ムサビ日記 - オトギ -

FOR WORLD

生々しく残ってる青あざみたいな記憶がいくつかあって、

それを思い出すと、まるで　はな血を呑みこんじゃったあとみたいに
うえっとなったりする。

もしくは、
濁りきった絵の具の上から、新しい水をかけて洗い流しちゃうみたいに
スッキリする。

そんな感覚を呼び起こしてくれるものって、とても少ないと思うんだけど、
今日「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」って映画を観た時の感覚は
そんな感じだった。

ひどく凪いだ海の中に立っていて、
濁流と清流が交互に押し寄せてくるような

そんな錯覚、あるいは勘違い。

僕は映画で泣くとき、どうして泣いてしまうのかいつもわからない。

オトギ