リアルなムサビの日常を
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そこにあった白夜
FOR WORLD
ふと思いついて外を歩いてみたら、
昨夜降りしきっていた雪が積もって、あぜ道も真っ白にめかしこんでた。
肌を削るように突き刺さる冷たい風すら、すがすがしく流れていく。
僕の足下から聞こえる雪を踏む音
雪解けのつめたい水が銀色に反射する瞬間、世界が真っ白に眩んで
田畑もコンクリートも家も空も、真っ白に塗りつぶされて
すべて僕だけのもののように思えて堪らなくなる。
何者かも知れない誰かや獣の足跡を辿るように歩いてくんだ。
迷いのない一本の筋の上を
背骨も軋むような1月の空の中を
何もかも死に絶え眠りについた、しずかなしずかな冬の道を。
わずらわしい約束も君のずるさもその瞬間は何もかもゆるされて
真っ白な雪の中に熔けちゃいそうで
なんだか嘘みたいに奇麗だと思った。
帰り道、傾いた陽が金色に濡らす雪の表面が、僕を嬉しくさせた。
オトギ