リアルなムサビの日常を
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君はなんにもわかっちゃいない
FOR WORLD
深緑のセーターと淡い紫の羽織の合わせがひどく気持ち悪いことに気づいたので、
さっさと脱いだ。
できれば思い出すより思い出される人でありたいけど
今日ばかりは贈り物や手紙を読み返す日に宛ててしまいそうで、すこしうんざりする。
やれやれ、しくじった。
できないことも恥をかくことも、今までだって何度もあったのに
まだ落ち込めるみたいで、その都度動揺する。真っ白になる。
夜の雰囲気も相まって、過去のひとつひとつが僕をちくちく刺してくるようになってしまった。
なんて、なんて質(たち)がわるい夜なんだ!
手紙も書きたくないくらい嫌いな人が僕にもいる あなたにもいる。
寂しさや憤りだけを置いて旅立ってしまった場所が在る 今もそこに。ここに。どこかに。
奴らはどこかでじっと息をひそめ 僕らの息の根をとめる隙を狙っている。
どこにもいかずに ずっと後を尾けてくる。
いつか迎え撃たなくちゃいけないんだろうな いつか。
それは今かもしれない。そう思い続ける。
ひとつひとつ確実に仕留めていくしかない。
今こないものはいつかくる。いずれくる。必ず。
それなら痛い思いをするのは今で良い、そう思わないか
ありふれた慰めの言葉をかけてもらうためじゃなくて
ただ幸福のために嘆きたい。
憤っていたい。
苦しくても痛くても悲しくても、いいから。
誰かの涙を拭うために泣きたい。
君の苦しみに寄り添うために苦しみたい。
それだけが本音なのだと信じて胸をはりたい。
どうあがこうと届かない人には届かない
できないことはできない。
でも それすらも、あがくことなくしては解らないじゃないか。
言い訳するなよ。
オトギ