今回はちょっとだけ経験を積んでる身からのエントリー

手羽さんから出されていたお題。
こどもを持ったから上がった経験値って考えてみたら
これがやっぱり大きいかな。

メディア・リテラシーの必要性を痛感したこと
情報を読み解く力って言うか。

竹林さんも空デの公開講評エントリー「影絵!」でキーワードは「疑え」って言っておられましたね。

目にうつる、思考を停止していても入って来る情報だけが
真実じゃないよ
。ということなんだろうと思います。

マスメディアが決して描こうとしないことは実はとても多く
そのことほど私たちに重要であったりする。
ここのこにこのことをを教えてくれたのは映像作家の鎌仲ひとみさん(あっ作品を通してです)です。

今までに観た映像作品の中で最も衝撃を受けたのは
彼女の作った「HIBAKUSHA ヒバクシャー世界の終わりに」というドキュメンタリーでした。

NHKの番組制作のためイラク取材を続けていた鎌仲さんが直面した事実と
疑問を追う取材の中で明らかにされていく真実、そして自分たちの足元にある
問題に行きつくーそれは衝撃的な現実。

「HIBAKUSHA」という表記の意味するところがわかった時には頭を殴られたような衝撃を受けました。
その後彼女は核燃料サイクルとその現場にいる人々を描いた「六ヶ所村ラプソディー」という作品を作ります。
資金調達や上映場所の展開のしかたの方法もユニーク。
完成前から自主上映会を呼び掛け、制作時に撮りためた映像をビデオレターという形で発表していくというグラスルーツ(草の根)手法でネットワークを広げます。

こういう作品は興行的には難しい面もあるのですが
じわじわと広がって自主上映が600カ所以上にもなったのは
作品の力と監督の人柄の魅力だと思います。

デザイナーとして有名でカッコイイ、ミハラヤスヒロさんも「未来の“クリテリオン=基準”とはなにかを探る連載「Criterion MIHARAYASUHIRO」で昨年彼女と対談しています。
とてもいいので見て下さい。
リンクは勝手に貼っちゃだめかも?しれないので貼りませんが
ミハラさんのこの連載、他の方もとてもよかったのでおススメです。

鎌仲さんは東京工科大学の准教授をされていて卒業制作に学生にもドキュメンタリーを作らせたりしていたそうですが、今はタマビ、ICU(国際キリスト教大)、明治大などで
非常勤講師をされているそうです。
そんな彼女の最新作が完成し、観てきました。
「ミツバチの羽音と地球の回転」
http://888earth.net/staffblog/2010/05/post-63.html

放射能に汚染されるイラクの実態、日本の原爆被害者、自国の核実験によるアメリカの被害者、そしてエネルギーを原子力に求めるがゆえにあぶり出されるイギリスや日本の社会の矛盾を伝えてくれた前2作に続き、
この映画は核三部作の最終作として
「未来を選ぶ選択肢はあるのだ、あとは私たちが意志を持って行動するかどうかだけだ」というメッセージを届けてくれました。

タイトルのミツバチは映画の中に出てくるスウェーデンの小さな自治体の取り組み、不可能と思われた「自然エネルギーで自給自足する」が可能になったことの象徴でもありますが(マルハナバチは身体の構造上飛べないはずなのに飛んでいるので「不可能を可能にする」象徴とされる)ぶんぶんと飛ぶ羽音とはひとりひとりが起こす小さな行動であることも意味しています。

「小さな羽音でも共鳴して共振し、やがて地球の回転を起こす。この映画はその羽音の記録だ」apバンク監事の田中優さんの感想の一部を引用させてもらっちゃいました。
あまりにもここのこの感じた気持ちを的確に表現している言葉なので。

撮影中に何回か現場で接することがあったのでとても完成を楽しみにしていました。
膨大な映像の中から涙を飲んで削ぎ落とされながら完成された映画は
生活音や自然光がふんだんにあり、「なつかしい」と思えるような映像もありながらスウェーデンの社会のあり方も描かれていて本当の民主主義ってどんなこと?もまざまざと私たちに見せてくれます。またスタイリッシュなSing002の音楽が効果的に
使われていて「思考停止するな!」と私たちに訴えかけてくるようです。

あのアニメーション「頭山」で有名な映像作家山村浩二さんもブログで感想を述べられています。
こちらをどうぞ。
http://888earth.net/staffblog/2010/05/post-63.html

表現者として学んでいる方にぜひ観ていただきたいなと思います。

美大生が作るフリーペーパー「PATNER」にこの鎌仲さんと「ミツバチの羽音と地球の回転」音楽担当アーティストSing002の対談が載っていたらしいのですが、Pに「見かけたら送って」と言っていたのにみつけられなかった、だって。

関野教授つながりというのはここで、鎌仲さんに「オファーはどうやってあったのですか?」とうかがったら「ムサビの関野さんの授業で映画を上映したらムサビの学生さんとつながりができてああいう企画になりました」ということでした。
どなたか見かけた方あったら教えて下さい。

今回、鎌仲さんからムサビをはじめとして今、学んでおられる学生さんに送りたいという
メッセージを預かりました。

自分の将来を決める時に、どのような情報を元にしているのか
自分の思考とか、心理を見つめるようにして欲しいです。 誰かがあな
た方の頭や心をのっとっていないか。本当に自分自身が考え、望んでい
ることをしようとしているのか、そこを大事にしてほしいと思います
。」

いやあ、ここのこのようなロートルにも響きます。
これがちょっとだけ経験を重ねてる人間からの発信です。

写真は「ミツバチの羽音と地球の回転」の舞台のひとつ
上関町の田ノ浦を海から見たところ。ここを埋め立てて!原子力発電所が立てられる計画があります。

s-2010 0508 スナメリウオッチング&島めぐり 007.jpg

ちなみに建てようとしている中国電力という電力会社が運営している島根原発は
点検漏れが506カ所あったということで今は運転が止まっています。
日頃は止めている火力・風力発電などを使っているので停電などにはなっていません。

投稿者:koko : 2010年05月17日 15:03

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コメント: 今回はちょっとだけ経験を積んでる身からのエントリー

鎌仲さんのメッセージ、みずしらずの心にズシンときました!
去年の今頃、みずしらずは娘の頭や心を乗っ取っていましたから、、。
別に進路について、将来について押し付けていた訳ではないのですが、反抗的な様でいて、娘はみずしらずの漠然とした希望や思考、それから情報にかなり影響されていましたから、、。
入学してから、「生き方そのものも、自分で模索して学んで行く大学生活になりそうだね、、。」と話し合いました。
今は心のそこから、心身ともに健康であれば、どんな生き方でも、自分の生きたい様に生きて欲しいと願っています。
まあ、社会に出るまでは、みずしらず家は、金銭的にNGな事は多々あるんですけど、、、。

投稿者 みずしらず : 2010年05月17日 19:09

「情を報じる」と書いて情報ならば、「自分の情」はしっかり持ってないと・・・ですね。
それが自分の視点につながっていくのだとすれば、美術・デザインを学ぶ学生さんにはなおのこと大事かもしれません。

しかし、これだけ情報があふれている世の中になると、その見極めがますます難しくなっている感がありますね。
まさに「森を見て木を見ず」・・・あっ!うまいこと言ったかも!


投稿者 竹林 : 2010年05月18日 01:10

みずしらずさん

>入学してから、「生き方そのものも、自分で模索して学んで行く大学生活になりそうだね、、。」と話し合いました

そういう話し合いができたなんてすばらしいことだと思います。
こどものこととなるとね、ちょっと冷静でいられなくなる時もあります。

手羽さんの言われるように
それでもそんな時期もあってこそ何か「身をもって知る」こともあるような気もします。


竹林さん

自分の経験から言っても自分の視点を持つって結構大変ですね。
情報の量が今はすごいですから。

でもそんな状況でも真実をすくいとる感性は身につけてほしいなと
思ったりします。

投稿者 ここのこ : 2010年05月22日 22:53

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