リアルな美大法人企画室長の日常を
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表現者について
昨日のリリーさんのトップランナー、私も見ました。
「学生の頃、毎日、学食の下の喫茶店でホットケーキばかり食べてた」というコメントには思わずニンマリ。もちろんそのホットケーキにはホイップクリームがドーンとのってたことでしょう。私も大好きなムサビスイーツ。(スイーツ?)
「まず表現したいものがあり、それにあった表現方法をとる」という考え方はムサビ生ならなんとなくイメージが沸くセリフだと思います。でも、高校生ぐらいだとまだ難しい話かもしれませんね。
説明会などで高校生から「アニメの勉強をしたいんですが」「イラストの勉強をするには、何学科がいいですか?」という質問をよく受けます。美大説明会で一番多い質問なのですが、そういう時は私はこう答えています。
「アニメの勉強だけ、イラストの勉強だけやりたいんだったら、ムサビに来ない方がいいよ」と。
だって、美大といっても大学ですもの。英語もあるし哲学だってあるし、西洋美術史概説やマスコミ論・日本文化論・法学・数学等、普通に座学系の講義が毎日あります。前期後期でレポートの提出や試験もあります。1日中4年間イラスト描いてりゃいいってわけではありません。「イラストしかやりたくない人」にはかなり無駄な時間といえます。それに、平面デザイン系の学科に入学しても「イラストの描き方」なんて授業はありません。
すると、「ええー、なんかつまんなそう・・」と言われることもあります。
ここからは私の勝手なムサビの解釈です。
このブログで書きたかった核心部分のひとつ。
多分、ムサビが育てたいと思っている人材は「表現者」なんです。
「表現者がいて、その次に手段がある」という、まさにリリーさんの考え方。
「表現者」は手段にこだわりません。自分が表現したいものに一番合った手段を使えばいいんです。ある時は絵画かもしれない、写真かもしれないし、CGかもしれないし、彫刻かもしれない。表現したいものが変われば、もちろん手段も変わります。逆にいろんな手段を知ってる方が新しい表現には役に立ちます。
「これは彫刻的なアプローチでせめてみよう」「数学的に解釈すれば面白そう」とか。
でも、ひとつの手段しか学んでない人、つまりアニメしか習っていない人はアニメでしか表現できないし、イラストでしか表現できません。表現の幅もアニメから離れることはできないでしょう。これは幸せなことなのだろうか?
もちろん、手段にこだわることを否定はしませんし(そういうアプローチも芸術ではあります)、アニメを専門的に学んだ人しか表現できないものもあります。これ以上は各自の判断ですが、ムサビでは「自分には関係ないと思うことも勉強した方がいいんじゃないの?オペレータよりも表現者側から物事にアプローチしてもいいんじゃないの?」という考えが昔からあるように最近は感じています。
難しいのは、この「表現者」を高校生にもわかるようにやさしく説明できる単語がないこと。アニメーターやイラストレーターは職業名ですが、「表現者」という仕事はありません(笑)
depicterもperformerもちょっと違いますね。producerがニュアンス的に近いようにも思うけど違う。一番簡単な説明は「リリーさんみたいにいろいろやってる人」なんですが・・・。
ただ、「名前がないから職種が存在しない」のではなく、存在が新しいからまだ名前がついてないこともあります。「アニマルセラピスト」という呼び名は最近までなかったけど、そういう職種がなかったわけではありません。だから、無ければ作ればいいだけです。簡単簡単。
これからは「表現者」を「リリーな人」という意味で「リラー」と呼んではいかがでしょうか。
・・・・気のせいか、なんか「ニート」を感じる語幹ですね・・・・ボツの方向で・・・。
表現したくなるのはなぜだろう。
投稿者 tamapi : 2008年08月08日 20:17