ムサビペディア::価値観

■価値観

物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという判断。「―の相違」(Yahoo!辞書より


先日のエントリにも書きましたが、多様な価値観がそろう場所が美大です。
一方で「なんらかの形で美術・デザインの世界で生きていきたい」と共通の価値観を持っている人種が集まってくるのも美大でもあり、こんなに面白く刺激的な場所はそう他にありません。
しかも東京の美大となると全国からそういう人達が集まってくるわけで、これが「ナゼわざわざ東京の美大に行く必要があるのか?」の理由の一つかもしれません。

裏ペディア::

(1)
先日紹介した「SCHOOL OF DESIGN」にこんな言葉が書かれてます。
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■客観的にならない方が良いことも、時々ある。
直感だけで突き進まないと出来ないような、偏ったものにも、素晴らしいものはある。
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自分の直感だけを信じなくちゃいけない時ももちろんあります。


(2)
ただ、(1)の話は普通の精神状態なら、の話ですね。

多分、卒業制作を経験したOBならわかると思うのですが、卒制直前になってくると知らぬ間に視野が狭くなっています。人の意見が聞けなくなる状態。
先生や友達から「ここはこうした方がいいんじゃないの?」「こうするべきなんじゃないの?」と指摘されても、「あなたには僕のセンスがわからない!」と怒り出したり「それは価値観の違いです!」と言い出したり。人間誰でも切羽詰ればそんなもんです。普段なら相手も「違うって!」と言い返すのだけど、あまりにも切羽詰ってる顔をしてるからそれ以上言い返さないだけです。

この時期に他人(2人以上)から指摘されたことは正しいと思った方がいいですよ。自分が一番見えてないだけで、「価値観の違い」だけで解決しちゃいけない。

私もこんなことがありました。
直径3mの地球のようなものを作ってたんですが、卒制3日前に、「ああ。全部白く塗りたいなあ」と急にひらめいて、世界堂(もちろん当時は土井画材)で白スプレーを20本ぐらい買ってきて、バーと塗りました。ま、そこまではいいのだけど卒制1日前に「ああ。この白い部分に文字を書きたいなあ」とひらめいて、黒マジックで作品全体に文字を落書きのように書いたんです。
今思うと「・・・なんであんなことをやったんだろう?」と不思議でしょうがありません(笑)
「直感」とはちょっと違いますね。「体内麻薬的なものに犯されていた」という感じかな?

もちろん講評で一部の教授に「なんだこりゃ?」的なことを言われたのですが、「君ら年寄りにはオレの作品の良さがわかんないんだよ!」と心の中で抵抗しました。
今思うと・・・「ああ。先生の言ってたのはもっともだよなあ」です(新)

価値観という言葉は非常に便利です。でもそれを逃げ道に使わないでね。
特にデザイン系の「価値観の違い」は「コンセプトミス」でもあるのだから。


(3)
ただ。

ただ、なんですけど、卒制では同級生みんなの視野も狭くなっている可能性が高いんです。周りの言葉に振り回されるのも問題。
「自分や同級生の視野が狭くなっていることに気がついているかどうか」がこれから1週間のポイントかもしれません。


卒業制作を作っているあなたにパート2でした。

投稿者:ichiro : 2007年01月20日 05:49

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