リアルな美大法人企画室長の日常を
« 手羽アクセス■2月5日版 | メイン | 会議会議 »
Search
ご祝儀大学
昨年、典型的な「ご祝儀志願者」だった大学を紹介します。
世界の武蔵野美術大学です(笑)
ムサビは「全学科センター試験導入」という、10年以上ぶりの大きな入試改革をやりました。
あちこちの受験雑誌に「美術系受験者総数が増えたのはムサビが全学科センター入試を導入したことが原因」と書かれてましたっけ(笑)
日本全体の美術系志願者数に影響するぐらい、去年は増えています。
増えたといってもセンター方式分が増えただけで、一般方式は実際減ってるんだけどね。
ただ他大学さんより減り幅が少なかったのは、なんだかんだ「ご祝儀」の影響が大きかったとは思ってます。
ちなみに、なんにも知らない人は受験生が増えたのはやれハチクロ効果だ、やれ東京タワー効果だと言ってましたが、アニメハチクロは2005年・2006年の話だし、ドラマ東京タワーは2007年だし、2008年1月のハチクロドラマにいたっては一切協力してない(苦笑)
あ、でも今年は「サイバラ効果」があるかもしれない!!・・ってないね・・断言できる・・。
ただ、「これだけご祝儀効果があると、来年が不安だなあ・・」とは思ってました。
例えば。
2年前が100だとした場合、翌年はご祝儀で一時的に110になったと。
で、今年が90になったら、2年前比較だとマイナス10だけど、昨年比較じゃ20落ちたことになる。
「見た目のイメージ」としては最悪ですよね。
昨年比較しかやらない人(つまり、ほとんどの人)から見たら、「受験生がガタ落ちした大学」ですもん(笑)
「いやいや。去年の数字は参考にならないんです」と言ったところで誰も聞いてくれないわけで。
どの大学もそれが怖いから毎年入試改革をやってるんです。
そして、ずばり今年のムサビ志願者数は落ちました。がははは。
個人的には想定の範囲内というか、ここ数年の他美大さんの志願者減少ラインを分析する限り、ぶっちゃけ今年は昨年度比較2割減を覚悟してたんで「ああ。これで済んだんだ・・ムサビ、まだ頑張ってるじゃん」とホッとしたぐらいです。
ほんとにやばい志願者減だったらブログにこんなこと書けるはずもなく(笑)、いつも饒舌に語ってるのに志願者ネタには触れず、いきなり「試験が始まりました。受験生の皆さん、頑張ってください」な日記内容になるはずです。
私がもし来年そういう日記を書いてたら、「そうだったんだ・・・」と感じてください・・・というか、来年も書いてるのか?
「受験生が減ったのは手羽を異動したからだ」とおっしゃってくれてる教員がいるそうで、これ以上の誉め言葉はなく非常にありがたいのですが、志願者数なんて、そんなに簡単なものではないっす・・。
さて。
ここからがこのシリーズの本題です。
・・・いつものごとく前置きが長くてすいません。
別に他大学を批判するつもりも、ムサビの志願者が減った言い訳をするつもりも(笑)全くなくて、ここからが一番書きたかったことです。
以下は特に他美大関係者に読んで欲しい。
2年前比較をすると、ムサビとタマビは同じ数を落としてます。
「オモテには出てこない数字」での比較です(大学関係者ならこれでわかるでしょ?)
私達からすると、「見た目志願者数が落ちた」とかはどうでもよくて(「見せかけ」でどうにでもなるから)、これが一番ショックでした。
他関東美大さんも軒並み受験生を減らしています。
(日芸さんは調子いいっすね)
「『大学選びは安・近・少』とメディアが言ってたから、地方大学を受けるようになって関東志向が弱まったからじゃないの?」
私も最初はそう思ってたんだけど、各美大の志願者状況をWEBで見る限り、新学科や組織改編をやって「ご祝儀」が出た大学以外は、関西や地方の有名美大さんも同じように受験生が減ってるんです。
(でも、その大学さんも本当はもっと「ご祝儀」が出ると思ってたんじゃないかしら?)
これが何を意味するのか。
このブログで何度も書いてますが、「もうムサビが上だ」「いやタマビの方が上だ」とか言ってる場合じゃないってことです。大学単位の問題ではない。
推薦入試やらで入学者を既に半分以上確保してる大学さんからすれば「受験料×減少数の収入減」ぐらいにしか今は考えてないかもしれないけど、お願いだから美術業界全体の将来のことを考えて欲しいです。
それと。
「各美大の志願者状況をWEBで見る限り」と書きましたが、志願者数をWEBで公表しない美大さんが徐々に増えてきてるんです。
これも何を意味するのか。
何をWEBに公開するかは各大学のポリシーです。
それに、推薦・AO入試に定員を大きく回すような入試改革をした大学さんや学科名やコースを毎年変えてる大学さんだと昨年度比較があまり参考にならないし、逆に混乱をまねくことにもなりかねません。
また、「志願者数を速報で公開したところで受験生の利益は何もない。え?なになに?受験前に知って『志願者が減ったから楽勝だー』とか『競争相手が増えたから頑張らなくちゃ!』という受験生の気持ちのため、って言うわけ?ご冗談を。あっはっは」と思っている大学さんもありえるでしょう。
なので、私がとやかく言える筋合いはありません。
でも、「志願者数という最低限の大学情報を公開しないってことは、あの大学さんはかなりヤバイ状況なんだろうな・・」と余計な推測をしてしまうわけで・・・。
というかほとんどの人がそう思ってしまうわけで。
そう思われてしまうこともその大学さんはわかってるのに公開しないということは、ほんとにやばい状況ってことになっていまうわけで・・・。
>お願いだから美術業界全体の将来のことを考えて欲しいです。
・・・私が思うに、現在の経済状況から見て、「各業界が個別に将来を展望する」という従来の対応では、もはや「ニッチもサッチーも(ダジャレです)」どうにもならないところまで来てしまったような気がしてます。このごろオバマさんが「環境」を口にしているから言う訳ではありませんが、今、美大にも求められているのは、「環境創造指向教育」ではないでしょうか。「環境破壊vs環境保護」という既存の図式から抜け出す思考としての「環境創造」。志願者増のキッカケも、そこにありそうな・・・
投稿者 ムサビファン : 2009年02月06日 14:16