雪のようにとけていくんだね

FOR MUSABI


起きて、もう溶けかかった雪道を、ハンバーガーショップに向かって歩いたときに。
なんだか詩的な口上がいきなり上手に書けそうな気がして、切なくなった。
冬にしては随分陽気なひかりの中を、昼にしては随分陰気な歌を聴いて、
足をとめた瞬間に、ふと見上げた弱りきった木の切れ端がやけにきらきらと、綺麗で。
なんだかこの世の風景じゃないみたいに綺麗で。足がふわっと浮いた(ような気がした)。
度数の強いアルコールを飲まなくてもぶっ飛ぶことはできる。
それがつまり想像力ってことなんだろうけど、もっと洒落た名前を考えている。カクテルほど気取らなくてもいい。

店内に紫のパンジーが一輪挿してあった。
パンジーは、別れの花だ。
小学校の頃、卒業式に向けて育てていた記憶が急にまざまざと思い出されて驚いた。
ギシギシと軋む黒い体育館の床に敷き詰められたパンジーパンジーパンジー。
外では桜みたいな雪がわさわさ降っていたっけ。
かなしいなあ。
大学の卒業式はいつだっけ。
何もこんなに寒い季節に、卒業式なんてやらなくてもいいのに。
さみしいなあ。いなくなってしまうんだね。


オトギ

投稿者:fantasy : 2013年01月18日 23:14

トラックバック


コメント: 雪のようにとけていくんだね

コメントしてください




保存しますか?