April 21, 2004
まわる扉
病院へ行った。大きな総合病院で、出入り口は回転ドア。
今回は行くのを楽しみに…という言葉を使うのは軽薄なのだが、
六本木ヒルズの事故以来、その病院の回転ドアがどうなっているのか興味があった。
私は田舎に住んでいるので、回転ドアに出会う場所はその病院ぐらいしかない。
前回行ったのは事故の前。ただ普通に回転ドアがクルクルしていた。
「ドアに触れると止まります」とあり、車椅子などは軽くぶつかって止めてから通っていた。
手動の停止ボタンもあり、足の悪いお年寄りや松葉杖の人は、介添者がボタンを押していた。
病院という環境上、すぐ簡単に止められるゆっくりなドアが採用されているのだろう。
しかし、あの事故以後、回転ドアに関して何も変化がない筈はないだろうと思った。
人間の動線や行動心理に少々興味を持っている私は、色々なパターンを予想して行った。
看板、チェーン、誘導線などが、実際はどう配置されているのだろう。
着いてみて、拍子抜けした。私の想像よりはるかにシンプルだったのである。
■看板には、「駆け込まないで下さい。お子様は手を引いて下さい。
出入りが不安な方はお声をかけて下さい。」とあり、中は「立ち止まらないで下さい」だ。逆も然り。
●ドアが閉まる瞬間に駆け込めないよう、端にカラーコーンがさりげなく置いてある。
これに関しては、出入り口が狭くなって余計ぶつかりやすいとも考えられるが、
いずれにせよ小さい子供がすり抜けようとする進路を妨げるのには効果的だろう。
一番の拍子抜け要素は「警備員」。すぐ救助できるようフットワーク軽く構え、目を光らせている。
時計を見ながらスルッと駆け込んだ私を、「危ねーだろ、気を付けろ」という顔で睨みつけた。
私は、機械や道具を使ってどうするか、という事をバーチャルでしか考えていなかった。
しかし機械や道具は、私がよそ見をしながら駆け込んだことには気付かない。
いかつい設備や立看板の言葉より、何よりも人間ひとりの存在が一番の安全策だったのだ。
私のような頭の堅い人間の考え出す事が、事故を引き起こす原因になるのではないかと思い、
怖くなった。ショックだった。身をもって学習した気がする。
okina_maro@hotmail.com
“機械に使われたいのか、機械を使いたいのか”
回転ドアの一件から余計に人はこのことを明確にしていかなくてはならないね。
機械との共存はごく自然だけど、
逆を言えばこれ以上の不自然さはないと思います…
事故らなくてなによりです。
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