リアルなムサビの日常を
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ぎんいろの電車
FOR MUSABI
玄関へ続く階段から、電車がすーっと滑っていくのが見えると、つい立ち止まって通り過ぎるのを見つめてしまう。
白く明るい車内が黒い夜空とぶつかりあって、銀色に発光する虫のように見える。
あ、うつくしいなあー。
銀河鉄道の夜にでてくる列車は、何か特別なかたちをしているもののような気がしていたけれど、
案外、現代にある電車をこのまま空に滑らしても、あっけないほど幻想的に見えるんじゃないだろうか。
やりたいと思ってたことをやりたいと思っただけで放置してたものを、心の物置に見つけてホコリを払う。
電車がこんなに美しいので救われる。
などと思う。僕の少し冷めた胃や喉の中を、あつい列車が通り抜け燃やしていく。
でも別に窮地に立たされてるわけでもなければ厭なことがあったわけでもないのにね。
オトギ