2007年11月07日
中大理工白門祭
前回の日記はこちら。
そのほか、気になった展示を二つ。
●計算力学研究室
T君お勧めの研究展とのことで、行ってみました。
部屋に入ると向こう側に、前・横・床にグレーのスクリーンが張られた怪しげな一角が。
研究員さんに渡された眼鏡をかけてそこに足を踏み入れると…。
「うわ〜!!」
目の前に浮き出てくる西新宿のビル街と、そこを駆け抜けるビル風のライン。
風の通る道と強さを計算して出したデータを、可視化する研究をしているとのこと。
画像がないのでお伝えするのが難しいのですが、風がぐるっと回り込むのが3次元で見えてくるのですよ。
何かこう、ぐるっっと!回り込む感じが。
回り込みが描けないとデッサンが平面的になるぞ〜、ってそれとは違うかもしれないけど。
科学的データというと例えば天気予報のように、テレビの画面に映し出されるような2次元情報を思い浮かべがちですが、
風のような空間的現象だと、それでは確かに伝達力の限界がある。
そこで、回り込みを3D表現することでわかりやすく伝えると。
さらに研究員さんが持つコントローラー(プレステのものを改造?)をいじると、風の筋をたどって走る様子を見れるという、
ビバ・バーチャルリアリティ!な機能つき。
(本当に、画像がなくてうまく伝えられないのが悔しい)
なんか、ただ鉛筆で塗りつぶすデッサンから回り込みが描けるようにステップアップして、
やっとこさ「紙の中に立体を描いてます」といえるようになってきた気分だ(だからちょっと違う)。
ただ…欠点というと、
ぶっちゃけ酔います(苦笑)
自分が動かずに映像だけ迫り来るばかりなので、感覚のずれから10分位したら気持ち悪くなってしまいました。
乗り物酔いをしやすい人にはつらいかも。でもこればかりは人間の身体次第だしなぁ。
設備で何とかするというのも難しそう。
すでに1億掛かってるらしいですし(T君談)。
●物理学研究部
読んで字の如し、物理学を研究する「部活」らしいです。
自分としては、「え?学科じゃないの!?」と言いたくなりましたが、
そんなこと言ったらムサビだって「版画部」も「ガラス研究会」もありますし(ちょっとニュアンスが違うけど)。
で、ここを取り上げた理由はずばりコレです。
動画じゃないのでわかりづらいですが、こいつが結構コミカルな動きをしてるんですわ。
(ネット検索したら、これの4番にCGでの再現がありました。短いですが)
コレが廊下にあるだけでも雰囲気で「勝ち」だな、と。
結構長いことチョコマカ動いていたので、自分は「永久機関的なことを表現したいのかな?」なんて思ったのですが、
実際は「カオス振り子」と言って、「カオス理論」なるものを基にしたものだそうです。
非現実的な方向に想像をめぐらせてしまう時点で、「美大生だけど理科好き」なんて言ってられない…。
カオス理論と言うのは「不規則っぽい動きの中にもきちんとした法則性はあるが、それを予測するには膨大な情報量が必要な上、微妙な差異で大きな誤差が生じる(だから計算するのはほぼ不可能)」…って感じでざっくり言っていいのかな?
ウィキペディアでの説明はこちら…ってわかんないです(汗)。
たすけて音量子さ〜ん。
ここからは個人的に思ったことを。
中央大学は理工学部だけ後楽園キャンパスで、それ以外は全部多摩キャンパスで授業を行っているそうです。
文化祭もまったく同じ日に多摩の「白門祭」と後楽園の「理工白門祭」とで二分されているため、どうしても理工のほうは寂しくなってしまうとのこと。
とある展示を訪れたときなんか「こんな寂れた文化祭ですが…」なんていわれてしまいましたし。
たぶん、人でも少なくて大変なんだろうなあ、なんて想像してしまったりも。
ですが、その分「文化祭に最低限必要な要素」はきちんと押さえてあった気がします。
模擬店があって、ステージがあって、サークルの展示があって、
(理系の学校だから)研究室を開放したりして、アイドル(夏川純)のトークショーなんか催したりもしてる。
人数が少なくても、多少装飾が少なくても、きちんと文化祭してると思う。
「お客さんが少ない」のはともかく「要素が欠けてる」訳ではないから、特に卑下しまくることはないと思うんだけどなあ。
確かに芸祭のカオスを知っていると、少し寂しく感じてしまいますが(汗)。
一方ムサビは、中央広場は圧死者が出るんじゃないかと思うくらいの賑わいだし、
装飾は過剰なくらいがんばるし、展示は逆に多すぎて今年は制限が掛かったくらい。
盛大なのはいいけど、理工白門祭みたいなシンプルな文化祭を見ていると、
お祭りを派手にすることが、いわゆる手段の目的化になってしまって、変に一杯一杯になってるんじゃないかとも思った。
苦しいけどその後すごく楽しい、はずなのに、なぜだかいつまでも苦しい、みたいな。
とはいえ自分としては芸祭ならではのカオスっぷりがある意味快感だし(笑)、
あの異様なまでに凝ったパンフやサインシステムも、それをつくる過程が実践的なデザイン学習として生かされているのかもしれないし、
展示だってきちんとやりきればちゃんとしたキャリアになるだろうし(自分なんかが言う台詞じゃないけど)、
何よりも、楽しい空間を作り上げるってことは貴重な人生経験になるし、来年もまた進んでやりたいと思えたのは大きな収穫。
芸祭にも理工白門祭にも大事なのは、目的を見失わずに限界まで盛り上げていくことなのかな。
(だから、必要以上に凹まないでね、ヤ・ス・タ・カ…笑)
と、我ながら臭い台詞を言ったところで、現実的な突込みを。あまりたいしたことはないとは思いますが。
理工白門祭の展示企画で気になったのが、「お客さんへの見せ方」について。
ある教室をのぞいてみたら、展示の内容も入り口に掲示してないし、ドア近くの机に部誌がポンと置いてあって、部員は奥のほうで駄弁っている…なんてシチュエーションを何件か見かけましたが、割と萎えました。
サークルだから内輪で楽しみたくなるのはわかりますが、一般開放された文化祭ですし、もうちょっとウェルカムオーラを出してほしいなぁ、と思いました。
インパクトのあるポスターを貼るなり、お客さんが困らないような対応をとったり。通りすがりの人が部屋に居やすくなる工夫があるとうれしいです。
そういう意味では前述のカオス振り子はよかったと思います。でも、展示ではそれに触れたものがなかった気が…。
あとは、お客さんに楽しんでもらう展示空間も。
パネルを立てたり掲示物を集約させたりして、「展示」と「プライベート」の仕切りをつくるとか。
展示も、部誌をポンと置くだけでなくキャプションや掲示物をがんばるとか。
美大のようにパネル張りまではしなくていいから、せめて模造紙とかに説明を書いて、お客さんの興味をひきつけるとか。
これ以上言うと長くなるし、最終的には各々の展示で考えることだけど、
せっかくいい研究をしていてもお客さんに伝わらなきゃ損じゃん、もうちょっと見せることを考えてほしいな、
ということを言いたかったわけで。
…ムサビコムで長々と書くことじゃないだろうけど。
まずもって中大理工の人は読まないだろうし。
やばい、結局独り言の押し付けじゃん。
キモイわ自分。
キモイキモイ(汗)。
でも他の大学を見て気づいたことなので、自分自身のために書き残しておきます。
すまん、大学でカオスは勉強しなかったよ。
一般教養書としてはこれかな。興味があったらよんでみなされ。
http://www.amazon.co.jp/カオスの素顔?量子カオス、生命カオス、太陽系カオス…-ブルーバックス-ニーナ-ホール/dp/4062570297/ref=sr_1_2/503-1345512-9192751?ie=UTF8&s=books&qid=1194478252&sr=8-2
本を教えてくださってありがとうございます。
講談社のブルーバックは前から挑戦したいと思ってましたが、コレを機に手にとって見ようかな。
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