はじまりは白いキャンバスでなくてはいけません。

FOR WORLD


江國香織の「薔薇の木 琵琶の木 檸檬の木」という小説をいつだか買って
ずっと本棚に入れてあったので、今日はそれを持って大学に行った。

今日は2限と3限と5限のある日。

何かするには足りなくて 何もしないでいるにはつまらない
そんな風にポカンと空いてしまった すきまの時間が僕は好きだ。
今日みたいに読書をしたり、時には誰か暇な子を誘って甘いものを食べたりすることもできる。

そう、今日は なにもない4限の時間に読書した。
10号館の最上階 4階 窓辺に腰掛けて。
僕は、10号館の張り出し窓が好きなんだ。
すべての教室にたっぷりと配置されたそのくぼみには、
よく誰かのつくりかけの作品が置いてある。
何も無いところをじっくりと探して 
いつもは人のいる教室で電気も点けず、
外のあかりに寄り添うようにして本をめくっていると 
心が底からしずかに凪いでいくようで心地いい。


何かを考えるには何も考えないことが大事だ。
それが、買ったばかりのキャンバスに真っ白な下地を塗っていくように
ほんのかすかな違いしかもたらさないとしても。


オトギ

投稿者:fantasy : 2012年10月05日 23:20

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