リアルなムサビの日常を
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つめたい灰
FOR MUSABI
静かな部屋で目が覚める。
コンクリートの底に閉じ込められた土から雨の匂いがする日も
僕の機嫌に関係なく朝日のうつくしい日も
静かな部屋で目が覚める。
嵐が去って、ゆっくりと部屋を片付けはじめる。
手にとるものたちからもう茶色くなってしまった日々のことを思い出させられる。
外に出ればすべての人々が灰色に見える。
何かの燃え尽きたあとのような、汚れのようなものを誰もが引きずっている。
切り取り線になる出来事を待っている。
ここからは自由にしていいですよ、と言ってくれるような出来事を待っている。
何かを諦めるための言葉なら、もう何度も聞いた。
喫茶店で、スーパーで、駅前で、大学のカフェで。
それはファーストフードみたいに、そこらじゅうでお手軽に聞くことができる。
そういうものを聞いても特に何も思わなくなった。
ただ、自嘲のような感触のなかに、わずかに焦りのようなものを見つけてしまうとき、
叱りつけたいような、すがりつきたいような、そこまで走っていって頭をひっぱたきたいような、
変な衝動にかられる。
芯まで冷めきってしまったようなふりをして、愛も希望も捨てきれずにいるんだろうなあ。
オトギ