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教育実習の思い出13
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美術実習生の歓迎会。
メンバーは私とヨコちゃん、そして美術担当教員の3名。
小さな居酒屋でした。
アベ先生は、高3の時からお世話になってる先生でもあるので、その人と一緒にお酒を飲めるっていうのは格別でした。教育大出身の先生からは「手羽さんは教え方がうまい」とほめてくれて、今日の授業もうまくいったし、余計に今日はビールがうまい(笑)
一次会も終わるころ、無口なおじいちゃん先生が「手羽、もう一軒行くぞ」と言い出しました。一応ムサビ彫刻の先輩でもあるし、ヨコちゃんと一緒に2次会のスナックへ。
そこでおじいちゃん先生がこう口にしました。
「お前らはデザインがわかっていない」
はあ?意味がわかりません。
自分なりに前準備もちゃんとできてたし、今日の授業は生徒の反応もよかった。かなり成功した授業だと思うのだけど。あ、そうか。おじいちゃんのアレね。「今時の若いもんは・・」な話なわけね。知ってます。こういう時は話半分に聞けばいいのさ。
「『デザインとは?』の答えがアレで正解だと思ってるわけか?」
いや、完全な正解ではないことぐらいわかってるけど、9割ぐらい合ってるでしょ?何が違うのよ。生徒も理解してたじゃん。ヨコちゃんと時々反論しながらも、おじいちゃん先生の話をずっと聞かされました。
このおじいちゃん先生の言葉を理解したのは、教育実習が終わってからでした。
「デザイン」とは何か?
単純な線に置き換えること?イラストを描くこと?
違うんです。あくまでもそれは結果論であって・・・これ以上はあえて書きませんが、興味を持った方はぜひ調べてみてください。
そしてこれは、「美術大学でデザインを勉強する意義とは何か?」の答えでもあります。少なくともムサビとタマビはこの考え方だと思います。
「中学生にどこまで本当の『デザイン』を教えるか」という問題もありますが、あそこまで断定して教える必要はなかった。教育大学出身の先生が「赤=暖色」と断定で教えていて、それをバカにしてたけど、自分も同類だった。
自分の無知のために嘘を生徒に教えてしまったのです。
この授業を体験した生徒達はずっと「デザイン=特徴を見つけ出し線を単純化すること」と思い続けてしまうのだろうか。
この時に「先生」という職業の怖さを感じました。
続く。