リアルなムサビの日常を
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憂うつはいつも
FOR WORLD
ちょっとせつないものが好きだ。
子どものころ、女の子の笑顔よりも、
泣きそうな顔やキッとこちらを睨んでいるような顔がすきで
そういうものばかり描いていた。
そんなものを描いていると「なにか悩みでもあるの?」と聞かれるけど
残念なほどそんなものはなくて
むしろ、何も悩みがないことがコンプレックスだった。
もしくは、そんな平穏さをいつも憂いていたのかもしれない。
物語やドラマに見る主人公は、きまって心のうちに「何か」かかえていて、
それを機転にしてあらゆるものごとが動いていく。
それがうらやましかった。
今思えば、台風の目の中にいたのか
あるいは、部屋の中でしずかに嵐の音を聞いていたのか
僕にはわからないけれど
でもあのときの さみしさのような いらだちのようなものが
古傷のようにずっと心には残っていて
耳鳴りのようにして僕にしのびよるときがある。
そんなとき、
体の中のどこかが痛むような うずくものが見たくなる。
ちょっとせつないものが好きだ。
オトギ