リアルな美大法人企画室長の日常を
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小説::手羽殺人事件 5A号館
ミステリーブログ小説
手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第4話
前回まではこちら
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minx「入学センターも静かになっていいってもんだね。さ、次行こうか。」
竹林とminxは目でサインを交わし、目の前の入学センター倉庫に入った。
発送用の広報物や願書などが保管されている倉庫だ。
竹林「・・おきなまろさんじゃなかったか・・」
minx「一番怪しい・・というか、彼女なら手羽さんを殺害する動機は充分あるしね」
竹林「彼女じゃなかったら他のメンバーは違うんじゃないの?」
minx「でも、完全にアリバイが証明されたわけでもない。エミュでの行動はちょっと不自然すぎる」
竹林「本当にりんらんさんが大学に遊びに来てたかもしれないよ」
minx「それはないと思う。テニスコートっていうかなり面白い劇団・・というかコントグループの衣装の手伝いをしてて、公演が近いからすんごい忙しい・・って最近mixi日記に書かれてた。大学に来ることがあっても、エミュでゆっくりお茶を飲んだりする時間はないはず」
竹林「うん。何かを隠してるような雰囲気だったのがすごく気になる」
すると、ヒソヒソと話をしてる竹林の背後に突然影が忍び寄った。
ドスン!
大きな音と共に竹林は激痛を感じた。
「痛っ!!!!誰だ!!」
ナベ「す、すいません(汗)」
竹林「な、なんだ。ナベちゃんか。イテテテ」
ナベ「5A号館の日本画研から学科別パンフレットが戻ってきたので倉庫に持ってきたら、落っことしちゃいました。足大丈夫ですか?」
竹林「足の小指の上に落とさなくても・・・でももう大丈夫大丈夫」
ナベちゃんとは、去年から広報課で働きだしたムサビ油絵OBである。
頭が良くて仕事は速く丁寧だが、ちょっとおっちょこちょい。
ナベ「本当にすいません・・・・・ところで・・・・あのー、ちょっと突っ込んでもいいですか?」
竹林「え?」
ナベ「なんで竹林さん、アフロヘアのカツラかぶってるんですか?」
minx「実はオレも気になってたんだけど。入学センターに戻ってくるなりかぶったでしょ?突っ込むべきかどうか迷った」
竹林「いやー、変装でもしないと、おきなまろさんに質問する勇気がなくて・・・なぜかこれをかぶると勇気が沸いてくるんだよね(笑)」
minx「毎日新聞に掲載された時もアフロヘアで出てたよね。君にとってアフロは兜みたいなものなのかもな」
竹林「いいこと言うねー。そのフレーズ、今度ブログで使わせてもらうよ」
minx「でも、アフロヘア姿で毎日新聞に登場した大学職員って世界で君が初めてなんじゃないの?」
竹林「ムサビの自由さが表現できて、良かったでしょ?」
minx「ううん。逆。あれは見事に武蔵野美術大学の品位を下げてくれたよね。広報課としてはやめて欲しかった。広報課長も実は怒ってたよ」
竹林「・・・というか、あれも手羽さんの口車にのせられて・・つい・・」
minx「うーん、やっぱり、どう考えても一番怪しいのは竹林くんだと思うんだけどなあ・・・」
竹林「その前に君を殺したいよ・・」
ナベ「あ、竹林さん。そういえば、さっき竹林さんを学生さんが訪ねてきてましたよ」
竹林「え?さっき?」
竹林はアフロヘアを取りながら答えた。
ナベ「ええ。お二人がしばらく席を外してる間に」
竹林「なんて?」
ナベ「『5分ぐらいで戻って来ると思いますよ』と答えたら、『じゃ、また10分後ぐらいに来ます』っておっしゃってました」
竹林「何って子だった?」
ナベ「名前は聞かなかったんですが・・・髪の短い女性で大きなバックを持ってて・・・・芸術文化学科の4年生と言ってました」
竹林「・・・・多分みちくさとりこさんだな・・・。一体なんだろう。僕に用事って」
ナベ「『急ぎではないけど伝えたいことがあって』とおっしゃってましたよ」
竹林とminxは顔を見合わせ、とりあえずその場は解散した。
竹林はそのまま1号館下の喫煙所へ行き、一服することにした。
考え事をするには最高の場所だ。
竹林「でもこうやって全員に聞いて回るのはちょっと大変だな・・・仕事もいっぱいたまってるし・・どうしよう・・・」
すると、9号館の自動ドアからみちくさとりこさんが出てきた。
竹林「み、みちくささん!!!」
みちくさ「あ。竹林さん・・」
竹林「さっき、僕のところに来た?」
みちくさ「ええ・・・。ちょっと話したいことがあって・・・」
竹林「え。何?ちょっとそこで話そうよ」
いつも元気なみちくささんの顔が今日はなんとなく暗い。
二人は9号館前のベンチに腰掛けた。
竹林「・・そ、そういえば、昨日って何をしてた?」
みちくさ「え。き、昨日ですか?」
あまりにも不自然な会話の持っていき方に自分でも動揺したが、ここは押し通すしかない。
竹林「う、うん。ブログ見てたら、就職活動で忙しいそうだから」
みちくさ「ああ。忙しいですね」
竹林「説明会とか面接とかの日々なんでしょ?例えば昨日なんて何をしてたのかなーと」
みちくさ「そうですね。昨日は・・・・」
みちくさとりこ は語りだした。
つづく。
* * * * * * *
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
みちくささん。次は「5B号館」でお願いします。
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トラックバック時刻: 2009年04月25日 19:37