どこかできっと君を待とう

FOR WORLD


綺麗な牡丹雪が、ためらうように降ってた。
「降る」という言葉が少しふさわしくないように思えて、
少しのあいだ 空を見上げて迷っていたんだけれど
あれは「舞う」という表現が正しいんだろうな とひらめいて
ああ、なんだ ありきたりな言い方じゃん とにがわらいした。

でも、そんな風に ありきたりな言葉のあて方にすっきりするのは
そんなに悪いことじゃなくて むしろ心地いいことなんだ。

今日は少し気持ちがくたびれて、帰り道もどこかぎこちない心のまま
ゆらゆらと歩いていたんだけど
ふと気づけば大きな雪の群れに巻き込まれていて

つまんないビルも 汚い道路も 寒さにしかめられた誰かの顔も
何もかも真っ白に埋まっちゃっていて 気分がすっと軽くなった。
こんな言い方は少し乱暴だけど、とても 気味が良いやと思えたんだ。

多分あの場所にいる誰より、僕は雪の降る夜道を祝福していた。
そういう瞬間 僕はたいてい、その嬉しさを独り占めできることのほうが嬉しいんだけど
今日はなぜか この嬉しさを誰かと共有できたら素晴らしいと思った

こんな雪のふる歩きにくい道の中を
ただ黙って並んで歩いてみたい。


濡れた袖や、靴底に染みる雪の感触を知りながらも気づかないふりをして
お互いの顔も見えないようなくらい暗い道の中を
いつか誰かと歩いてみたい。

オトギ

投稿者:fantasy : 2012年01月23日 21:55

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コメント: どこかできっと君を待とう

雪、舞ってたね。空気が地元と似てる気がした。
ニヤニヤしちゃう寒さでした。

投稿者 LAVI : 2012年01月23日 23:39

うん、そうね 懐かしかった
東京の人たちが色めき立ってて可愛かったよ。

投稿者 オトギ : 2012年01月24日 23:35

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