リアルな美大法人企画室長の日常を
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手羽のデザイナー論
おもいっきりHUNTER×HUNTERの再開の話を書こうと思ってたのに、四輪駆動さんに先を越された・・・。
うーん、書くことがなくなった・・・・えーと・・・えーと・・・。
夏の終わりになると思い出すエピソードがあります。
私が小学生の頃、母がお手製マーマレイドジャムを大量に作ったんです。ちょうど夏休みが終わる直前のタイミングでした。
でも手羽家は日曜以外はご飯派。なので冷蔵庫にジャムがジャマな感じでずっと入ってたんですね。
ある日それに耐えられなくなった母がジャムを消費するためにマーマレイドを練りこんだケーキを作ったんです。どこで調べたのか豆腐も練りこまれてました。豆腐を入れることによってベイクドチーズケーキみたいな食感になるんだとか。
でも、これがビミョーな味と食感だったんですよ・・・。
マーマレイドの苦味を出すために砂糖を少なめにしたのはわかります。大人の味と解釈することによって、味は我慢できる。でも食感。ベイクドチーズケーキというか「ぶっちゃけ半焼けなんじゃないの?」とちょっと食べるのを疑ってしまうような食感。豆腐くんが頑張りすぎただけなのかもしれません。でも、これはどう解釈しても半焼け。家族は「これ、食べてもお腹、壊さない?」と何度も母に聞きます。
でも、母は「これは半焼けじゃない。こういうものなの!!これがプロの味なの!!わかる人にはわかるの!」と言い張るんです。
それを言われたら家族はだまるしかないんですが・・・。
確かにそのケーキは素人には「微妙」でも、プロが食べれば「絶妙」なものなのかもしれません。
でも、食べるのは素人。
高級プリンよりもプッチンプリンで満足するような舌しか持っていないわけです。その素人に趣旨が伝わらないんじゃ意味がない。「このケーキはこういう味と食感なんです」と説明することほどみっともないものはないし、「分かる人にはわかる」って開き直られても、相手が素人ってことがわかってるんだから、「でも、もっと分かりやすいやつを作ってよ。プロの味はいいから、プッチンプリンを作ってよ」と思うわけです。
これってデザインの世界でも同じことが言えるんじゃないかしら。
「分かる人にはわかるんです」ってアーティストの世界やプロ向けならアリだけど、一般を対象としたデザインでは伝わないと意味がない。
いよいよ明日から後期授業がスタートします。
「夏休みが終わるのが一番早い大学」という都市伝説もあるくらい、9月からいきなりムサビはスタートしちゃいます(笑)
今までは好きなものを作って、「分かる人にはわかるんです」で通してこれたかもしれません。まだ高校生や浪人生気分が抜けきっていない段階ではそれでよかったかもしれません。
でも、後期は前期よりももっと突っ込んだ授業が展開されるはず。これからは「誰のためのデザインなのか?」を踏まえて制作していくことになるでしょう。
当然プッチンプリンだけを作ってちゃいけないし、高級焼プリンしか作れないんじゃ沢山の人が理解してくれない。相手が大人なのか、子供なのか、どこから来たのか、といろいろリサーチして、ある時はプッチンプリンを準備したり、高級焼プリンを作ったりしなくちゃいけない。
それが本当の「パティシエ」であり「デザイナー」なんじゃなかろうか。
みんなが目指してるのは「手羽のおかん」なのか、「パティシエ」なのか。
と、そんなことを考えてしまう夏の終わりの日。
自分のご褒美にハンター×ハンターをブックオフで全巻そろえてみようかと考えている次第です。
ちなみにそのケーキ。
母もほとんど食べなかったから、作った本人も「これ、半焼けかも」と心の中で思ってたみたい(笑)