リアルな美大法人企画室長の日常を
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小説::手羽殺人事件 8号館
ミステリーブログ小説
手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第8話
前回まではこちら
■第1話 1号館
■第2話 2号館
■第3話 4号館
■第4話 5A号館
■第5話 5B号館
■第6話 6号館
■第7話 7号館
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
竹林「さて困った・・・みんなアリバイがあるなあ・・」
minx「でも、今まで聞いた人のアリバイを整理してみようよ。何か見えてくるかもしれない」
竹林「まずはおきなまろさん・・」
minx「ほぼ完璧にアリバイが成立してるけど、唯一」
竹林「そう。4号館のくだり」
minx「あそこだけ不自然なんだよね。動機があるだけに一番怪しい人物なのは変わらない」
竹林「次はみちくさとりこさん」
minx「竹林くんから聞いた情報だと・・・(メモを見る)・・彼女の言葉を信じるんだったら、シロだね。ちょっとだけ午前のアリバイがあいまいだけど」
竹林「でも、引っかかってる部分があるんだ・・・」
minx「どしたの?」
竹林「思いすごしかもしれないけど、午前のくだりがあるじゃない?」
minx「ああ。パソコンルームの話ね。11時まで人がいなかった、ってやつ?」
竹林「うん・・まあ・・それもあるんだけど、『男神輿を見に5B号館に行った』という理由が」
minx「そりゃ、男神輿だもん。理由を聞くのはヤボってやつでしょ」
竹林「男神輿を制作してる場所は2号館なんだよ」
minx「あっ」
竹林「彫刻の工房は2号館だから、5B号館に男神輿があるはずがない」
minx「ってことは・・」
竹林「彼女は何か嘘をついてる。それも『男神輿を見たかったから』という理由以上に言えない嘘が」
minx「そして次が四輪駆動さん」
竹林「午前中は体育に出てたというけど、午前全部体育ってのいうは変じゃない?」
minx「今のカリキュラムならそれもできなくはないけど、どんだけ体育好きやねん!って突っ込みたくなるよね、それじゃ」
竹林「そして、午後は工房で8時まで制作・・・」
minx「この制作っていうのがクセモノ。制作中といってもずっと工房にいるわけじゃないから、抜け出そうと思えばいつでも抜け出せる。実際に『工房にずっといた』と言いながら『7号館で絡みづらい人を見た』と矛盾した発言をしてるし」
竹林「それもそうだ(笑) でも、確かにアリバイが一番はっきりしてないのは四輪さんだけど・・彼女には動機がないよ」
minx「毎日新聞に掲載された写真が気に食わなかったとか?」
竹林「毎日新聞の記者がどうのってことは言ってたけど、手羽さんのことは何も言ってなかったよ」
minx「うーん・・・そして、最後は絡みづらい人くん」
竹林「彼に直接会えたわけじゃないから、友達の証言を信じるなら」
minx「竹林君・・まだ気がついてないの?」
竹林「・・・へ?!」
minx「そうか。君はわかってなかったんだね。クラウザーさんのマスクをかぶってたのは間違いなく絡みづらい人くんだよ」
竹林「ええええ?!」
minx「なぜなら、彼が手に持ってた本に三国郡英伝のカバーがかかってて、グミを食べてたんだもん」
竹林「ってそれだけで本人だと決め付けるのはどうかと・・・」
minx「絡みづらい人くんは東京の下町生まれの下町育ちでしょ?江戸弁って「ひ」を「し」って発音しちゃうんだけど、さっきのクラウザーさんは『人』を『しと』、『必修授業』を「しっしゅうじゅぎょう』って発音してた。これが決定打だね。三国郡英伝のカバーがついた本を持ってて、グミ好きで江戸弁をしゃべる視デの子なんて絡み君以外考えられない」
竹林「今時若い子がそんな江戸弁を使ったりはしないでしょ・・」
minx「いやいや。方言って染み付いてるもので、札幌の人なんて『僕達は全然訛ってない』といいながら、気を抜くと語尾に『・・べさ』ってついちゃうからね。どんなに気をつけても染み付いたものは出てきちゃうのさ」
竹林「じゃ、なんで僕らをだましたわけ?」
minx「ボクラをだまさなくちゃいけない何かがあるってことだね」
竹林「・・・・・・」
minx「次は誰に聞いてみる?」
竹林「妥当なところだと、ヤスタカくんあたりじゃない?彼はちょこちょこ手羽さんと接点があったみたいだし、手羽さんから『ムサビから抹消してやる★』と言われて、その恐怖に耐え切れず殺害した・・・という可能性が考えられる」
minx「じゃ、こうしよう。二人で全員に聞いてまわってたら時間がもったいないから、ここからは別行動ってことで。竹林君はhelvetica さんをお願い」
竹林「ああ。そういえば彼女は『手羽さんが顔を覚えてなかった』って怒ってたよね。ムサビ日記メンバーとしてはこれは充分殺害の動機にはなる」
minx「じゃ。ボクはヤスタカくんが終わったら、8号館の工デ連中と、最近大学に対して不信感を抱いてるっぽい建築のkey_tさんあたりをあたってみるよ。大学への不信感=法人への怒りに変化する可能性もあるし」
竹林「じゃ、終わったら入学センターに集合ってことで」
minx「了解!」
minxは8号館の方向へ走っていった。
竹林は携帯を取り出しながら、9号館へ向かった。
竹林「もしもし。竹林です。ちょっと今いいかな?・・」
竹林は2時間後にある出来事を聞かされる。
8号館中央吹き抜けで3階からの落下物が直撃し、minxが死んだ、と。
* * * * * * *
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
というわけで、helveticaさん、次お願いします。
小説::手羽殺人事件 5A号館
ミステリーブログ小説
手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第4話
前回まではこちら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
minx「入学センターも静かになっていいってもんだね。さ、次行こうか。」
竹林とminxは目でサインを交わし、目の前の入学センター倉庫に入った。
発送用の広報物や願書などが保管されている倉庫だ。
竹林「・・おきなまろさんじゃなかったか・・」
minx「一番怪しい・・というか、彼女なら手羽さんを殺害する動機は充分あるしね」
竹林「彼女じゃなかったら他のメンバーは違うんじゃないの?」
minx「でも、完全にアリバイが証明されたわけでもない。エミュでの行動はちょっと不自然すぎる」
竹林「本当にりんらんさんが大学に遊びに来てたかもしれないよ」
minx「それはないと思う。テニスコートっていうかなり面白い劇団・・というかコントグループの衣装の手伝いをしてて、公演が近いからすんごい忙しい・・って最近mixi日記に書かれてた。大学に来ることがあっても、エミュでゆっくりお茶を飲んだりする時間はないはず」
竹林「うん。何かを隠してるような雰囲気だったのがすごく気になる」
すると、ヒソヒソと話をしてる竹林の背後に突然影が忍び寄った。
ドスン!
大きな音と共に竹林は激痛を感じた。
「痛っ!!!!誰だ!!」
ナベ「す、すいません(汗)」
竹林「な、なんだ。ナベちゃんか。イテテテ」
ナベ「5A号館の日本画研から学科別パンフレットが戻ってきたので倉庫に持ってきたら、落っことしちゃいました。足大丈夫ですか?」
竹林「足の小指の上に落とさなくても・・・でももう大丈夫大丈夫」
ナベちゃんとは、去年から広報課で働きだしたムサビ油絵OBである。
頭が良くて仕事は速く丁寧だが、ちょっとおっちょこちょい。
ナベ「本当にすいません・・・・・ところで・・・・あのー、ちょっと突っ込んでもいいですか?」
竹林「え?」
ナベ「なんで竹林さん、アフロヘアのカツラかぶってるんですか?」
minx「実はオレも気になってたんだけど。入学センターに戻ってくるなりかぶったでしょ?突っ込むべきかどうか迷った」
竹林「いやー、変装でもしないと、おきなまろさんに質問する勇気がなくて・・・なぜかこれをかぶると勇気が沸いてくるんだよね(笑)」
minx「毎日新聞に掲載された時もアフロヘアで出てたよね。君にとってアフロは兜みたいなものなのかもな」
竹林「いいこと言うねー。そのフレーズ、今度ブログで使わせてもらうよ」
minx「でも、アフロヘア姿で毎日新聞に登場した大学職員って世界で君が初めてなんじゃないの?」
竹林「ムサビの自由さが表現できて、良かったでしょ?」
minx「ううん。逆。あれは見事に武蔵野美術大学の品位を下げてくれたよね。広報課としてはやめて欲しかった。広報課長も実は怒ってたよ」
竹林「・・・というか、あれも手羽さんの口車にのせられて・・つい・・」
minx「うーん、やっぱり、どう考えても一番怪しいのは竹林くんだと思うんだけどなあ・・・」
竹林「その前に君を殺したいよ・・」
ナベ「あ、竹林さん。そういえば、さっき竹林さんを学生さんが訪ねてきてましたよ」
竹林「え?さっき?」
竹林はアフロヘアを取りながら答えた。
ナベ「ええ。お二人がしばらく席を外してる間に」
竹林「なんて?」
ナベ「『5分ぐらいで戻って来ると思いますよ』と答えたら、『じゃ、また10分後ぐらいに来ます』っておっしゃってました」
竹林「何って子だった?」
ナベ「名前は聞かなかったんですが・・・髪の短い女性で大きなバックを持ってて・・・・芸術文化学科の4年生と言ってました」
竹林「・・・・多分みちくさとりこさんだな・・・。一体なんだろう。僕に用事って」
ナベ「『急ぎではないけど伝えたいことがあって』とおっしゃってましたよ」
竹林とminxは顔を見合わせ、とりあえずその場は解散した。
竹林はそのまま1号館下の喫煙所へ行き、一服することにした。
考え事をするには最高の場所だ。
竹林「でもこうやって全員に聞いて回るのはちょっと大変だな・・・仕事もいっぱいたまってるし・・どうしよう・・・」
すると、9号館の自動ドアからみちくさとりこさんが出てきた。
竹林「み、みちくささん!!!」
みちくさ「あ。竹林さん・・」
竹林「さっき、僕のところに来た?」
みちくさ「ええ・・・。ちょっと話したいことがあって・・・」
竹林「え。何?ちょっとそこで話そうよ」
いつも元気なみちくささんの顔が今日はなんとなく暗い。
二人は9号館前のベンチに腰掛けた。
竹林「・・そ、そういえば、昨日って何をしてた?」
みちくさ「え。き、昨日ですか?」
あまりにも不自然な会話の持っていき方に自分でも動揺したが、ここは押し通すしかない。
竹林「う、うん。ブログ見てたら、就職活動で忙しいそうだから」
みちくさ「ああ。忙しいですね」
竹林「説明会とか面接とかの日々なんでしょ?例えば昨日なんて何をしてたのかなーと」
みちくさ「そうですね。昨日は・・・・」
みちくさとりこ は語りだした。
つづく。
* * * * * * *
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
みちくささん。次は「5B号館」でお願いします。
小説::手羽殺人事件 2号館
ミステリーブログ小説
手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第2話
前回まではこちら
■1号館
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刑事「ムサビ日記メンバーを調査してほしいのです」
竹林「調査って・・・どういう意味ですか?それって刑事さんの仕事じゃないんですか?」
刑事「この事件には難しい点が3つあります。まず一つはブログサイト上のメンバーが捜査線上にあるということ」
minx「それが何か?」
刑事「普段からお互いをハンドルネームで呼んでるそうですね?基本的に顔も知らないんですって?」
竹林「まあ、そうなんですが・・」
刑事「手羽さんのブログにも『メンバーの顔が分からなかった』と書いてありました。そのハンドルネームの人の本名と連絡先を把握してるのは誰ですか?」
竹林「ある程度は僕やおきなまろさんも知ってますけど・・・全員の本名と連絡先を知ってるのは手羽さんだけです」
刑事「そうなんです。そのハンドルネームが誰なのか、特定することが極めて難しい。匿名性の高いネットを使った巧妙かつ、現代的な犯罪といえます」
minx「他の2つは?」
刑事「2つめは、大学内で起きたこと。私達が学内をうろちょろ聞き込みをしては目立って仕方ない」
竹林「確かに。そんなボロボロのコートを着た学生や教職員はいない・・・」
minx「この狭い世界だと、『刑事に質問された』というのが周りに広がるだけで、2chとかで犯人扱いされるでしょうね」
刑事「3つ目は、容疑者が学生であること。場合によっては未成年の可能性もあり、調査にはかなり気を使って動かないと後々大変なことになってしまうのです」
竹林「で、私達がやるべきことは?」
刑事「ここからが本題です」
minx「え。まだ本題じゃなかったの?手羽さん並に前置きが長い人だなあ・・」
刑事「ムサビ日記のメンバーに昨日のアリバイと動機を聞いて回ってほしいのです」
竹林「と、いうと?」
刑事「昨日1日何をしていたのか。どこにいたのか?それを証明できる人はいるのか?何か動機はないか?といった具合に」
minx「2つ聞いてもいいですか?」
刑事「どうぞどうぞ」
minx「昨日って水曜日で平日ですよね?他の法人企画室スタッフは出勤してなかったの?」
刑事「この日は理事会で全員新宿サテライトに直接向かって、そのまま解散したそうです。手羽さんだけ他の急ぎの仕事が入ってて、この日は鷹の台勤務だったとのこと」
minx「もひとつ。旦那さんが帰ってこなかったら普通奥さんが心配しますよね?家族から連絡はなかったの?」
刑事「はい。先ほど判明したのですが、奥さんは子どもを連れて札幌へ里帰りをしてたんだとか。手羽さんの仕事の繁忙期はそうしてるそうです」
全て想定内の質問だったのか、刑事は何も見ずに説明をした。
竹林とminxは刑事から簡単な捜査レクチャーを受け、入学センターに戻った。
竹林は席につく。
隣の2号館からはカーンカーンと石彫場で石を叩く音がする。
大変なことになった。
手羽さんを殺した犯人がムサビ日記メンバーにいるかもしれない。
そんなはずはない・・と思いたいが、あそこまで自信をもって刑事から言われたのでは反抗しようがない。
無実を証明するためにみんなに聞くのだ。
竹林は決心した。
竹林「まずはこの人だな・・・」
竹林は左斜め前に座って作業をするおきなまろさんに質問をした。
竹林「おきなまろさんって昨日は非番だったよね?」
おき「ええ」
竹林「昨日は何をしてたの?」
つづく。
* * * * * * *
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
小説::手羽殺人事件 1号館
ミステリーブログ小説
手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第1話
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2009年10月。
武蔵野美術大学80周年式典と芸術祭までもう少し、そんな日に事件は起こった。
守衛・大村は午前1時の学内定例見回りで1号館3階をチェックしていた。
1号館3階が定例見回りの最後のフロアであり、ここが終われば守衛室に帰れる。
もうすぐ11月。めっきり外は寒い。
早くあったかい場所に戻りたいものだ。
何気に法人企画室をドアガラスからのぞくと、奥からぼんやりとした光が見えた
パソコンのモニタは窓側に向いてるため画面は見えないが、原因は窓に反射したモニタ画面だとすぐにわかる。
「あの席は確か手羽室長の席・・・。パソコンの電源を落とさずに帰ったのか。仕方ない室長だなあ(苦笑)」
とつぶやきながら、なにげなくドアノブに手をかけると、ドアが開いた。
「ん?鍵がかかってない・・・うわっ。なんだこの暑さは?!?!」
ドア横にあるエアコンの画面をライトで照らすと、「暖房32度」と表示されている。
「これは暖房にしても熱すぎでしょ・・・。。。。ん。え?・・・」
モニタの前に人の気配を感じたのだ。
椅子に座ったまま、キーボードにうつぶせ状態の人物がいる。
室内の電気をつけ、近寄りながら声をかける。
異常な状態に体が慣れてきたのか、なんとなく部屋中が臭いことに気がついた。
鼻を押さえながら大村は近づく。
「も、もしもし?・・・・・どちらさんですか?手羽さん?ど、ど、どどうしたんですか?もしもし!」
応答が無い。
モニタの前まで行って、とんでもない状況を把握した。
そこには頭から血を流し全く動かない手羽がいたのだ。
震える手で無線を取り、応援を大声で呼ぶ。
「こ、こ、こちら大村!守衛室応答願います!」
「(ピー)こちら守衛室。どうぞ」
「現在1号館3階の、ほ、法人企画室で・・・・手羽さんらしき人が・・・とにかく、お、お、応援を・・いや、至急救急車を!!!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
翌日。
二人の人物が刑事に呼び出された。
minxと竹林だ。
刑事「あなた達は手羽さんのお友達だそうで」
竹林「友達ってわけではないんですが・・・」
刑事「でも、つるんでブログを書いてたって話を他の職員の人に聞きましたよ」
minx「ぼ、僕は更新少ないから、全然関係ないっす。仕事が忙しいので早く帰してください」
刑事「いやいや。もう少しお時間を」
竹林「僕たちが真っ先に呼ばれたってことは・・・もしかしてムサビ日記と何か関係あるってことですか?」
刑事「・・・まだ断定はできませんが・・・その可能性が高いとだけ今は・・・」
minx「そういえば、竹林くんが『手羽ブログでの竹林の扱いが冷たすぎる。いつか殺してやりたい』って言ってましたよ。犯人はこの人です」
刑事「それは本当ですか?!」
竹林「ちょwww。そう思った時も一瞬あったけどー、あれは手羽さんの優しさによるもの、竹林にハッパをかけてるんだとわかったんです。そういうminxさんも『セルフエスティームの低いやつは広報課にいらん!』って怒られて泣いてたじゃん」
minx「そ、それは・・・」
刑事「まあまあ。あなた方二人でないことぐらいは既に調査済です。お二人のアリバイを課長から聞いています」
minx「なんだ・・」
竹林「でも、・・・ムサビ日記と関係あるっておっしゃいましたよね?私達に何を聞きたいんですか?」
刑事「では、単刀直入に言います。」
竹林・minx「ゴクリ・・・・」
刑事「ムサビ日記メンバーの誰かが犯行に関与してる可能性が高いのです」
竹林・minx「えっ・・・・」
刑事「ただ。それが誰なのかがわからない。なので極秘理に捜査に協力していただきたいのです」
竹林「そ、そんなことを言われても・・ぼく達には仕事が」
刑事「先ほど課長にはお願いしました。嫌なら嫌でもいいんですが、断った場合、仕事中に日記を書いてることを課長にばらしますよ」
竹林「・・・」
刑事「先ほどネットワーク管理室でネットワーク通信記録を確認させてもらいました。仕事が忙しい人が仕事中に非公式サイトである日記を書いてるわけないですよね〜〜?仕事中にブログの取材に行ったりしてませんよね〜〜〜?」
minx「竹林くんは書いてるかもしれませんが、僕は書いていません」
刑事「それはそれでもっと更新しなさい」
minx「うぐっ・・・・・」
竹林「で、具体的にどんな協力をすればいいんですか?」
刑事「はい。それは・・・・。」
つづく。
* * * * * * * * *
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
本当は12月に思いついてたエントリー。
「書くことがない時に公開しよう」と思ってたんだけど、手羽がムサビ日記から出て行く前に公開しないと意味がないことに気がつきまして。
あわてて公開。
4話分まで書いてたのを2話にまとめました。
第4話以降あたりから何をやりたいのかが見えてくるはず。
多分。
壮絶!美大生バトル小説ブログ11
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
11枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目| 6枚目|7枚目|8枚目|9枚目|10枚目
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2009年10月31日。
「優勝は田中武蔵くん!!」
勝った。
僕は80周年バトルでとうとう優勝してしまった。
それは長い長いバトルだった。
舞美にバトルのことを教わったのが1年生の時。ボクは既に3年生になっている。
思い起こせば沢山のバトルがあった。
歴代のバトル・全学生のデータを登録したコンピュータを駆使し、データでバトルをするデ情のハイテクくん。言ってることは正しいのだが詰めが甘い。
ボクの「何も考えない作戦」で相手のデータを狂わして勝つことができた。データが全てじゃないんだ。
鹿児島出身で「オイドンは〜」が口癖の力持ちな彫刻学科の西郷くんとのバトル。
器はすごいが中身がおいついてない。でもこれから彼は伸びるだろう。
忍者の末裔である工デのクノイチさんとの運動神経勝負。
もし彼女が自分の巻いたマキビシを踏まなかったら負けてたところだった。誇りは高いがおっちょこちょい。
オシャレでキザな空デのナウイくん。彼の洋服を汚して気がそれた瞬間に攻めたのが功を奏した。
何も考えていないようでいてすごく考えている。のようでいてやっぱり考えてない。と思ったら考えている。
お金持ちの映像学科・リッチくんとの試合。金に物を言わせたバトルは壮絶だった。彼の口癖は「お金で時間は買える」。
この地点で訓練をしたのがよかった。2号館の地下に1日が1年になる部屋があったなんて誰が信じようか。
そして、双子の視デ・サンカイくん、基礎デ・ヨンカイくんとの勝負も圧巻だった。どちらからカードが繰り出されるか最後の最後で見破ることができた。似てるようでいて実は二人とも全然違う。
美女の日本画・フジコちゃんとの試合もきわどかった。小悪魔。
でもやはり永遠のライバル・タマビケンイチくんとの決勝戦が最高だった。
最初ケンイチくんはいつもと違うずるい手ばかり使っていた。
途中、悪の組織「ゲイダーイ」がケンイチくんの彼女を誘拐し,彼を脅してるせいだと判明して、舞美と竜くんが試合中に彼女を救出してくれた。
最後はお互いの全てを出すことができた。
ボクは田中セイジ像の形をした優勝トロフィーをもらって、天にかざした。
おめでとうボク。
おめでとうムサビ。
終わり。
長い間、ご声援ありがとうございました!
手羽イチロウ先生の次回作をご期待ください!!
*この話はフィックションです。登場する人物・団体などは実在のものとはいっさい関係ありません。
ふー、なんとか終わらせられたー。
・・・ってなんとか終わってない?ジャンプの打ち切りマンガみたい?
つーかさ、考えてみたら、手羽はカードバトルのこと全然知らなくて、頑張って頑張って遊戯王のアニメとか見てたんだけど、それでも全然ルールがわかんなくてさ。
ま、そういう方向に進めちゃったのは手羽なんだけどさ。
後はみんなでストーリーを考えてよ。
壮絶!美大生バトル小説ブログ10
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
10枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目| 6枚目|7枚目|8枚目|9枚目
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「おい!おまえら!」
「あ。彼の存在、忘れてたわ(笑) なに?竜くん」
「な、慣れなれしく呼ぶんじゃない!いつになったら始めるんじゃ。戦う気、ほんまにあんのか?」
「ごめんごめん。武蔵くんに説明しなくちゃいけないことが多くてさ。どのアリーナかはあなたが決めていいわ」
「よっしゃ、アリーナNo.3にするで」
「ねえ。舞美。どのアリーナも中身は同じなの?」
「私も全部は入ったことがないからよくわかんないけど・・・。学内には6つバトルフィールド・・つまりエリアがあって、その中には11個のアリーナがあるのね。基本的には同じエリア内のアリーナはレベルは同じように設定されてるそうよ」
「じゃ、エリアによってレベルが違う?」
「そうね。数字が大きい方が簡単になってるみたい。5Cはつまり50。普段の練習や模擬戦の場合はこのエリア5Cを使うことが多いわね。本番のバトルでは12から使って、9→8→1とあがり、決勝は中央広場のエリア0を使うそうよ。芸術祭の時に学生プロレスが中央広場にリングをつくるのは、その名残りなのよ」
そういいながら、アリーナNo.3に到着した。
中はちょうどムサビの体育館ぐらい。床は不思議な模様が書かれているけど、これは後で舞美に教えてもらおう。なぜなら、急に舞美の顔つきが変わったからだ。気持ちが戦闘モードに切り替わったのだろう。
「さあ。竜くん。お待たせ。バトル形式はどうする?」
「いつもの『5ターン・100ポイント制』や。お前さんにはそれで充分」
「OK。先行はあなたにあげるわ」
「あんたの性格や。そう言うと思うとったわ。後悔しても知らんぞ」
「あ、武蔵くん」
「な、なに?」
「あまりそばにいない方がいいわよ。怪我しちゃうから。それと、エリア50のアリーナは練習チェック用にビデオカメラが常設されてるの。これからのバトルは録画しといて。あとで説明するから」
「わ、わかった」
僕はビデオカメラのボタンを押し、2階にのぼった。
「これで全て整ったわよ。いつでもどうぞ」
いよいよ次回からバトルスタート。
その前に、話の中に登場した単語をまとめます。
この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
壮絶!美大生バトル小説ブログ9
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
9枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目| 6枚目|7枚目|8枚目
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「『武の蔵の野』と『武蔵野』がダブルミーニングになってたなんて・・・・」
「これも冷静に考えればわかることなのよ。『帝国美術学校』から校名変更するとしたらあなたならどんな名前をつける?」
「そうだね・・・うーん・・・『日本美術大学』とかせめて日本の首都名である『東京美術大学』かな・・・」
「でしょ?名前を変える時って意味合い的に同等以上、もしくはそれを代表するような名前をつけるのが普通じゃない?」
「そりゃそうでしょ。現状より小さいものを表すような名前にすることなんてありえないよ。見栄もあるしね。千葉にあっても東京●●ってつけてるところもあるぐらいだし」
「でもムサビは『帝国』から『武蔵野』って規模的にはすんごく小さい名前に変えてるわけ」
「あ・・・」
「普通だったらそんなことするわけない。これがあえてバトルフィールドを表す『武蔵野』という言葉を使った証なのよ」
「でも、あえて『武蔵野』にしなくても・・・」
「そうそう。これには面白い話があってね。80年前のバトルは勝利した者しか地上に戻ることは許されなかったの。勝てないことは死を意味してたわ」
「か、かなり厳しすぎる話だね」
「バトルに勝てない人間は美術界にいらない。ムサビの強い意志がそこにあったのかもしれないわね。そして、80年前のバトルが終わった後にそれをよく思わないグループが6年後にムサビを飛び出しの。『もっと多く戦えるようにするべきだ。多く自分を磨けるようにするべきだ!』・・ってね」
「うんうん」
「・・・・まだ気がつかない?」
「へえ。今の話にも何か含まれてるの?」
「多くを磨く。つまりそのグループが作ったのが多摩帝国美術学校、のちの多摩美術大学なのよ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。多くを磨くじゃ『多磨』でしょ。タマビは『多摩』だから、それはムリヤリすぎるよ」
「あら、知らなかった?9世紀に書かれた「倭名類聚鈔」には、多摩地方のことは「国府在多磨郡」と書かれてて、そこから『多摩』と漢字が変わったんだって。『多摩』はもともと『多磨』からきてるのよ」
「へえ・・・」
「タマビが『多摩帝国美術学校』とつけたことから、『バトルフィールドへの嫌味かい!じゃそっちがそうくるなら本家バトルフィールドを意味する名前をあえてつけてやる!』というわけで帝国美術学校は『武蔵野美術学校』、のちの武蔵野美術大学に名前を変えたってわけ」
「昔からそうとうムサビとタマビは仲が悪かったんだね。嫌味で学校名をつけて、その嫌味返しで学校名を変えちゃうなんて・・・」
「バトルフィールドがらみのタマビ話だともう一つあるのよ」
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[参考]多摩川流域リバーミュージアム::多摩川誌
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この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
ちなみに名古屋造形大ブログのプチ子さんはこの話を読んで、ハンター×ハンターを読み出したそうです(実話)
壮絶!美大生バトル小説ブログ8
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
8枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目| 6枚目|7枚目
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暗闇にだんだんと目が慣れてきた。ここがバトルフィールドなのか。
だだっぴろい野原に体育館のような建物がいくつも建っているのが見える。
「よいしょっとっ。あああ。また髪がグチャグチャになっちゃった。もうちょっと入り口を改良すればいいのに。毎回毎回入るたびに髪がグチャグチャになるんじゃたまんないわ。ほんと、大事なところにお金を使わないのがムサビなのよねー」
舞美も入ってきた。
「ねえ。舞美。これがバトルフィールドなの?」
「そうよ。びっくりしたでしょ?ムサビの地下に作られた異次元空間」
「地下にあるんだ」
「ムサビって地下道がある話は聞いたことある?」
「あ。そういえばデ情の友達がネットワークの授業で10号館芝生にあるマンホールから地下道に入ったって言ってたっけ」
「美術資料図書館前や10号館前芝生の大きなマンホールは地下道への入り口になってて、地下を歩いて、美術資料図書館から1号館方面に行くことができるの」
「そんなに長い地下道なんだ・・」
「表向きはボイラーを通すための地下道だって言われてるけど、本当はこのバトルフールドを作るために掘られた道なのよ」
そう言いながら舞美は歩き出し、話を続けた。
「この空間がバトルフィールドで、ポツンポツンと建ってるあの大きな建物をアリーナと呼ぶの。あの中でバトルを行うわけね。あ。ムサビの体育館の2階って『アリーナ』っていうでしょ?」
「うん。なんでわざわざアリーナって呼ぶのか前々から不思議だったけど」
「『アリーナ』ってもともとは古代ローマの円形闘技場を意味してて、ムサビでの名称はこのバトルフィールドの闘技場、つまり『アリーナ』から付いたの」
「なるほど・・・」
「そして80年前はアリーナって言葉じゃなくて、『蔵』と呼ばれてたんだって」
「時代だなあ(笑)確かに80年前で日本に存在するもので一番似てるものは蔵かもしれないけどね。」
「・・・・まだ気が付かない?」
「へえ?」
「野原の中に武術を行うための蔵がある場所よ」
「・・・・それが?」
「野原に武術の蔵」
「何のこと?????」
「武術の蔵の野原」
「・・・・・ちょ、ちょっと待って。もしかして・・・・・・・・武の蔵の野」
「そう。武蔵野美術大学の語源はこのバトルフィールドから来てるのよ」
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この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
壮絶!美大生バトル小説ブログ7
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
7枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目| 6枚目
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「なに、さっきからごちゃごちゃぬかしとんねん」
「あ、ごめんなさい。この子、全くバトルのこと知らないから、いろいろ教えてあげてるの」
「なんや。ド素人かい。こちとら時間がないさかい、素人さんにつきあっとる暇はないねん」
「だって、僕、今日MAUカードの存在を知ったぐらいなんだもん」
「めちゃくちゃ素人やんけ。ほんまこんなやつをフィールドに連れてって大丈夫なんかいな」
「ねえねえ。そういえば、君の名前をまだ聞いてなかったよね?」
「自分から言うのが礼儀じゃ」
「あ、ごめんごめん。僕は武蔵。田中武蔵。君は?」
「竜や。小川竜。」
「あら、小さな川にいる竜なのね(笑) 小さな川で竜きどり。まさに今のあなたを表してるみたいだわ」
「このアマ〜。その減らず口もそこまでや。バトルでこてんぱんに叩いたるわ。フィールドで待っとるぞ」
竜はおもむろにMAUカードを学内MAPにかざし、「マウ!」と叫んだ。
すると体が消えた。
「き、消えた・・・」
「さ、私達も中に入るわよ」
「でもさあ・・・」
「ん?どうしたの?」
「ちょっと疑問に思ってたんだけど、80年に一度のバトルなわけでしょ?」
「そうよ。それがどうしたの?」
「80年前って鷹の台キャンパスはなかったよね?最初は吉祥寺キャンパスでバトルをやったってこと?」
「その通り。でもね。そのバトルが理由で鷹の台キャンパスに移ることになったの」
「そうなんだ・・でもなんで?」
「もっというと、もともと同じ大学だったムサビとタマビが分裂したのも、このバトルと関係してるのよ」
「えええ。ど、どうして???」
「ま、それはフィールドに入ってから話しましょ。私達も行くわよ。まずMAUカードを学内MAPにかざすの。そして『マウ!』と唱えるとバトルフィールドに入ることができるわ」
「な、なぜここでマウ・・・」
「カードをかざすだけで入れるんじゃ、間違って入ってしまう可能性があるからでしょ」
「可能性を減らすためだったらもっと長い呪文の方がいいじゃん」
「それを言っちゃ、ラピュタだって、復活の呪文が『リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール』ってめっちゃ長いのに、唱えちゃいけないもっとも危険な滅びの呪文が『バルス』の一言でしょうに」
「ラピュタを例に出されたんじゃ・・・」
「つまりは呪文の長さよりもその強い意思があるかどうかなのよ」
「でも『マウ』って呪文、なんか間抜けじゃない?」
「とんでもない。『mau』ってエジプト語で『猫』って意味なの、知ってる?」
「えっ。エジプトとムサビって全然関係ないじゃん」
「それがすんごく関係あるのよ。家で猫を飼う習慣を作った起源はエジプトにあって、古代エジプトでは猫は神として崇拝してたんだって」
「へー」
「で、ムサビもやはり昔から猫を神様として大事に扱ってきたのね」
「だからムサビって猫が多いんだ」
「同じ神様を崇拝してるエジプトと関連をもたせるために、ムサビはエジプト語の猫である『mau』を大学の略称とし、60周年記念棟である12号館前にピラミッドを作った・・というわけ」
「でも12号館って結構新しい建物でしょ?だったらもっと前にピラミッドを作るべきじゃないの?」
「ここにも学生には知らされてない事実があるの」
「え?」
「時間の単位である12進法・60進法って古代エジプトで作られたものなの。だから60周年記念の12号館前にピラミッドを作る必要があったのよ」
「・・・なんか、ムサビが怖くなってきたんだけど・・・」
「言ったでしょ。ムサビには意味のないものはないって。『マウ』と叫ぶのは、神様を呼ぶ神聖な儀式なの。恥ずかしいことじゃないわ。わかったなら、さっさとやって!」
僕は言われた通りに学内MAPにMAUカードをかざし、「マウ」と叫んだ。
次の瞬間。真っ暗闇の世界にいた。
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この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
ハンター×ハンター再開に向けて、この話もちょっと進行させておかないと。
壮絶!美大生バトル小説ブログ6
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
6枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目 | 3枚目| 4枚目| 5枚目
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「そうそう。この学内MAPの7つのピクトグラムにも暗号が隠されてるのよ」
「え?このトイレのマークとかが?」
「そうなの。実は6つの系統を表してるの」
「ど、どういうこと?」
「例えば、これはなんだと思う?」
「なにって・・・売店って意味でしょ?」
「『表向き』はね。でも、モチーフ台の上にビンとパンが置かれてて、床に筆と鉛筆が転がってるように見えるでしょ?」
「うん」
「つまり、これは『平面美術系』を表したピクトグラムなの」
「えっ・・・・。じ、じゃあ、このトイレのマークは」
「彫刻の人体像が2体、立ってるって意味。つまり『立体美術系』ね」
「なるほど・・・・・この食堂のマークは?」
「ナイフやお皿ってインダストリアルデザインでもある一方、金工や陶磁のクラフトの分類に入れることもできるでしょ。だから『立体デザイン系』」
「てことは、このPってまさか・・・」
「そう。パーキングのPは表向きで、本当はProduceの「P」。『プロデュース系』なの」
「こんなことって・・・」
「言ったでしょ?全て秘密裏に進められてるって」
「でも、この4つってかなりわかりやすくない?」
「ここまではあえて比較的わかりやすいピクトグラムになってるの。系統の存在を知りつつ勘のいい人であれば、この4つのピクトグラムを見て『もしかしたら学内MAPがバトルと関係するんじゃないか?』と感じられるようになってるそうよ」
「でも、全部が簡単にわかっちゃまずい・・・」
「その通り。MAUカードや系統の存在がわかったところでそれだけではなんにもならないわ。バトルフィールドに気が付かない限りはね。だから、そこへはいくつものトラップや暗号を解かないとたどりつけないようになってる」
「存在感を出しつつも、存在を消すって感じだね」
「このバランスが絶妙で、全く気が付かないものではいけないし、簡単にばれてしまってもいけない。残り二つは難しいわよ。これはわかる?」
「うーん・・どう考えても電話のマークにしか見えない・・」
「頭を柔軟にしないとダメね。この受話器のマーク、カッコとコロンでできてるでしょ?」
「かっこところん???」
「『(』と『:』よ」
「ほんとだ・・・」
「記号そのものを表してるの。つまりこれが『平面デザイン系』」
「そういうことか・・・そして残ったピクトグラムは2つ。どっちが映像系のピクトグラム?」
「こっちが『映像系』のピクトグラムよ」
「って、自転車と映像系、どういう共通点が・・・。映像学科の人がサイクリング部の部長を代々やってるとか?」
「このピクトグラムをさかさまにするとわかるわ」
「えっ?」
「あっ・・・・」
「ほら、映写機に見えるでしょ。つまり、これが『映像系』。自転車のピクトグラムにしてはちょっと不自然な形なのはそのせいなのよ」
「じゃ、残りのひとつ、このピクトグラムは?」
「これはバトルフィールドの入り口を表してるの」
「なぜ車椅子のマーク・・・・」
「よーく見ると、人が穴に吸い込まれて入っていく姿に見えない?」
「あああ。」
「なぜピクトグラムが7つなのか。それは6つの系統と入り口を表してるから7つなの。7つのピクトグラムには1つも無駄がないのよ。」
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この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
編集部からのお知らせ。
作者体調不良のため、しばらく休載いたします。
壮絶!美大生バトル小説ブログ5
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
5枚目。
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「例えばね・・・属性の陶磁とか木工ってクラフトだから系統としては立体美術系に入るの」
「うん」
「でも位置としては立体デザイン寄りの立体美術だから、立体デザイン系とも相性がよくて技の応用が利くわけ」
「あ、それはなんとなくわかる」
「でも、立体美術系の人がプロデュース系の技を覚えようと思うと大変。習得できなくはないけど、100%の力を出すことは難しいと言われてるわね」
「バトルでも系統は関係するの?」
「もちろん。隣同士の系統だと技が比較的似てるから苦戦することが多いけど、対処しやすい。反対側の系統だと技がかみ合わない時もあるけど、場合によっては一瞬で決まってしまうこともある。どんな系統の相手にも勝つためには自分の属性を掘り下げつつも、いかに対応できる属性を広げていくか、がポイントになってくるのよ」
舞美はMAUクロッキー帳をカバンに入れ、僕たちも外に出た。
「で、フィールドは?5Cとかなんとか・・」
「異次元に作られたバトルフィールドのことよ。」
「い、異次元?」
「学内にはバトルフィールドが6個あるの。それぞれ違う場所に入り口があるんだけど、どこだかわかる?」
「・・・・・・・・・」
「『学内全体MAP』よ。正門、5C号館、8号館、9号館、12号館、中央広場にあるあの学内地図が書かれたデカイ看板」
「え・・・あれが入り口なの・・」
「そう。私達が向かっているのは5C号館横に設置されてる学内MAP。つまりこれがエリア5Cの入り口よ」
「・・・もうついていけない・・・」
「そうそう。面白い話、してあげようか?ここにもムサビからの暗号が入ってるのよ」
「暗号?」
「学内MAPが設置されてる建物の数字を足していくの。1号館(正門)、9号館、8号館、12号館・・これでいくつ?」
「30・・・」
「ここからがポイント。英語の『C』を『0(ゼロ)』と見るの。『C』はちょっと書き足せば『0』になるでしょ?簡単にばれないようにあえてそうしたんだって。」
「へええ・・」
「中央広場はCentral open spaceで0。そして5C号館は50、これで全部の合計は?」
「あっ・・・・80だ・・・」
「そう。80年に1度のバトル、秘密の数字『80』が浮かび上がってくると」
「すごい・・・」
「全て周到に準備されてるわけ。知らない人には一生解けない暗号だろうだけどね」
去年から疑問に思っていた。
何故ムサビは区切りのいい100周年ではなく、中途半端な数字・80周年を盛り上げているのだろうかと。
全てバトルのためだったんだ。外部の目線をそらすために外向けには「80周年」と宣伝をし、裏で着々と80年の1度のバトルを準備をしている。ここまで秘密裏に準備されているとは誰が想像するだろうか。
「エリア5Cに着いたわよ」
舞美がドーナツの油がついた手で僕を触った。
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手羽先生に応援メッセージを!(ジャンプ風に)
壮絶!美大生バトル小説ブログ4
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
4枚目。
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「あなた、学科はどこよ?」
「ワイは油絵学科じゃ。」
「油絵ってことは・・属性はペインティングね」
「当たり前じゃ。お前さんは?」
「私は彫刻」
「ほほー。属性はスカルプチャーか。悪くない」
「フィールドはあなたが決めていいわよ」
「このアマ、どこまでもなめくさきって・・。5Cでどうや」
「問題ないわ」
「よっしゃ。エリア5Cに行くぞ!!」
関西人的な人が外に出て行った。
「ね、ねえ。舞美・・・」
「なによ。うるさいわね。これからバトルなんだから静かにしなさいよ」
「もう、属性とかスカルプチャとかフィールドとかエリアとかって・・・・かなり置いてきぼりなんですけど・・・」
「あああ。ごめんごめん。忘れてた。その説明をしなくちゃいけなかったわね。」
舞美は半分のドーナツを食べながら説明を始めた。
「属性はさっきの会話でなんとなくわかったでしょ?その人の特性を表すの。これは基本的に元々備わってるものだから変えることはできない」
「てことは油絵学科ならペインティング、彫刻学科からスカルプチャってこと?」
「必ずしもそうともいえないけどね。ほとんどは同じだけど、所属する学科は関係なくて、本人の生まれながらの特性なの。そうそう。第1希望学科に落ちて第2希望学科に入った・・って人がいるでしょ?」
「うん」
「こういうパターンは第2希望学科が本当の属性ってことがほとんどね。本人がまだ気が付いてないだけ。たまに全然違う属性の人を入れちゃう学科もあるけど」
「他にどんな属性があるの?」
「えーと・・口で説明するのは難しいのよね」
と言いながら、舞美がカバンからクロッキー帳を取り出し、イラストを描いてくれた。
「これを見て。平面美術・立体美術・平面デザイン・立体デザイン・映像・プロデュースと大きく6つの系統があるの。そして更に立体美術系の中にスカルプチャやクラフトといった、いろいろ細かい属性があるのね。あの関西人的な人は『系統が平面美術で属性がペインティング』となるわけ」
「へー」
「自分の系統に近いものは相性もよく会得しやすい傾向になるし、遠くなるほど相性も悪くなる。そしてこの全体的な能力のレベル情報をCTっていうの」
「わかったようなわからないような・・・・」
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壮絶!美大生バトル小説ブログ3
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
3枚目。
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これまでの話:: 1枚目 | 2枚目
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「何者って言われても・・・」
「あなた、名前はなんていったっけ?」
「・・・田中武蔵だけど・・・」
「・・・・・なるほどね・・・私の勘が正しければ・・・武蔵くん、あなたはまだ何も目覚めてないだけだわ・・・」
「目覚めるもなにも、何も知らないんだって」
「そ、そうだったわね・・・・・それにしてもこんな人が私のそばにいたなんて・・・」
「え?なんか言った?」
「ううん。なんでも。・・・・あ。バトルの話だけど、80年に1度のバトルはいわゆる本大会のようなもので、普段から学生はバトルをやって鍛えているの」
「えっ、そうなの?」
「バトルの存在を知らない人間に気づかれないよう、こっそりとね。さ、ここからが本題。どうやってバトルをやってるかというと」
「うんうん」
「と、その前にドーナツ食べてもいい?」
と言うが早いか舞美は喫茶シスコのカウンターへ走っていった。
しかし、舞美のあの驚きは一体なんだったんだろう。
確かにMAUカードの顔写真は、1発撮りの3分写真で撮ったから目をつぶってて変な顔ではあるけど、それであんなに驚くこともないだろう。CTに何って書かれてたんだ?「この人はバトルに参加する資格がありません」だったりしたら・・・僕の人生は・・・。
ん?カウンターが騒がしい。
「これは私のものです!!」
「何いうてますねん。このオナゴは!これはワイのドーナツや!」
「どうしたの?」
「あ、武蔵くん。このエセ関西弁しゃべる人が、最後の1個のドーナツを横取りするの」
「あ、またいうとる。ちゃいますって。それよりもあんたは金払ったんか?」
「財布からお金を出そうとしてたところじゃない!」
「ほな、まだあんたのもんじゃおまへんわ。取ったのはあんたが先でも、お金を払わんことには商いは成立しまへんねん。見てみ。ワイはそこにお金を置いとるやろ?ってことはワイの物ってこっちゃ」
「でも、ドトールみたいな前払い制の喫茶店の場合、関東の人はお金を払ってから席に座るけど、関西の人は先に席を確保してカウンターに並ぶって聞くわ」
「それがどないつーねん」
「つまり、あなたの理論は関西ルールじゃないってこと。先に状況を確保してからお金を払うのが本当の関西人よ。さっきから気になってたのよ。そのエセ関西弁。あなた、関西の人じゃないわね?映画か先輩に影響された大阪かぶれの人でしょ?美大によくいるわ、こういう人」
「こ、このアマ〜、どついたろか!」
「ははは。な〜んだ。つまりドーナツが最後の一個しか残ってなくて、それをどっちか食べるかでもめてるわけでしょ?そんなの簡単なことじゃない。半分にして・・(ポキっ)・・はい。こっちが舞美でこっちが関西人的な人」
「あ・・・・あ、ありがとう・・武蔵くん・・・」
「おっ。ありがとな。なんや、最初からこうすりゃ良かったんやな。はははは
なわけないわ!ボケカス!!」
「あああ。せっかくのドーナツを投げなくても・・いらないのなら最初からそういえばいいのに・・・」
「ほんま、腹立ったわ!!こうなったら、そこの女!バトルや!バトルで決着つけたる!!バトル、知っとるんやろな!?」
「もちろん(ニヤっ)」
舞美がこっちを見て笑った・・・・。
もしかして、あえてこういう状況を作ったの?
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壮絶!美大生バトル小説ブログ2
ゴールデンウイークスペシャル企画その2。
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
2枚目。
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これまでの話:: 1枚目
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「でも、どんなバトルか知らないのにバトルをやるって人も珍しいものだわさ」
舞美が呆れ顔でホットケーキを食べている。
「で、どこから話せばいいの?歴史とかそういうところから?」
「うーん、それは後でいいんだ。まず知りたいのはバトルの方法。みんなバトルバトルって言ってるけど、どんなバトルなのかを教えてくれないんだ。それって絵の勝負なの?作品を作ってみせるとか?誰でもピカソのアートバトルみたいなやつをイメージしたらいいのかな?」
「そんな甘っちょろいもんじゃないわよ。ってことはMAUカードの存在さえ知らないってことね・・」
「ま、MAUカード?」
「Media Access Unitカード、略してMAUカード。これが全て。何も知らない人は学生証としてだけ使ってるけどね」
「え?あれってただの学生証じゃなかったの?」
「当たり前じゃない。考えてもみてよ。出欠をピっとやったりするためだけにICカード化するわけないでしょ。」
「そりゃそうだけど」
「この80年に1度のバトルに向けて、秘密裏に大学が準備したIC学生証、それがMAUカードよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。80年前にもバトルがあったわけだよね?てことはそのときはさすがにICはなかったんじゃ・・。」
「そう。本当はMAUカードとしての役目をはたすために作られただけで、『ICカード』なんていってるけどそれは嘘。ほら、よく『カードをピっと通したのに欠席になってた』って怒ってる人がいるじゃない?あれはその人のパワーが弱すぎたからなよ。大抵同じ人でしょ?」
「パ、パワーで出欠とってたの?」
「ここはムサビよ?パワーの無い人なんていらないわけ。ま、本人は機械のエラーだと思ってるだろうし教務課もそれ以上は触れないようにしてるけどね。あ、ホットケーキごちそうさま」
舞美はいつのまにかホットケーキを食べ終わっていた。
「じゃ、あなたのCTを見てあげるわ。MAUカードを出して」
「CT?」
「さっき言ってたパワーのこと。CreativeTabの略称ね。なんていえばいいのかな。その人の創造力・独創力・才能・経験値・潜在能力が記載された情報のことをCTっていうの」
「CT・・・なんか聞き覚えのある単語だなあ・・」
「ふふふ。学生メールアドレスのアットマークの後はナンだっけ?」
「え?ct.musabi.ac.jp・・・・あっ」
「そう。CT.musabi.ac.jp。これも大学がこっそり忍ばせたキーワードなのよ。メールアドレスなんて言ってるけど、実はCTを管理するための番号にすぎない」
「そうなんだ・・・・・はい。これがボクの学生・・MAUカード。でもそれって見てわかるもんなの?」
「ちゃんとした情報は無理だけど基本情報ぐらいなら。バーコードだってわかる人間が見ればだいたいの情報がわかるでしょ?それと同じようなもの・・・・・えっ!?」
舞美はMAUカードを落とした。
「ちょ、ちょっと落とさないでよ。もう少しでホットケーキの食べ跡に落ちてシロップまみれに・・」
「ご、ごめんなさい・・・・びっくりしちゃってつい・・」
「へっ?」
「あ、あなた・・・・・何者なの?」
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この話はフィックションです。登場する人物・団体・呼称などは実在のものとはいっさい関係ありません。
壮絶!美大生バトル小説ブログ1
ゴールデンウイークスペシャル企画その2。
小説ブログのパイロット版を作ってみました。
好評だったら連載してみようかな。
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壮絶!美大生バトル
「めちゃくちゃアートな運命- Most and Ultimate -」
1枚目。
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「君の名前は?」
「はい。1年の田中武蔵といいます」
「君は何故ムサビに入ったのかな?」
「親から今度の闘いに挑戦するように言われて・・」
「ほほー。あの闘いが過酷なのは知ってるんだろうね?」
「え?そうなんですか?」
ムサビでは80年に1度、もっとも優れたアート戦士を決める闘いが行われる。
僕は子供の頃からこの闘いのことを聞かされて育った。「お前はその闘いで勝利するために生まれてきたんだ」と。
子供の頃から絵は動いてるものしか描かせてくれなかった。理由はわからなかったが、静物モチーフをどんなにうまく描いても父はその画用紙をじっと見てはすぐに破り捨てた。それがムサビ彫刻の実技試験・ムーヴィング対策だとわかったのは受験する直前。そしてボクはムサビ彫刻学科に合格した。
今日は新入生歓迎コンパ。
そんな教授とのやり取りの後、隣に座ってた同級生が声をかけてきた。
「ねえねえ。今こっそり聞いちゃったんだけど、あなたもあのバトルに参加するんだって?」
「うん・・でも、どういうバトルなのか全然知らなくて」
「知る人ぞ知る戦いだからね。でもあの闘いで勝つことを目指してムサビに入ってきた人も沢山いるよ」
「君もそうなの?」
「もちろん!だって80年に1度のバトルなんだもん。」
「あ、名前をまだ聞いてなかったね。オレ、武蔵です。君は?」
「舞美です。マウミって呼んでね。武蔵くんの得意技ってなんなの?」
「得意技?・・・得意技ってなんのこと?」
「あきれた・・・ほんとに何にも知らずにバトルをやろうとしてるのね・・」
「うん・・・『バトルに勝利することがお前の指名なんだ』と育てられたけど、そのバトルがなんなのか全然知らなくて。その80年に1度の闘いってどういうものなの?」
「武蔵くんの家って不思議なところね・・。じゃ教えてあげるわ。この80年に1度のバトルっていうは・・・あ、先輩がふんどしになったわ♪きゃああ」
彫刻の新入生歓迎コンパ。それはすさまじいものだった。
薄れる記憶の中、舞美の連絡先だけ携帯に保存した。その後の記憶はない。
・・・・・・・・・・・
翌日。舞美と喫茶サンフランシスコで待ち合わせをした。
この話はフィックションです。登場する人物・団体などは実在のものとはいっさい関係ありません。