January 18, 2005

【受験】 第3話:集団課題違反の話

カンニングは、いけないこと。
しかし、実技試験においては、周囲の人がどんな状況か、
気になってちょっと見回すくらい問題ない。
ただ、あの時ほど受験者が人の動向をうかがって
まわりを見まくった試験はないであろう。


事件は基礎デの平面構成で起こった。
問題:「用紙を5回折り曲げ、できた線の中を
    塗りわけなさい」(という主旨だった)
配られた問題用紙は、ケント紙に枠が印刷されたもの。
え……これを折れってか?
分厚いケント紙は、2回以上はきれいに折れないだろうと
容易に想像がつく。慌てる。他の人も同様に慌てている。
アイデア練り用に、サイズの小さいコピー用紙が2枚
一緒に配られていたので、とりあえずそれをみんな折り出す。
なんとなくアイデアが固まったところで、本番用紙を折るか
またみんな悩む。牽制する。折り始める人は現われない。
折り目のついた紙にガッシュをきれいに塗れるとは思えない。
結局、ほとんどの人が、コピー用紙の折り目を目測で
本番用紙に定規で引き写す、という手段を選んだ。
作業中、常に頭の中には課題違反の恐怖がつきまとった。
試験終了、回収の際、わずか数人の用紙だけ折り目があった。


入学後、新歓の席で、ある教授が言った。
「入試の問題、あれ、紙をちゃんと折った人」
シーン。
「あれホントは折らない人落とそうかと思ったんだけど、
 折ってる人がほとんどいないんだよねー。」
………。
危うく落とされるところだった私達。
一瞬の沈黙を経たのち、ブーイングが飛び交った。
入学してまだ2日にして、団結して教授に刃向かう学生達。
それほどまでに、あの時の我々の動揺は大きかったのである。


今日の教訓:
ライバルばかりだと感じがちな入試会場も、
時には受験者同士が結束して味方になることもあるのだ。


okina_maro@hotmail.com

Posted by okina at January 18, 2005 10:11 PM
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