ムサビ日記 - オトギ -

FOR WORLD

春の嵐の音がする。
風の音を聞くのは好きだけれど、雨どいから雨がドバドバ落ちているのは、
なんだか大事なことを聞き逃してるみたいで、縁起が良くない気がしてる。
何はともあれ、桜が咲く前でよかったよ。

ずっと不規則な生活をおくっていたから、
大学が始まって朝早く起きるようになって　
まるで１日の時間がかさまししたように長くてのどかだ。
だから、ずっと抱えていた悔しさも　今はどこか沈黙して弾んでいる。

人と話すのは相変わらずとても楽しい。
お互いにだらしなくなる前の、ちょっとしたぎこちなさの中で、
休み中に会うことのなかった人とも
まるでそんな空白なんてなかったみたいに話をしてる　不思議がある。

休み中、もう思い出の中であったまった場所に行ったり、
沈黙が当たり前のように流れる人たちと会った。
そういう安心感とはまた違う、まだカタくてぴりっとした刺激の中に、
僕は生活していて、それがどうしてか嬉しい。

あのころ

思い出せる懐かしさの中にある痛みも苦しさも、
もう「あのころ」と呼んであたためられる。

それならば
それならば、これから始まる楽しくてつらい日々も
どうせ泣いてしまう弱さも
いずれは笑えてしまえるんだろうか。

そんな薄情さが、どこか腹立たしくもあるけれど
いつかくるそんな瞬間まで、とりあえず
生きてみようか　
そう思えるのはきっと、素敵なことだよね。

オトギ