April 26, 2005
きもちわるい形を考える
私は杏仁豆腐が好きだ。
温かい時期になると、安売りの杏仁の素をまとめ買いする。
粉を溶かしてバットに注ぎ、冷やし固めて、盛り付けて食べる。幸せ。
しかし、盛り付ける際にちょっとした問題がある。
平らに固まった杏仁には、包丁でまず縦に数本筋を入れ、
つぎに斜めに入れる。そうすると全部があの菱形になるのだが、
切込みを入れてから器に盛る際に、切れ目がずれて、平面に
妙なスリットと立体感が生まれる、その光景がきもちわるいのだ。
私がきもちわるいと思う形は、■が多い。■は人工的な感じのする形だ。
自然のものが、■に切取られて複数並んでいる状態が一番嫌だ。
例えば、ところてんをニュルっと押し出して、出てくるときの形。
たぶんこれが断面が●だったらそうきもちわるくはないのかもしれない。
他には、朝食りんごヨーグルトの、前のCM。画面いっぱいに映し出された
大きなりんごが、パーッとはじけて角切りになる光景。
いくら山田優がかわいくても、あのCMが始まった瞬間顔を伏せていた。
母は、水玉模様を異様に嫌う。●は自然っぽい形だが、それを
規則的に並べた状態が趣味が悪い、鳥肌が立つ、という主張だ。
HAPTIC展で、おたまじゃくしコースターという作品があった。
有機的なものが整然と並んでいる状態は、ゾッとする感覚を呼ぶ、
といったようなコンセプトの作品。
まさにこれじゃないかと思う。
有機的なものに、人工的な要素を加えた状態は、反自然的で、
人間の本能として、受入れにくい部分があるのかもしれない。
ゾッとしてきもちわるいのは、ある意味、危険を感じているような気もする。
歯科でのバイト中、口腔外科手術の助手をする事があるが、
その時に、歯肉にメスが入って、微妙にパクッとなった状態を
見るのがおそろしい。切開して剥離してしまってからは何ともないのだが。
切り込みが妙に人工的で不自然だからだろう。危険センサーが動くのだ。
ただ、杏仁も角切りりんごも水玉も、単体ではきもちわるくない。
集まっているということに意味があるようだ。
そう言えば以前、自分の奥歯がきもちわるいと言った人がいた。
ぎゅっとなっている感じが嫌なのだという。
密集のきもちわるさについては、よくわからない。
似たような事を研究している同級生にきいてみようと思う。
okina_maro@hotmail.com
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