リアルな美大法人企画室長の日常を
Search
おおきなかぶ
「おおきなかぶ」の話を知らない人はいないと思うけど、一応簡単に書くと。
おおきなかぶ―ロシア民話 (こどものとも傑作集 (26))
A.トルストイ
大きなかぶをおじいさんが抜こうとしたけど抜けない。
で、おばあさんを呼び、一緒に抜こうとするがそれでも抜けない。
孫娘、犬、猫にも協力してもらうが抜けない。
そして最後にねずみにも声をかけて、
「ねずみは猫を引っ張り、猫は犬を引っ張り、犬は孫娘を引っ張り、孫娘はおばあさんを引っ張り、おばあさんはおじいさんを引っ張り、おじいさんはかぶを引っ張りました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
すると、ようやくかぶが抜けました」
という話。
で、本題。
手羽家の小1の息子。
国語で「大きなかぶ」をやってるようで、宿題で音読をしてました。
「うんとこしょ、どっこいしょ」
うんうん。このフレーズが自分も子供のころ好きだったなああ・・絵もロシアの人が描いたと思ってたけど藝大卒の日本人だとわかってなんかちょっとガッカリしたっけ・・なんて気持ちで聞いていたら、読み終わったあとに、息子がこうつぶやいたんです。
「ねずみって力持ちなんだね」
・・・・・・・・・。
大きななカブを抜くための力を10カブだとします。
で、それぞれの力がおじいさんが4カブ、おばあさんが3カブ、孫娘が2カブ、犬が0.5カブ、猫が0.4カブ、ねずみが0.2カブであわせて10.1カブとなってカブが抜けた。みんなで協力すると1人じゃできないこともできるようになるんだよ、という話なはず。
でも息子の解釈は、おじいさん、おばあさん、孫娘、犬、猫がそれぞれ1カブぐらいで、ねずみが6カブのパワーを持ってる、ねずみって力持ちだね、のようだ。
親としてこれを訂正すべきか。
子供の斬新な発想力を尊重すべきなか。
いや。ちょっと待て。
はっきりと答えが絵本に書かれてるわけではない。
考え方によっては息子の解釈もできなくはないはず。
「窮鼠猫をかむ」っていうし、ねずみのような小さな動物も愛すべき人のためならすごいパワーを出すんだよって話なのかもしれない。
シンデレラだって、本当は「毛皮の靴」なのに誤訳で「ガラスの靴」になったっていうじゃないか。
もしかするとトルストイの意図は息子の発想に近くて、誤訳でこういう話になったのかもしれない。
いや、きっとそうに違いない。
こうやって、ゆとりな人間とモンスターなペアレンツが生まれていくんだろうな、と感じた瞬間。
ところで、毛利元就の「3本の矢」の話って私はどうも納得できないんです。
確かに3本束ねると強いかもしれない。
でも矢は飛ばして使うものであって、折るために存在するものではない。
3本一緒に弓で飛ばすと飛距離が伸びるとか、スピードがアップするっていうのならわかるんだけど、そうはならないわけで。
例え話としては不完全だと思うのです。
美大生にわかるように書くなら、3人でやればほぼ3倍で1枚の紙を黒く塗りつぶすことができるって言えばいいのに、わざわざ鉛筆を3本束ねて「ほら、折れないでしょ?力を合わせた方がいいんだよ」と説明しようとしてる感じ?
いやいや。鉛筆は描くものなんだから描く事を前提に例え話をしようよ、と。
え?お前が一番ゆとり人間だって?