を使って○○することになるため、○○が○○である、とかいう
ことまで事前に知っているわけで、うっかりさんな性格を自認している
私は防衛策をとらざるをえない。これぞプロ意識!
通勤電車の中では関係書類を鞄から取り出して見ることはせず、
友人と会っても入試の話を極力避け、学内で教室整備バイトの軍団に
遭遇しても、素通りする。これぞ、これぞプロ意識!!


今、関係者から入試の情報を事前に聞き出す方法があったかと
少しでも頭をよぎってしまった方に、お教えする。
ムサビの門、あの妙な形の異様な存在は何だろうと思った事はないか?
あれは実は、「入試時物忘れゲート」である。
門外不出の情報を頭に詰め込みまくっている関係者が、
あの門を通って学外へ出る際、ギュイン、と反応し、記憶を消す。
翌日、その門を通ることで、シュワッ、と記憶が戻るのである。
MIBもびっくり。昔も今も、ハイテクな存在、ムサビ門。
だから、関係者に誘導尋問をしかけても、きれいさっぱり
忘れているから、無駄ですよ〜

てことで、これからも、人に優しく不正に厳しい、おきなまろを、
よろしく。

okina_maro@hotmail.com

Posted by okina at 06:44 PM | Comments [0] | Trackbacks [0]