リアルな美大法人企画室長の日常を
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2009入試1日目
「お先に〜」と12号館を出て中央広場を歩いてたら、木黄田さん(キキタさんだから!)が「手羽さ〜ん!」と大声を出しながら走ってきた。
「ゼーゼー・・携帯を机の上に・・ゼーゼー・・忘れてましたよ」
「あ。わざわざどうもありがとう。しかも走ってくれて」
「・・・・・・・・」
「さんきゅ、さんきゅ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「あのー・・・で・・・・携帯は?」
「あっ。持ってくるの忘れました」
なんですか。これはいわゆる、買い物しようと町まで出かけたら財布を忘れた愉快な木黄田さんってやつですか。
そんなことをやりながら長くて短いようなムサビ入試が始まりました。
今日は油絵学科油絵専攻。
美大入試は実技と学科があり、しかも油絵学科の場合だとデッサン6時間、油絵6時間だから、学科試験を合わせると丸3日間の試験なのね。
しかも、多くの方が直前にタマビ入試もやってるわけで、体力と集中力をかなり使います。
誰からもくどいほど言われてると思うけど、美大入試ほど体力と体調管理が必要な試験はありません。
今日は風が強いから、受験生の方はカルトンを飛ばされないようにしてね。
よく相談会などで「場所は早い者勝ちですか?」と聞かれることがあります。
普通に聞けば、「描く教室は好きに決めていいのか?」なんですが、これはそういう意味ではありません。
研究所や予備校では、だいたいの場合、モチーフに対してどの場所で描くか、どの場所にイーゼルを置くかは早い者勝ちで決まるんです。
私が通っていたような小さな研究所でもやはり早い者勝ちで決まってて、現役生がいない間に浪人生が勝手にモチーフを交換して(笑)、浪人生が毎回いい場所で描いて、現役はその後列みたいな感じでした。
さすがに入試直前に現役生が文句言ったら、日曜日の夕方に変えてくれるようになったけど。
基本的には「どの場所で描いても同じ条件になるよう」にモチーフは組まれるものだけど、やはり「描きやすい場所」と「構図的につまらない場所」が発生するもので・・・これはどうしようもないよね。
なので、ムサビ入試の場合はアトリエに入る前にくじ引きをしています。
モチーフの前には既にイーゼルがセットされてて、該当する番号に座ってもらうシステム。
だから、早くきて教室の前で待っててもそんなにいいことは起きません。
ギリギリに来る必要はないんだけど(笑)、「いい場所をとるために!!」とじっと待ってる必要はないってこと。
ちなみに手羽が油絵学科を受験生した頃はデッサンが石膏デッサンだったんだけど、場所がマルス正面(微妙に右側)の3列目でした。
マルスの顔なんて見えやしない。
忘れたくても忘れられない思い出。
もうこの日記では何度も書いてるけど。
美大生及び美大受験生なら、どれだけ泣きそうになる場所かはわかってもらえるはずですだよね・・。
もし、デッサン試験がモチーフ1列目の左側とかだったら、もしかして「ども。油絵OBの手羽です」なんて挨拶してたかもよ。
あ。油絵も最悪だったからどっちみち落ちてたね・・・。
そうそう。石膏像といえば、大反響だったアレの第2弾が3月中旬に発売されます。
アレとは
■カプセル立体百科事典 石膏デッサン入門2
今回はパジャント、ガッタメラータ、ゲタ、アポロ、武装する女神、面冠女神、ミケランジェロ、ラオコーン、そしてシークレットと、これまた夢のようなラインナップ。
シークレットはなんでしょうね。馬頭は第1弾で出てるし、残った有名どころって奴隷かニケぐらいしか思いつかないんだけど。
あああ。入試終わったら大人買いしてやる。