リアルなムサビの日常を
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眠れる町よ
FOR WORLD
機嫌のよくも悪くもない日に、曇天のなかを歩いていると、
世界の時間がぴったりと止まってしまったように感じる時が有る。
それは【冬】という寒い時期に、とくべつ多いのかもしれない。
あの 寒さ。
コートの前をしっかりと止めて、
肩に知らず知らず力を入れて歩く
あの 寒さ。
吹き付ける冷たい風にあおられて歩くときの、
どこか投げやりな気持ち。
町が眠っているんだ。
木の葉もろとも持っていかれたエネルギイが
土の中で寝息をたてている
僕はその上を歩いている
眠ることを許されぬまま
雪も氷も無い、味気ない東京の冬を。
あおぐ空の灰色に眉をひそめ
それでも吸い込んだ空気は、特にまずくもなんともなく
どことなく落ち着いた気になって
もう一歩を踏み出す。そう、いつだって。
オトギ