リアルな美大の日常を
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僕の夢の島
GoogleMapを見ていたら思い出した、小学生の時の話。
「荒川を下っていくと夢の島ってのがあるらしいぜ!」と、
一緒によく探検したり基地を作って遊んでいた親友が言った。
え、何それすげー!と思った。
そのドリーミーな名前の響きから、脳内でどんどんと「僕の夢の島図」は形成されていって、
期待に胸を膨らませていた。
今ではそこが単なる埋立地であることを知っているが、
当時の私はそこは遠い所らしいということ以外、何も知らなかった。
めっちゃ遠いみたいだけど、今度チャリで行ってみようぜ!と友達と約束した。
かれこれ13年前ぐらいのことだ。
ちょうどワンピースが週間少年ジャンプで連載を開始した頃の話である。
夢の島に夢を求めて荒川を下るという私の壮大な野望は、
ワンピースを求めてグランドラインを航海するルフィさながら。
川を下る覚悟を見せるため、目の下にあえてナイフで傷を入れたり…
食べると体がゴムになる果実を食したり…は、しなかった。
それからまた数日後、親友は夢の島についての新たな情報をゲットしたらしく、
私に得意げにこう言った。
「知ってた…?」
「夢の島にはな………」
「ホモ公園ってのがあるらしいぜ!!!!」ドン!!
「なんかホモがいっぱいいる公園があるんだって!!!!」
え…なにそれ…
私は絶句した。
そして、数秒後に心のなかで叫んだ。
(それ…僕の思ってたんと違う!!)
私の脳内にある、虹色でテーマパークのようなキラメキを持った「僕の夢の島図」は
一瞬にしてなんだか色合いの妖しげな紫色っぽいものとなった。
当時の私の認識として、ホモはオカマの別の言い方で、
ホモ=オカマ=化粧したり変な髪の色したりしてる男の人=つまり、志茂田景樹
という方程式がたてられていた。
(今、思えば志茂田景樹はただ奇抜なだけだ。)
なので、「僕の夢の島図」は志茂田景樹みたいな人がウジャウジャいる場所になり代わった。
今想像してみると、それはそれである意味夢の島感は漂ってはいるが、
その時は夢から醒めた思いがした。思ってたんと違った。
僕、やっぱ行かない。そう言って私の冒険は出航前に終わった。
親友は私とは違った好奇心を持っていて
ホモ公園という存在を知った後の方が俄然行く気まんまんになっていた。
今、どうなっているのかが心配だ。
その後は知らない。
あれから13年。今もなお、ルフィはワンピースを求めて航海を続けている。
つい先日単行本第59巻が発売された。すごい長旅だ。
しかし、それでもまだ物語は半分程度らしい。
かく言う私は4年ほど前にやっと新たな冒険に出ることを決意し、
デザインという大河を渡る旅へ出たばかりだ。
学年は4年になり、美術大学という言わば序章的な緩い波の中から、
社会という激しい波の中に飛び込もうとしている。
仕事先があれば、それは方位磁石みたいな役割かもしれない。
自分の進みたい方向を指し示してくれる。でも、船は自分自身だと思う。
道を行くか、進むかどうかは自分の判断だ。
私は得ようとしていた磁石を得ることができず、仕事もまだ決まっていない。
手探り状態で道には迷いまくりで、まわり道になるだろう。
けれども、船自身はその先の野望へと進む気が満々でいる。その今の気持ちを忘れずに、
自分なりのペースで旅をしていきたい。
こちらはルフィよりも、もっと長旅になりそうだ。
と、青臭くしめよう。
さっき、google検索で夢の島を調べたら実際にそういう噂があるそう。13年後の事実。
親友よ、小学校低学年にしてすさまじい情報収集力だな。と思った。