リアルなムサビの日常を
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銀の風
FOR MUSABI
作品提出して、ひとり図書館で書き物をしようと椅子に座った瞬間、時間が時計2周分飛んだ。
あのあとうちに友人を呼んでいっしょに徹夜してたんだけど、
やっぱり僕は徹夜するとだめだな、ということがよくわかった。何度も言ってるね。
外に出たらまるで刃物のように鋭くつめたい風がふきつけてきて、
あー、もう、ちょっとくらい優しくしてよ、と自然相手に不機嫌になったりしてさ。
東京の冬もどんどん寒さを増していくね。
「せめて雪が降ればいいのにな」と言ったら、誰も同意してくれなかったけれど、
せめて雪が降ればいいのにな。
こんな素っ気ないだけのつめたい冬はどこかさみしい。
せめて美しければいいのに。
イルミネーションよりも星が見たいし、
暖房につつまれるよりも雪やつららの冷たさにふれたい。
何度も言うけど、今回の課題はなんだか力を出し切れなくて、くやしい。
自分にうんざりしながら、でも「やりたいことしかしたくない」なんて、
投げ出すような徹底した不真面目さは持ち合わせていない。
頑張ればできるとか、時間をかければいいとか、そんなことないって喉から声が出そうになっても、
努力することでしか自分の隙間を埋められない。
とにかく今日という一日は終わって、ごはんを食べて、甘いクッキーを食べて、それで、なんとなく幸せで、
でも刃物のようなつめたい風みたいなものがまだびゅうびゅうと心には吹き荒れていて、
なんだか眠るにはもったいないから、だから、なにかつくろう。
オトギ