僕らの砂漠に雨が降る。

FOR WORLD


どこもかしこもびしょぬれだ。

本屋から顔を出すと、暴力に近いような水量で雨が降っていた。
傘が守ってくれるのはせいぜい腰から上までが限度。
水しぶきが膝までのびてくるのは初めてだった。
おかしな言い回しだけれど、まるで下からも雨にふられているようだった。


なんだか季節を洗い流してゆくような雨だと思った。
雷はひどいし、誰も彼も うとましそうに天を仰いでいたけれど。
またひとつ季節が移ろっていくんだろう。


何もかも流しちゃえばいいと思った。
誰かの心の片隅に溜まりきった汚れとか、
見知った人の涙とか、
理由もどこかになくしてしまったような、喧嘩のわだかまりも
流してしまえばいいと思った。

どうにもならないことが多すぎる。
つじつまが合わないと進まないことばかりだ。
僕たちは何をするにも勢いを欲しがる
正義とか道徳とかそういう問題じゃない
ただ身近な誰かにみとめてもらえる正当な理由がほしいだけだ。


そうやってあらゆる人が干上がっていくのを見てきたけど
今日は雨が降った。
君がいつまでも大事そうにかかえてるものがなんなのか、
僕にはきっと 死ぬまでわかんないんだろうけど
どしゃ降りの夜に傘を貸してやるくらいはできるよ。


オトギ

投稿者:fantasy : 2011年08月26日 23:10

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コメント: 僕らの砂漠に雨が降る。

私は誰よりも君に認めてほしい!
大好きだよ!

投稿者 つき : 2011年08月27日 04:30

どうしてそうなった

投稿者 オトギ : 2011年08月27日 23:11

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