リアルなムサビの日常を
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雨だれ
FOR WORLD
どうやら梅雨がやってきたらしい。
雨が降っている。
小学生のころ、雨の日というのはどこか不気味でロマンティックだった。
なんでもない、ありふれてかさついた校舎に、闇ができる。
蛍光灯だけでは照らしきれない廊下の隅や、どこか湿った空気に、
なんだか居心地の悪いような良いような、不思議な感覚がしたものだ。
算数の授業や先生のお話が、何から何までいつものように正しい顔をしない。
それはなんだか、何が楽しいのかわからないことを、
わからないままでいていいと許してもらえたようで、
どこか安心した。
小学生。
穏やかで夢ばかり見ていた日々。
思い出す人々は誰もかれも優しいのに朧げだ。
雨音がしている。
とても静かだ。
オトギ